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┏━┫ ☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人 主婦と創作☆ ┣━┓
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┗━━┛ 2006年04月08日号 通巻 173号 ┗━━┛
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初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人・銀凰恵です。
では早速今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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▲オススメメールマガジン&HP紹介
◆連載小説…流河 晶 夢つむぎ 第3回
◆連載小説…神光寺かをり クレール光の伝説・古の【世界】 第9回
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◇オススメメールマガジン紹介
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☆RORONOAきのこ的日常生活浪漫譚
こんにちわ。『RORONOAきのこ的日常生活浪漫譚』の夏葵さやかです。
このマガジンはわたしの勝手気ままなおしゃべりの世界となっております。
気楽に、気楽に、、と不定期配信。自作の詩を載せたりもしています。
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◇連載小説 <夢つむぎ> 第3回 作:流河 晶
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しばらく間があってから、穏やかな声が、僕の心にまで流れ込んできた。
“……ふむ、水晶球に映った不穏な兆しは、このことを示していたのだね……。
心配ないよ、ヴェガ。今すぐそちらへ行くから”
──パアアッ!
その声の余韻も消えないうちに、魔法陣の輝きが増し、黒いローブ姿の男が
出現した。
「──あっ」
僕は息をのんだ。
魔法陣から歩み出たその人物の眼は、鮮やかな赤だった。
後ろでゆるく束ねた髪までも変わっていて、なんと紫色をしてる。
そして初対面のはずなのに、その穏やかな眼差しは、どこか懐かしい感じが
した。
それにしても、こっちもすごい美人だ……。
「キミが異界から召喚された少年だね。お初にお目にかかる、私はモロスだ」
「あ……ぼ、僕、イサムです、初めまして」
ボケッとしてた僕はあわてて、差し出された手を握った。
若いように見えるのに落ち着いた物腰をしてる美女の手は、指もすんなりと
長く、おまけにひんやりしてて、やっぱり誰かを思い出させる。
だけどこの手、女性にしてはやけに大きいような。
今日はホント、ヘンなことの連続だぁと思いながら、近くでよく見ると……。
「……あれ? ひょっとして、男……!?」
びっくりして叫ぶと、と相手は気を悪くした風もなく、微笑んだ。
「そうだよ。残念だったね、女性でなくて」
「あ、いえ、ど、どうもすみません……!」
僕は顔から火が出そうになり、慌てて頭を下げた。
「モロス様、本当にイーサは、イサムと入れ替わってしまったのでしょうか
……」
あたふたしてる僕にはお構いなしに、すがるような眼差しでヴェガが訊く。
優しく彼女を見下ろし、うなずくモロス。
そうしてると、まさにイケメンカップル。ガキっぽいイーサなんかより、
モロスの方が、よっぽど彼女に似合ってるよなーって思ってしまう。
「可能性は高いね……。それを確かめるには、イサムの心に同調させてもらわ
ねばならない。
お願いできないだろうか、イサム」
いきなり話がこっちに振られたんで、僕はびっくりした。
「──え? ……何、心に…同調って? まさか、心を覗かれんの?」
モロスは首を横に振った。
「心を読んだりはしない、約束しよう。キミを通じてでないと、キミの世界に
夢を飛ばすことができない。イーサも、見つけることはできないのだ」
「──お願い、イサム、手を貸して! 早くイーサを見つけたいの、もし彼に
何かあったらと思うと、わたし……!」
ヴェガは両手を握り締め、必死に僕に訴えかける。
心に同調する……よくわかんないけど、正直、あんましいい気持ちはしない。
でも、いっぱい涙を溜めた美女の瞳に見つめられたら……。
「──ええい、くそっ、僕も男だ! イイよ、約束守ってくれんなら!」
「ありがとう、イサム!」
やけっぱちで言ったけど、結果オーライ。いきなりヴェガが抱きついてきた
んだ。
そして、彼女の胸の谷間が、目の前に……。顔がかあっと熱くなり、心臓が
バクバク言い始め、僕はマジ、眼のやり場に困った。
「さあ、では、さっそく始めよう。魔法陣の中に入ってくれ」
モロスの声にヴェガは離れ、僕は複雑な気分だった。
おんなじ顔してんのに不公平だよな、恋人は美人の上に、すっげーお城の
女王様、ときてるんだから。
僕のそんな思いも知らずに、隣に立ったモロスは、僕のおでこに二本、軽く
指を当てた。
「キミの世界を、なるべく詳しく想像して。初めは大きく、だんだん小さく
細かいところへ視点を移動していってくれないか」
そう言うと彼は、口の中で何かブツブツ唱え出した。
「あ、うん……わかった」
