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゜。┏┫☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人主婦と創作☆┣┓。゜
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 ゜┗━┛         2007年01月27日号 通巻 213号 ┗━┛゜
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人、銀凰です。

 さて流河 晶さんの「ヴァンパイア・ゴーレム」が今号最終回となりました。
 長期に渡る連載、お疲れ様でした。

 それでは早速本日の会報をお楽しみ下さいませ。
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★文芸同人「主婦と創作」ではあなたの作品のご投稿をお待ちしています。
投稿は専用メールフォームで。(http://mm.9no1.gozaru.jp/mmagazine.html)
投稿に際しては投稿規約(http://mm.9no1.gozaru.jp/03.html)必読です。
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│      詳しくはこちら → http://www.digbook.jp       │
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン・HP・情報紹介
 ◆連載小説…流河 晶 <ヴァンパイア・ゴーレム> 最終回
 ◆連載小説…神光寺かをり クレール光の伝説・古の【世界】 第42回
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◇メールマガジン・HP情報紹介
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★覆面作家企画2
  発行人が「神光寺かをり」名義で参加中の企画です。
 1:共通のお題で、期日までに短編作品提出
 2:著者の名前を掲載せず、作品名と本文だけ発表
 3:読者はその作品がどなたの作品かを推理
  という内容。
  さあて、私は誰&どこにいるでしょうか。
>>http://fukumennkikaku.web.fc2.com/

◇ドラえもん最終回★一挙10話掲載
  ドラえもんの最終回って、いくつかは読んだことがあると思います。
  このレポートには、10の形の最終回が掲載されています。
  あなたはどのシーンで涙するのでしょうか・・・?
読む>>http://www.sugowaza.jp/reports/get/724/4295/
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◇連載小説 <ヴァンパイア・ゴーレム> 最終回    作:流河 晶
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「部長! アンダーソン部長!」
 ノックもそこそこに、スミスは思い切り、部屋のドアを押し開けた。
「……ああ、お前さんか。そろそろ来る頃だと思っていた」
 ゆったりとした革張りのイスに座った上司は、書類を脇に置き、のんびりと
二人を見上げた。

「部長、俺のことは出さないでくれと言ったはずですよ、それを……」
「誤解するな。あの映像を、すべて放送局に提供すると決定したのは、社長だ。
 まあ、社員があれほどの偉業を成し遂げたのだと分かれば、自社の株も上が
るだろう、最高の宣伝材料だと提言したのは、私だがな」

「やっぱり部長の差し金じゃないですか! 
 キャップがマスメディアに追いかけ回されるのが嫌いなこと、部長だって
ご存知のはずでしょう!」
 叫ぶクルーを、スミス船長は押し留めた。
「もういい、テッド」
「だってキャップ……」

「こうなったからには仕方がない。
 ……しばらくは、ヒマなTV局の連中に付き合ってやるさ……」
 スミスは諦めたように言い、それから、きれいに刈り込まれたひげをなでつ
けている上司に向き直った。
「しかし、なぜ、こんなことをする必要があったのか、その理由だけでも聞か
せてもらえませんかね、部長」

 部下の問いに、アンダーソンはにんまりとした。
「お前さんに、"N.B.連邦大統領"になってもらおうと思ってな」
「──えええっ!? 
 ──N.B.連邦の大統領っ!?」
「そんな大声を出さんでも聞こえているぞ、テッド航宙士」
「けど……冗談がキツ過ぎますよ、部長……」
 落ち着き払って自分達を眺めている上司に、テッドは恨めしげな視線を送っ
た。

「本気にするな、テッド。部長はいつもこう言って、俺をからかうんだ」
「──私は本気だぞ。
 今のN.B.は腐りかけている。このままではいつ何時、母星の二の舞になるか
分からん。
 こういうときこそ、お前さんのように強力なカリスマ性を持った統率者が
必要なんだ」

 上司の言葉に、スミスはうんざりした表情になる。
「……まぁたその話ですか。俺にはそんな気はないと、何度も断っているはず
ですが。
 大体、連邦大統領は、個人が立候補したところで就任できるものじゃない。
 まず、推薦人を百万単位で集めた上、連邦議会三千六百五十一人全員の賛成
がなければ……」

「だからこそ、今まで表に出て来なかった、お前さんが成し遂げてきたことの
数々を、今回取り上げるよう、TV局の友人に働きかけたのさ。
 すごい反響で、問い合わせが殺到していると、友人がうれしい悲鳴を上げて
いたぞ。
 たった一つの地方TV局の番組だったが、宣伝効果は絶大だ……社長の思惑
と私のとは、まったく別のところにあるが…な。
 今に、連邦のあらゆるTVが、お前さんの偉業をこぞって放映することになる
だろうさ。
 ……そうすれば、あと、ほんの少しの後押しで……」

 スミスはため息をつき、首を振った。
「……耳を貸すな、テッド。部長のいつもの妄想だ。そんなにうまくいくはず
がない」
「何を言うか、スミス。お前さんはスミス提督の……」
「──いい加減にして下さいよ、部長。
 俺はもう行きます。船の最終チェックをしなくては」
「待て、スミス、……」

