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┗━━┛            2006年04月01日号 通巻 172号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 花冷えの今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人・銀凰恵です。
 では早速今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介 
 ◆連載小説…流河 晶 夢つむぎ 第2回
 ◆連載小説…神光寺かをり クレール光の伝説・古の【世界】 第8回
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◇オススメメールマガジン&HP紹介
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◇連載小説 <夢つむぎ> 第2回       作:流河 晶
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 ……悪い予感がした……。
 ひょっとしてこれが、タイムスリップってヤツじゃないのか?
 何しろヴェガの服ときたら、何百年も前のお姫様が着てたような、ぶわっと
したドレスなんだ。
「そうだ、キミ、地図持ってないか? 地図見れば……わかるんじゃないかな
……」
(けど……すっげー昔の地図が出てきたりして……)
 ちょっとビビりながら、僕は言った。

「それもそうね、今出すわ。
 ──カンジュア!」
 彼女は呪文らしきものを唱えた。いや、それは本当に、魔法の呪文そのもの
だった。
 だって、何もなかったはずの彼女の手に、いきなり巻物が現れたんだから。
「な──何なんだ、今の!
 動きが全然見えなかった、キミ、魔法使えるのか!?」
 僕が叫びに、彼女は眼を丸くした。
「あなた、魔法を見たことがないの?」
「──ない。僕の国……いや、僕の世界では、魔法を使う人間なんて一人も
いない!
 それ、貸せよ!」
 僕は彼女の手から巻物をもぎ取り、パッと机の上に広げた。

 その瞬間、僕は息が止まりそうになった。
 現実は、いやな予感を上回っていたんだ。地図に描かれた地形は、まるで
鏡にでも映したかのように、全部反転していた……。

「──な、何なんだ、コレ!? 地形がみんな裏返しだ!? 
 どーゆうことだよ、異次元にでも迷い込んだのか……!?」
「イジ…ゲン…? 地形が何…ですって?」
 けげんそうな顔のヴェガに、僕は、壁の鏡に地図を映して指差した。
「──ほら、これが僕の世界。まるで逆だろ。
 待てよ、逆…っつーことはもしかして、僕とイーサってのも、なんかの拍子
で……」
「まさか、入れ替わってしまったというの!? そんな、どうしましょう!」
 ヴェガはまっ青になり、深い緑の眼が涙でうるんだ。
 ホント、僕も泣きたい気分だった。
 僕らは途方に暮れて黙り込み、外を吹き渡る風の音が、よけい大きく耳に
響いた。

 でも、ヴェガはすぐに立ち直った。
「──そうだわ、モロス様! そうよ、あの方なら、必ず何とかして下さるわ。
 イーサ……いえ、イサム、戻りましょう!
 ──ムーヴ!」
「──わ……っ!?」
 いきなり僕は、ふわっと体が浮き上がるような感覚に包まれた。
 そして次の瞬間、目の前に、とてつもなくでっかい鉄の門がそびえ立って
いたんだ。
「──ひええ……な、何が起こったんだ……」
 僕は腰を抜かしかけていた。

「ごめんなさい、驚いた?
 ここはわたしの城よ、急いでいたから魔法を使ったの。
 ──今戻ったわ。いつもご苦労様ね」
 門番の兵士にヴェガは声をかけ、ヨロイ姿の彼らは、さっと膝をついて礼を
した。
「お帰りなさいませ、陛下」
「──開門!」
 がっしりした門が、兵士のかけ声と共にすべるように開いていく。

「キミの……城? 陛下……って、まさか……」
「あら、ごめんなさい、まだ言っていなかったわね。わたしはこの国の女王
なの。
 そしてイーサは……わたしの恋人……」
 彼女は眼を伏せた。ちょっと引っかかるものを感じたけど、何かを尋ねる
ヒマもなかった。

 ──ガラガラガラ…ッ!
「さあ、急ぎましょう」
 轟音を立てて大きな跳ね橋が下りて来ると同時に、彼女は走り出したんだ。
「あ、ま、待ってくれ!」
 日頃の運動不足がたたってる。やっとこさ追いついたら、そこはもう城の中。
「ヴェガ、キミ、足、速っ……はっ、はぁ……」
「大丈夫?」
「な……なんとか……」
 息を整え、顔を上げる。するとそこには、目もくらむような眺めが待ち受け
ていた。
「──うわあ、すっげ──!」

