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┏━┫ ☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人 主婦と創作☆ ┣━┓
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┗━━┛            2006年03月25日号 通巻 171号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人・銀凰恵です。
 今週より流河晶さまの新連載が始まります。
 では早速今週の作品をどうぞ。
 
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★文芸同人「主婦と創作」ではあなたの作品のご投稿をお待ちしています。
投稿は専用メールフォームで。
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投稿に際しては投稿規約(http://mm.9no1.gozaru.jp/03.html)必読です。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介 
 ◆連載小説…流河 晶 夢つむぎ 第1回
 ◆連載小説…神光寺かをり クレール光の伝説・古の【世界】 第7回
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◇オススメメールマガジン&HP紹介
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☆詩の小箱
  みなさま、こんにちは。
  メールマガジン【詩の小箱】では、解説とエッセイを添えて、
  毎週金曜日に著名詩人の詩をお届けしています。
  発行者自身も詩集を出版し、地域情報紙で連載エッセイを書いています。
  週末のひとときを詩とともに。心あたたまるお時間となりますように。
  ご登録はこちらから・・・http://www.mag2.com/m/0000170877.html

☆「夢・希望を育てるHP365」
  ビジネスや恋愛、そして心を癒す言葉の数々。
  詩、エッセイ、ショートストーリーなど盛りだくさんで
  頑張るあなたを応援します。
  ぜひ読んでください。http://www.magachan.com/maginfo.php?id=388&fid=56
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◇連載小説 <夢つむぎ> 第1回       作:流河 晶
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(ここは一体、どこなんだ……?
 なぜ……僕はこんなところにいるんだ……)

 気づくと、僕は何もない空間を漂っていた。辺りはただ、漆黒の闇。
 それでも眼が慣れてくると、はるか前方に、二つの集団が戦っているのが
見えてきた。
 一方は、白く輝く天使の軍団。
 もう一方は、色も形も様々な……悪魔。
 一進一退の攻防。だがやがて、巨大な四頭のドラゴンが現れると戦況は一変
した。
 紅いドラゴンが、先頭で青白い火炎を吐く。黒いドラゴンは闇色の毒息、
朱色はオレンジ色の炎で天使を次々に倒してゆく。緑は回復役だ。バラバラ
死体さえ蘇生させてしまう。
 見とれている間に戦場は徐々に近づいて、火炎が僕のそばをかすめた。

「──わ…っ! あ、いけね……」
 すぐに口を押さえたが、遅かった。
 紅いドラゴンは顔を上げ、僕に気づくと、すごい勢いで向かってきたんだ。
 逃げようにも体が動かない。必死にもがいている間に、ドラゴンはみるみる
迫ってくる。
 目の前で急停止したそいつは、巨大な口をカッと開けた。
 中には、鋭い牙がずらり!

「──うわあっ!!」
 飛び起きると、そこは、見慣れた自分のアパートだった。
(あ……。な……何だ、今のは? 夢……?
 いや、夢にしちゃ、やけに生々しい……)
 震える手で汗をぬぐい、口から飛び出しそうな心臓を静めようと、僕は大き
く息をつく。
(……でも、どこか変だ……?
 何だか……前にも同じようなことが…あった気がする……?)
 そう思った途端、
「──痛たたた、痛いっ…!!」
 頭に激痛が走り、それが消えたとき、僕はすべてを思い出していた。
(そう…だ、どうして忘れていたんだろう……あれは……そう、高二の夏休み
……)

          *        *        *

 窓から差し込む日の光に、僕は目覚めた。
「──ヤベー寝坊したっ! なんで目覚ましのヤツ、鳴らねーんだっ!? 
 ──あああ、もう! 今何時だよっ!?」
 僕は焦って時計を探す。
 その頃僕は、夜中から朝にかけてコンビニのバイトをやっていた。時給が
いいんだ、皆やりたがらない時間帯だから。
 けれどいつもの場所には、デジタル時計は見あたらなかった。
「どこ行った……って、あれ?」
 顔を上げた僕は、ぽかんと口を開けた。だって僕が寝てたのは、見たことも
ない部屋だったんだから。

「──え? な、何だ、ここ、どこだ……? なんで僕は……こんなトコに
いるんだ?」
 パニクりかけて、僕は胸に手を当てた。
(落ち着け、慌てずよく考えろ、イサム。
 ……えーっと。ゆうべはたしか、自分ん家で寝たんだったよ……な。
 ──あ……れ? それとも……友達んトコに泊まったんだっけ……?)