 言いかける上司を捨て置いて、彼は部屋を後にする。
「キャップ……」
「まったく部長にも困ったものだ。最近は俺の顔を見るたび、あの話なんだ
からな」
 歩み寄るテッドに、彼はこぼした。
「でも……キャップなら、とてもいい大統領になれるんじゃないかな……って、
俺も思ったりなんかして」

「何だと?」
 スミスは部下を睨みつけた。
「お前まで、何を言い出すんだ」
「だって……このまんまじゃN.B.も、母星とおんなじような運命をたどりそう
 じゃないですか、マジで。
 ここにゃゴーレムはいないけど、国家間の紛争は徐々に拡大してるし。
 誰かちゃんとしたリーダーがいなきゃ……」

「だったら、お前がなればいい。俺は、連邦も戦争も興味はないからな。
 船で気ままに宇宙を旅できれば、それで俺は満足だ……」
「欲がないなあ、キャップは。
 大体、俺なんかじゃ到底、なれっこないですよ、誰も推薦なんかしてやくれ
ませんから」
「だったら、つべこべ言うな。
 ──さて、船の点検に行くぞ。TV局がいくら騒ごうと、宇宙に出てしまえ
ばこっちのものだ」
「はい、キャップ!」
 クルーは船長の後に従う。

 一方、独り部屋に残ったアンダーソンは、一冊の本を前に、つぶやいていた。
「『船で気ままに宇宙を旅できれば、それで俺は満足』…か。
 知っているか、スミス。それは、スミス提督の口癖でもあったと、この伝記
に書いてあるぞ……。
 あのゴーレム…オラムとか言ったな、そいつもお前さんの中に素質を見出し
たんだ、だからこそ、これを渡した……」
 男の手の中で、きらりと光るもの。
 それはスミス達が持ち帰った、オラムのペンダントだった。

「これには母星の古代語で、こう刻まれてあるのだ。
 『偉大なる王者の中の王者、その証』……とな。
 どうして"N.B.連邦大統領"が、推薦人を百万単位で集めた上、連邦議会
の議員全員の賛成がなければ就任できないなどと、馬鹿げた決まりがあるか
知っているか?
 提督以外に、そんなことができる人がいなかったからさ……。
"N.B.連邦大統領"は、彼一人だけのための称号だったのだ。
 スミス、私がお前を選んだんじゃない、 N.B.が、お前を選んだ……いや、
待っていたのさ……スミス提督、あんたが帰ってくるのを」
 そう言うと、部長は棚からとっておきのワインを取り出し、グラスに注いだ。

「……そうだろう? ゴーレムの王、オラム。
 これはあんたから、人間の王への贈り物……。
 あんたは過去の恩讐(おんしゅう)を越えて、スミスを統率者として認めた
んだ」
 グラスをペンダントに軽く当てると、ちん、と澄んだ音がした。
「──新しい人類の未来に、乾杯!」
 そしてアンダーソンは持ち上げたグラスを、満足げに干したのだった。


                           THE END.

          *       *       *

 長い間ヴァンパイア・ゴーレムにお付き合い頂き、ありがとうございました。
 (これはHPに掲載したものの改訂版です)

 現在、長編ファンタジー「紅龍の夢」<巻の一〜四>週刊連載中。
 http://www12.ocn.ne.jp/~tower/ 

 ★全体のあらすじ
 追放同然に人界へ来た魔界の第二王子サマエル。敵対する神族や兄との確執
が穏やかな暮らしを許さず、天界との最終戦争に巻き込まれていく…。
 ★巻の四/紅龍の封印/あらすじ
 逃亡中の王姉ライラを救ったことで、孤独な少年リオンの運命が動き出す。
 彼女のペンダントが彼の出生の秘密を解く鍵となり、王国の存亡に関わる
事件の渦中に…。

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◇実録!本部当番
  ヤクザの事務所の内部ってどうなってるの?
  どんな人がいるの?
  どんな物があるの?
  何が行われている?
  映画では映し出されない、日常の暴力団事務所の様子を暴露します。
  でも意外と小奇麗なのですよ(笑
読む>>http://www.sugowaza.jp/reports/get/724/3746/