僕は頭を切り替え、宇宙から地球全体を見たところを想像した。
徐々に視点を近づけていく。日本列島……住んでる街、アパート、僕の部屋、
そしてベッド。
そこに退屈そうに寝転んでるのは……。
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┌───☆│電||子||書||籍||掲||載||無||料|☆───┐
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│ 詳しくはこちら → http://www.digbook.jp │
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私は何のために生まれて、どうしてここに今、いるのか。
それを絶対に知りたい。その想いがますます溢れてきます
『あなたが生まれてきた理由』
http://af1.mag2.com/m/af/0000007481/001/s00000003643001/015
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◇連載小説 クレール光の伝説・古の【世界】第9回 作:神光寺かをり
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実のところ、彼のフレキ評はどれもこれも「ある程度は事実」だった。
幼い頃から活発で武術好きな今上皇帝フェンリルから比べれば、学問と読書
を好むフレキはおとなしい性格といえる。
個人的な書庫として使っていた古い別荘の床板が腐って落ちたのも事実。
集めた古い書物に注釈を付けた書籍を数冊編纂したのも事実。
兄が帝位を次いだ後は宮殿を出、帝都から離れた領地ガップに住み暮らして
いるのも事実。
そのガップはもとより痩せた土地故、税収が乏しいのも事実。
そして女性との浮いた話がついぞ出ないと言うのも又事実。
嘘ではないが確証もない悪態を瞑目したまま言い立てる彼に、エルはきっぱ
りと答えた。
「どんなことでも、あなたが知る限りを、ことごとく総て」
「どうしようもねぇな」
妙に穏やかな声音で言い、ブライトは重たそうに瞼を持ち上げた。眼球が半
分だけ露出する。瞼や頬にあった痙攣が、すっかり収まっていた。
「お怒りにならないんですか?」
エルは残念でならないといった口ぶりで聞いた。
「ガキじゃあるめぇし、そうそう癇癪起こしてもいられねぇよ」
彼はホンの一瞬ニタリと……自嘲ともとれる卑屈さで……笑った後、
「それにな、むしろあっちが気がかりだ。アレがハッタリじゃねぇとしたら、
よっぽど度胸のある座長か、間抜けな興行主に違ぇねぇと思ったら、怒る気が
失せらぁな」
件のポスターを指さした。
「おっしゃっていることの、意味がわかりかねます」
エル・クレールが唇を尖らせる。
ブライトは、今度ははっきりと彼女を小馬鹿にしていると判る笑みを唇の端
に浮かべて、指を三本立てた。
「あそこの紙切れに書いてある『フレキ=ゲー』なる人物が誰であるのか。考
えられるパターンは三つだ。
一つ。本名か筆名が偶然あの末成りと一緒だったに過ぎない悪意のない『別人』。
二つ。あの末成りが普段使ってる名前を意識して名乗っている、乃至は、
誰ぞが書き飛ばした台本に野郎の名前を接げて箔を付けさせようってぇ、
浅はかな『大法螺吹き』。
三つ。あの末成り『本人』」
右手の指を折り曲げながら、彼は数え上げ、続ける。
「一つ目だとしたら、その戯作者はかなりうかつな奴だ。……仮にも今上の弟
で、世が世なら皇帝陛下だって野郎の名前を、偶然だとはいえそのまンま名乗っ
てたら、憲兵に『皇帝に敬意を払わない不遜者』だと目を付けられるだろうし、
下手すりゃ皇帝侮辱罪なんてくだらねぇ罪状をでっち上げられて、出世のネタ
にされかねねぇ」
言いつつ、彼は左手で後頭部をなでさすっている。皇族がらみの話になって、
ジクジクと頭痛がするらしい。
「二つ目なら、良くも悪くも知識人としては世界一有名な野郎の皮をかぶって、
大博打を打ってるってぇことになる。
洛陽の紙価を高めた『名前』につられて客が入るかも知らんが、バレたらそ
れこそ手鎖じゃすまねぇ。皇族を騙った大悪人てことで、間違いなく一座どこ
ろか三族そろって『こう』だ」
左手が後頭部から首元に移動した。
彼はそれで手刀を作り、水平に動かして見せる。
エルは息を呑み込んだ。頭の片隅に、磔台の上で泣き叫ぶ子役の姿が浮かんだ。
ブライトは無意識に萎縮した彼女の肩を見ると、小さくため息を吐いて再び
瞑目した。
「末成りが書き留めた駄文を原作になんぞやろうってぇなら、お上の許可を得
ない訳には行くめぇよ。もっとも、滅多な申請にゃ許可なんか下りんだろうがね。
つまり、一枚っきりのポスターを後生大事に使い回すようなドサ回りが、錦
の御旗を担いでいる筈もねぇってこった。
だから三つ目だとすると、厚顔無恥にも野郎の著作を勝手に引っ張り出して、
根性で無許可営業しているってぇことになる」
「それで、あなたはどれだとお思いなんですか?」
エルが訊ねると、ブライトはふてくされた顔で、指を二本……いや遅れて薬
指をゆっくり伸ばして、都合三本立てた。
「良くできた戯作者に書かせて肩書きだけ変えてるってのも考えられなぁねぇが……。
そうだとしても、ポスターがボロボロになるまで同じ演目を続ける前に、
目の肥えた客に偽物だと気付かれる」
ちらりと目を開けて、彼はエルの顔を見た。
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