 もう一度ゆっくり見回すと、十畳くらいあるこの部屋は、床も天井も壁も
全部板張りで、かなりのボロ。家と言うより、小屋と言った方がいいかも。
 それでも僕が寝てたのと、並んでるもう一つのベッドは新しいみたいだった。

(……やっぱ違うな。友達の部屋にしちゃ見覚えないし、何か変だぞ、ここ
……。
 ──そっか、電化製品がないんだ、全然。ゲーム機はもちろん、テレビに
ビデオ、エアコンに……おいおい、電灯もないのかよ?)
 その代わり古めかしい燭台が、オンボロ机の上に乗っかっていた。
 窓の外には建物もなく、砂漠みたいな感じの景色が、遥か彼方まで広がって
る。
 僕はほっぺたをつねってみた。
「──痛てっ!」
 やっぱり夢じゃない。けど……これからどうしたらいいんだろう。

「……とりあえず、外に出てみっか? まず、ココがどこか知らなきゃ、だよ
な。
 ──あ、服。ちょうどいいや。パジャマのまんまじゃカッコ悪りぃし」
 僕は、枕元にきちんとたたんであった服を手に取り、袖を通してみた。
 肌触りのいいシャツは、鮮やかな朱色。多分、シルク……かな。深緑の細身
のズボンも、かなり上等の生地を使ってる。
 だけど。
(何だ、この服。キモいくらい、サイズがピッタシだぞ……?)
 そう思ったとき、ドアがノックされた。

「えっ、あ、ど、どうしよう……」
 あたふたしたけど、どうしようもない。僕はただ、開いていく木のドアを
見つめていた。
「あら、今お目覚め? いつまで経ってもお寝坊さんね」
 入ってきたのは、ものすごい美女だった。窓から差し込む光に輝く黄金色を
した巻き毛、印象的な深いエメラルドの瞳、長いまつげ、ふっくらとした紅い
バラのような唇。大きく胸の開いた薄緑色のドレスから覗く胸元は、陶器みた
いに白く、なめらかだった。

「……どうしたの? イーサ。わたしの顔に何かついていて?」
 女性は優雅に首をかしげ、その動作でキレイな顔にふわりとかかる、金の
巻き毛をかき上げる。
 僕は生ツバを飲み込んだ。
「あ、あの、キミは……? イーサ……って……誰…だ?」
 美女は、くすくす笑った。
「まだ寝ぼけてるのね。もうお昼近いのよ、イーサ。となりの部屋でご飯を
いただきましょう」

「……?」
 夢じゃないのは確認済み。どうやら僕は、イーサってヤツと間違われてる
らしい。
「ひ、人違いだよ、僕はイーサじゃない」
 僕の返事に、美女はあっけにとられた顔をした。
「な……なにを言い出すの、イーサ」
「僕はイサムだ。どこなんだ、ここ。キミが僕を連れてきたのか?」

「……イサム……ですって……?」
 しばらくの間、僕の顔を穴が開くほど見つめていた彼女は、はっとしたよう
に口を押さえた。
「──まあ、イーサじゃないわ、この人!
 あなた、誰!? なぜイーサに化けてるの!? 彼をどこにやったの!」
「──だーかーら、イーサなんて知らねーよ、僕はイサム! 生まれつきこの
顔だっ、キミこそ誰なんだ!
 ──あーもう、わけわかんねーっ!」
 僕は、頭をかきむしった。

 すると美女は、ふっと息をつき、となりのベッドに腰を掛けた。
「──待って。冷静になりましょう、お互いに。
 あなたもそこに座って下さる?」
「そう……だな。興奮して怒鳴りあってるだけじゃ、しょうもないよな……」
 起きたばかりだってのに、今のでものすごく疲れた僕は、力なくベッドに
腰を下ろした。

「まず自己紹介した方がいいわね。わたしの名前はヴェガよ。
 ここは……イーサの家で、ファイディー国の北端、“刻の砂漠”の近くに
あるの。
 ──でも、あなたは本当にイーサそっくり。びっくりしてしまったわ」
「そんなに似てる?」
「ええ、まるで双子みたい」

 僕は首を振った。
「でも、僕には兄弟はいないよ。……っていうか、両親はもう死んじゃってて、
ジイちゃんはどっか外国にいるし……」
「まあ、イーサにも近い親族はいないのよ。ええとそれで……あなたはイサム
……だったわね、どうやって、どこから来たの?」

 今度は僕が、ため息をつく番だった。
「……それがさー、どうやって来たんだか、僕にもさっぱりなんだよ、ヴェガ。
 ゆうべは、ちゃんと自分の家で寝たんだ。……ああ、僕ん家は日本にあるん
だけど。なのに、今起きたらココにいてさ……」
「まあ、どういうことかしら?」
 彼女はまた首をかしげた。