 迷子になりそうな長い回廊、敷きつめられたふかふかのじゅうたん。天井か
ら下がる、でっかいシャンデリア。壁を飾るたくさんの絵画。窓にはステンド
グラス。あちこちに置かれた高そうなツボ。立派な作りのドア。
 おまけに、大理石かなんかでできてるらしい階段の手すりには、数え切れ
ないほどの宝石が煌いていた。
「こっちよ、イサム」
 その階段をヴェガについてどんどん上っていく。
 ようやく彼女が、ひときわ華麗なドアの前で歩みを止めたとき、僕は足が
笑っていた。明日はきっと、筋肉痛だな。

「ここがわたしの部屋よ、さ、入って」
「え……い、いいんですか、僕みたいなのが……」
 女性の部屋だぜ。しかも女王様の。……なんて思うと、口調もつい改まって
しまう。
 彼女は、うっとりするような笑みを浮かべた。
「そんなにかしこまらなくていいわ、イサム。こにある魔法陣でモロス様を
お呼びするのよ、遠慮しないで」
「お、お邪魔しまぁす……」
 彼女の後から、おずおずと僕は部屋に足を踏み入れた。

「……アレ? なんか……思いっきりイメージ違うんですけど?」
 中はさすがに広かったけど、意外にも、豪華絢爛(けんらん)ってわけじゃ
なかった。
 置いてある家具も、他よりかなり安っぽい……と言って悪ければ、庶民的…
…とでも言っとこうか。
「贅沢品があふれているところでは、彼は落ち着けないのよ。わたしもこの頃
では、そう思うようになってきたわ」
 ヴェガは、壁に飾ってある小さな絵を指さした。

 栗色の髪、明るい栗色の眼。照れくさそうな笑みを浮かべてるのが、イーサ
だった。年もやっぱり同じくらい、ただ髪の分け目が僕と反対で、……あ、
ホクロの位置も逆だ。僕は右眼の下にあるけど、イーサのは左眼。

「けどさー、恋人にしちゃ、ずいぶんガキじゃん? どこがイイのさ、こいつ
の?」
 何気に言ったら、ヴェガの表情がくもり、僕はあわてて話題を変えた。
「あ、ご、ごめん……。
 ──でもホント、似てるよな、たしかに。僕、ジイちゃんがガイジンなんだ。
 そんで純粋な日本人より眼も髪も茶っぽいんだけど、そこもおんなじみたい
だねー」

「……恋に年齢や身分は関係ないわ……」
 彼女は僕の話を聞いちゃいないようだった。声はささやくようになり、緑の
瞳も輝きを失った。
(……そっか。ヴェガは女王様だけど、イーサはどう見ても庶民だしな……
周りから何だかんだ、うざいこと言われてんのかも……)

 そう思うと、僕は、自分をぶん殴りたい気分になった。
「うん、ごめん、変なこと言っちゃって……。ホントの愛があれば、カンケー
ないよな。
 あ、そうだ、誰かに来てもらうんじゃなかったっけ?」
「……いいのよ、気にしないで。それより、あなただって早く帰りたいわよね。
モロス様をお呼びしましょう」
 ヴェガは気を取り直して、隣へ通じるドアを開けた。