◇好色! エロスでおぼえるギリシャ神話
  ギリシャの神さまは物欲も性欲もいましめません。
  色の道、恋の道をガンガン突き進みます!
  娘は誘拐する、人妻は奪う、人間の男がどんなに懸命に隠しても、
妻や娘のところにしのんできます。
  人間くささ炸裂のギリシャ神話を、お笑い「ちょー意訳調」でレポート。
  あまたある神話の中から、これだけ知っておけばOKの
主要12神の泣き笑い物語をピックアップしました。
  ギリシャ神話をこれ以上ゆるく読める機会はないでしょう。
  スケベな神さまたちの恋バナ、どうぞお楽しみください。
読む>>http://tinyurl.com/yuhqeo
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◇連載小説 クレール光の伝説・古の【世界】 第42回  作:神光寺かをり
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 低い物腰と言葉で相手を懐柔し、相手が築かぬうちに自分の有利に話を進め
てしまうことで、彼は世を渡ってきた。
 万一、その遣り口が通用しない相手に出会えば、一目散に逃げるだけのこと
だ。大道具小道具機材の総てを捨てることも厭わない。尻をまくって遁走する。
 遠く遠くへ逃げ延びて、また旗揚げするだけのことだ。不都合があれば氏素
性を偽って、別の人間を演じてしまえばいい。
 話術も逃げ足も、そして何より演技力も自信があった。現に、こうして首が
つながっているじゃないか。
 怪しげな旗印や規範を外れた演目を掲げたドサ回りの旅を、ここまで無事に
続けてこられたという事実に基づいた自負だった。
 策が通じず、逃げ切ることもできぬ相手がこの世にいるのだということを、
彼は今日初めて知った。鉄板だと疑わなかった自信はあっさり粉微塵になった。
 しかも敵は二人もいる。
 二人の内の一人が、もう一人から逃げる時におとりにするつもりで、自ら引
き込んだ人間であることが、口惜しくてならない。
『若様の美しさがまぶしすぎて、野郎の方が翳んでいるように見ちまったのが
私《あたし》の運の尽き』
 足掻いても仕方がない。
 開き直ったマイヤーは普段の通りに行動することに決めた。今更別の作戦を
立てたところで、付け焼き刃の「演技」を見抜けぬ相手ではないだろう。
 彼の口はいつもの通り、頭の中に浮かんだ軽口じみた台詞を吐き出した。
「何とも名が体を表す、珍しいご名字で」
 言ってすぐ、彼は己の口を両手で塞いだ。そんなことをしても出してしまっ
た声が止まるわけでも戻るわけでもない。
『全く今日の私ときたら調子が外れっぱなしだ』
 上目でそっと「ソードマン」を見た。目玉がからからに乾いてゆく気がして、
何度も瞬きをする。
 ブライトは無言のまま彼を見据えている。
 マイヤーの目には、彼がかすかに笑っているように見えた。その微笑が何を
意味するのかまでは解らない。彼が腕を組み直し、あるいは僅かに足の位置を
変える、その小さな動きが妙に恐ろしい。
 あの腕が己の喉元を狙って伸びてくるのではなかろうか、あの脚がこちらの
足下を救うのではなかろうか。
 枯れた生唾を飲み込む彼の耳に、柔らかな声が流れ込んだ。
「良い名前でしょう?」
 エル・クレールが婉然と笑んでいる。
 途端、マイヤーは自身の全身を膜のように覆っていた脂汗が、僅かに残って
いた自覚や自制と一緒にすぅっと流れ落ちてゆくのを感じた。それは彼の総身
から別の汗が吹き出したためであるが、彼自身はそのことを気にとめなかった。
「ええ、全くその通りで」
 マイヤーの脳漿は暴力への恐怖から解放されたという爽快な快楽を全身に感
じさせることに専念していた。別の束縛によって雁字搦めに縛り上げたことを
伝えるという重要な役目は、完全に放棄されている。
 美の俘虜をに打たれる縄目は、他の何よりも厳しく強固で厄介であるのにも
かかわらず。
 マイヤー=マイヨールの浮ついた心は、しかしすぐに現実に引き戻された。
 功労者はオケピの隅にいたホルン奏者だ。
 鼓膜を突き破る大音響を発生させた彼は苦笑しつつ、「巧く音が出ないので
強く吹いた」とか「唄口に何かが詰まっていた」とか「吹いた勢いでゴミが取
れた」とか「詰まりが取れた途端に音が出た」などと弁明していた。
 オケピの真ん中で指揮者が肩をふるわせている。どうやら彼の指示による
「音あわせの一環」だったらしい。すなわち、舞い上がっていた戯作者の魂を
還俗させるための手段としての、である。
 マイヤーは苦々しげにホルンを睨み付けた。憤慨したまま振り向いた彼だっ
たが、「クレールの若様」と「ソードマンの旦那」が失笑しているさまを見つ
け、気恥ずかしげに笑った。
「田舎者でしてね」
「いいラッパ吹きを抱えているじゃねぇか。惜しむらくは力量に見合った楽器
を与えられていねぇ」
 ニタリと笑うブライトに、マイヤーは
「勅使サマ方を招いてのゲネプロが無事に済んだら考えますよ」
 慇懃に頭を下げた。
「そいつはお前らの力量次第だろうよ。まずはウチの姫若さまを納得させてみ
ることだ」
「それが一番ホネかもしれませんねぇ」
 マイヤーの苦笑いが一層大きくなった。
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★Marie Antoinette Paper Dolls (Paper Dolls)Tom Tierney
価格:¥ 734(定価:¥ 864)
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最後のフランス王妃・マリーアントワネットをモチーフにした着せ替えブック。
(洋書。言語:英語)
イラストは、着せ替え用に切り取ってしまうのが惜しいほどの綺麗さ。
大人も子供も楽しめる一冊です。
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