「それがわかりゃね……。わかんないと言えば、ファイディー国とか、“刻の
砂漠”なんて聞いたこともないな」
「ええっ? かなり大きな国なのよ、ここは」
 ヴェガは緑の眼を見開く。そうするとさらにキレイだ。
「でも、ニッポン……ってわたしも知らないわ。
 ……おかしいわね。国名ならわたし、すべて覚えているはずなのに……?」
「日本を知らないって?」
 僕らは顔を見合わせた。
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◇連載小説 クレール光の伝説・古の【世界】第7回   作:神光寺かをり
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 驚きに持ち上がったエルの顔の前で、彼は指を2本立ててみせる。
「第一に、領民が喜ぶ。第二に、帝都に偽報を流せる」
「どういう意味でしょう?」
「言論と芸術は締め付けすぎると暴発する。ある程度は大目に見ておけば、
とりあえず領民が王様に不満を言うことはない。これが一つ目。
 適度に『取り締まらない』ことによって、対外的には『領内を統治し切れて
いない暗愚な殿様』を装える。こいつが二つ目だ」
「しかし、暗愚が過ぎれば、それは取りつぶしの格好の材料になりはませんか?」
 当然の疑問に対し、ブライトは少々見下すような笑みを浮かべた。
「その時結局はその興行、取りやめになりゃしなかったか? 親父さんの家臣
の中でも頭の切れるヤツが、座頭に掛け合うか何かしただろう」
 小馬鹿にされていることに気付いたエルだったが、それに対する抗議はでき
なかった。
 記憶をたぐれば、確かに一座は芝居の演目を変えていたのだから。
「祐筆のレオンが父に何か進言したようです。詳しくは覚えていませんけれど」
「そうやって『殿様が抜けてても回りに優秀なのがいてもり立てていますから、
下手に手出しをしない方が良策ですよ』ってアピールをした訳だ。
 計算ずくでな」
 ジオ3世に対して向けられているであろうブライトの笑みに、下卑た軽蔑は
微塵もなかった。
 エル・クレールの顔は得心と安堵と、少しばかりの誇らしさに満ちた。
 が。
「ところでお前さん、何を唐突に『作り話のお定まり』の疑問を蒸し返したり
したんだ?」
 今度はブライト=ソードマンの顔の上に疑問の色が広がっていた。
 エルは童女のように微笑んだ。
「この祭りにも地回りの劇団が来ていて、時代物を上演すると聞いた物ですから」
 祭りの雰囲気は、通りすがりに過ぎない彼女の心をも浮つかせているらしい。
 ブライトは酷く驚いて、
「おいおい、まさか芝居見物がしたいなんて言うんじゃなかろうな? 普段な
らお前さんの方が木戸銭を惜しがるんじゃないかね」
 エルは彼の的を射た嫌みに苦笑いしながら店の片隅を指さした。
 薄汚れた手書きのポスターが一枚、申し訳なさそうに壁に貼られていた。
 それは貼らない方がましかも知れないほど、何とも哀れな様相を呈している。
 なにしろ絵柄も画力もお世辞にも上手とは言えない。色遣いやデザインのセ
ンスにも首を傾げたくなる。
 それを長い間大事に使い回しているのであろう。四隅と言わず鋲や釘の痕が
あり、その穴から裂け目が縦横に走ってい、それを裏紙で補修しているのが遠
目にも判る。
「偶然ではあると思いますが、なんとも戯作者の名前が気になりまして……。
何分、あれとよく似た名前の叔父がおりますので」
 ブライトは眉間にしわを寄せ、ゆがんだカリグラフをめねつけた。
『戦女神クラリス 作:フレキ=ゲー』
「目の良いことだ」
 彼は野犬のうなりのような声でつぶやき、後頭部を激しく掻きむしった。
 エルはその様子を、ある種の期待を持って見つめていた。

 エル・クレール=ノアール……というか、クレール=ハーン姫……が「叔父」
と呼べる血縁は、父方にはいない。
 彼女の「叔父」に当るのは彼女の母方の縁者だけであり、それはつまりギュ
ネイ帝室に繋がる人物と言うことになる。
「フレキ=ゲー」もやはり母方の縁者だった。
 本名をヨルムンガンド・フレキ=ギュネイという。
 ギュネイ初代皇帝ヨルムンガンド=ギュネイとその皇后との間に生まれ父親
からファーストネームを受け継いだ彼は、それにもかかわらず帝位を継げなかった。
 父に、もう1人息子がいたためである。
 彼よりも僅かばかり早く生まれ、長子の権利を得たそのもう1人の息子こそ
が、今上皇帝・フェンリルである。
 そのことを理由にしてか、あるいはもっと別の思うところがあるのか、ヨル
ムンガンド・フレキはは自身を示すのにファーストネームを使わない。
 そればかりか姓までも名乗ることを憚る。
 どうしても姓名を名乗り、あるいは記名せねばならない場合は、ミドルネー
ムと苗字の頭文字だけを用いるのだ。
 すなわち「フレキ=ゲー」と。
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