 隣室は壁が一面の本棚になっていて、タイトルも読めない本がぎっしり納め
られている。多分、魔法関係の書物なんだろう。そして部屋の真ん中にでっか
い魔法陣が描かれ、薄緑の光を発していた。
「静かにしていてね」
 そう言うとヴェガは、魔法陣の前にひざまずき、何事かを祈った。
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◇連載小説 クレール光の伝説・古の【世界】第8回   作:神光寺かをり
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 ブライト=ソードマンはギュネイの帝室を嫌悪している。
 それは頭痛と吐き気を催し、時として正気を失うほどの激しい感情であると
いうことを、エルはよく判っている。
 もっとも彼に限らず、今の支配者達を良く思っていない人物は少からずいる。
 理由は各々様々だろう。
 前の王朝にへの忠誠心、宗教的な対立、政治思想の違い、成功者への嫉妬、
権力者への反抗心、個人的(乃至は一族的)な憎悪、過去に対する憧憬……。
 ブライトがどの様な「理由」からその感情を抱いているのかは知れない。
 共に旅をする上では理解する必要性があるのやもしれぬが、エルにはそのつ
もりがない。
 直接的な血縁はないが縁の繋がる人々に対する彼の感情の悪さの由縁を、
彼の口から聞かされたくないというのが、彼女の心情だった。
 彼はことさら「嫌いな人物」に対する嫌悪感を押さえることを知らない。
 よしんば、その顔が笑顔であり、声音が平静であったとしても、頭痛と狂気
が変じた『尖った悪意』が皮膚を突き破ってにじみ出るのだ。
 周囲の者、あるいは彼自身が、その細く鋭い感情に気付いていないとしても、
エルは感じ取ってしまう。その切っ先はギュネイと縁の深い彼女の胸を痛ませる。
 胸の痛みの上に耳からも言葉の毒を盛られてはたまらない。であるから、彼
女は敢て訊ねることはない。
 ところが人間という生き物は複雑にできているらしく、触れれば痛いと判っ
ている針の先に敢て指を添えることをしたがる。
 今もそうだ。
 目の前の風采の上がらない男が、悪態を吐くか、あるいは、苦虫を噛み潰し
たような顔で舌打ちするかするのを、彼女は待ちかまえている。
 己から敢て訊ねているのではない。相手が勝手にしゃべることだ。
 己の胸に言い訳を聞かせると、エルはまぶたを痙攣させながらポスターをに
らみ付けている15も年嵩の男の様子を、じっと見つめた。
『きっとこの人は、唾棄する筈。叔父……いいえ、多分叔父と同姓同名の戯作
者か、あるいはその名前にこだわる私に対して』
 まるで剣山の上に手をかざしているかのようだ。それも針先が触れない程度
の、しかし僅かな揺らぎを得れば指先が傷つく距離をもって。
 そして白い皮膚の中から己の赤い血潮がにじみ出ることを待ちかまえている。
 ところが、普段なら燐が突然炎を上げるように、瞬間的に悪態を吐き始める
はずのブライトが、口を真一文字に結んで黙り込み、痙攣する瞼を静かに閉ざ
したのだ。
 ほんのひとときか、あるいは小半時か、エルが不安に駆られだした頃、彼は
小さく言った。
「お前さんは、俺が怒り出してあの『意気地のない末成り瓢箪』の話をするの
を期待してるんだろう?」
 人々が言うところに依ると、ヨルムンガンド・フレキは背の高い痩せ男だと
いう。その身体的特徴を揶揄してブライトは「末成り」と呼びつける。
 実際のフレキが「末成り」と呼べるような病的に痩せた体躯であるかどうか
定かでない。
 ただ、しなやかな筋肉を鎧うた大柄なブライトからしてみれば、大概の男は
痩せっぽちなのは確かではある。
 彼は瞼を閉じたまま、目玉をぐるりと動かした。……瞳が開かれれば、尖っ
た眼光がエルの顔を射抜くに違いない。
 息を呑んで、しかし彼女は胸を張って答えた。
「フレキ叔父は私と親交のある親類です。親交といっても、父との間に幾通か
書簡のやりとりがあった程度ですが……。それでも知った人のことです。多少
ネガティヴな情報でももっと知りたいと思っては、いけませんか?」
「情報、ね。例えば、剣術はからっきしの先端恐怖症だとか、人前に出るのが
嫌いな根暗だとか、役に立たねぇ本の蒐集癖が祟って床が抜けたとか、飯の種
にもならねぇような駄文の書き飛ばしを連発しやたったセイで帝都の紙価が倍
に跳ね上ったとか、玉座をかっ攫われたってのにその相手に遠慮して山ンなか
に引っ込んで隠者を気取り、その狭めぇ領地の切り盛りに失敗した政治的無能
だとか、女嫌いで男として不能だとか。他にゃどんなことが聞きてぇンだ」
 ブライトは険と嫌味がたっぷり染みこんだ小声の早口を一息にまくし立てると、
生意気な悪童が近所の娘……どうやら別の男に気があるらしい……に向けるよ
うな、卑屈で嫌らしく意地悪で不安げな笑みを口元に浮かべた。
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