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┏━┫ ☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人 主婦と創作☆ ┣━┓
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┗━━┛            2006年02月18日号 通巻 167号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人・銀凰恵です。
 では早速今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介 
 ◆連載小説…流河 晶 自由への白き翼 第9回
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 ◆連載小説…神光寺かをり クレール光の伝説・古の【世界】 第2回
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◇オススメメールマガジン&HP紹介
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◇連載小説 <自由への白き翼> 第9回       作:流河 晶
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 翌日、早起きをしたイナンナは、密かに屋敷を出る準備を始めた。
 母と曾祖母に迷惑がかかるかもしれない……それだけが気がかりだったが、
権力者にいくら抵抗したところで、自分の意志を通すことは不可能に近く、
最終的に結婚させられてしまうのは眼に見えていた。
 国王も、いざとなれば問答無用に後宮に入れてしまえばいいと思っている
からこそ、期限を一年延ばしてくれたのだということが、聡明な彼女には明瞭
に察せられたのだ。
 顔を見たこともない相手と、無理やり結婚させられる……などとと考える
だけで、死んでしまいたいような気分が募る。

(……いいえ、ダメよ、死ぬなんて。
 王都を出てしまえばこっちのもの。窮屈な生活とも、今日限りでさよならよ!)
 そう思うと、気分も浮き立ってきて、準備はどんどんはかどった。

 やがて召使が呼びに来て、澄ました顔でイナンナは朝の食卓についた。
 昨日はほとんど食事をとっていなかったこともあって、口に運ぶすべての
料理が、いつもより美味に感じられる。
「イナンナ、今日はずいぶん食欲があるのね」
「ええ、お母様。きのうは、あんなことがあって食べられなかったから、お腹
がぺこぺこなの。
 みんな、とってもおいしいわ」

 気遣わしげな母に笑顔を向けて、彼女はいつもよりたくさん食べた。それを
見たメリアは、期限が延びて安堵したのだと解釈したようだった。
 また、曾祖母は、気分がすぐれないと朝食には出て来なかったので、彼女は
ほっとした。昨日のことで、何か言われるかもしれないと思っていたのだが。

 朝食を終えると、いつも通り家庭教師の授業を受け、昼食も何食わぬ顔で
普通にとる。
 曾祖母も食卓についていたが、何も言われなかった。母が何か、言い含めて
くれたのかもしれない。
 その後、部屋に戻った彼女は再び準備に取り掛かった。

 旅をするときは、売り物以外の持ち物は最小限に。それが父の口癖だった。
そのためさほどかからずに、荷物の準備は整った。
(──これでよしと。
 ……あとはお金かな。銅貨が手元にないのは困りものだけど……)
 小額の貨幣がないと、つり銭をもらうときなどに不便だというだけではない。
 高額な金貨の持ち歩きなど、物盗りを呼び寄せているようなものだと、父は
生前、よく言っていた。
(……仕方ないわ。
 指輪やペンダントを持っていって、どこかで売りましょう)
 彼女はアクセサリーもいくつか、小分けして袋に詰めた。

(……最後は、服装ね。ドレスは動きにくいし、それに、こんな目立つ格好
じゃ、すぐ見つかって連れ戻されてしまうわ。
 髪は切って帽子をかぶり、男の格好をすれば……そうだ、服は、ヘイガーの
お古をもらえばいい)
 鏡の前で、イナンナはつぶやいた。


 午後も遅くになって、散歩を装い、彼女は庭へ出た。ヘイガーは、父親と
一緒に庭木の手入れをしていた。
「これはイナンナ様」
 庭師がつばの広い帽子を脱いで、頭を下げる。
「いいのよ、お仕事の邪魔はしないわ、続けて」
 しばらく近くのベンチに座り、ぼんやりと二人の仕事振りを見ていた彼女は、
やがて独りで別の場所の手入れを始めたヘイガーにそっとついて行った。

 周囲を見回し、誰もいないのを確かめると、イナンナは小声で彼に声をかける。
「……ねえ、ヘイガー、お願いがあるの」
 すると彼女の深刻な様子に気づいたらしく、ヘイガーも声を潜めて尋ね返し
てきた。
「どうなさったんですか、イナンナ様。お顔の色が悪いみたいですけど……」
「ヘイガー、何も聞かないであなたの服、わたしにちょうだい」
「──へ?」
 ぽかんと口を開ける少年に、彼女は畳み掛ける。
「古いのでいいの。……ううん、お古じゃないと困るのよ。
 ──お願いだから、黙ってあなたの服、わたしにちょうだい」
 ヘイガーは眼を白黒させた。
「な…一体どうなさったんですか!?」

「──しっ、大きな声を出さないで。あなたは知らなくていいの。
 ……知らなければ、誰かに訊かれても答えられないでしょう?」
「そ、そりゃそうですけど、一体……」
「用意しておいてね、夜になったら取りに来るから。誰にも言わないで。
 それじゃ」
「あ、イナンナ様ぁ!」
 言い置くと、少年の声から逃げるように、イナンナは屋敷へまっしぐらに
駆け戻っていった。


 部屋に帰ってもすることがなく、なかなか時間が進まないような気がして、
彼女は落ち着かなかった。
 書物を手にとり広げて見たりもするが、すぐに視線は宙に泳ぎ、まったく
集中できない。

 それでも時間は確実に過ぎていき、ようやく日が沈んで、待ちに待った夜が
訪れた。
 母や曾祖母に気取られないように、少し緊張しながら夕食を済ます。
 その後厨房へ行き、夜食用にと言って、料理番にパンとハムを少しとワイン
を一瓶、分けてもらう。
 部屋に戻り、それを荷物に加えてから一番質素なドレスに着替える。
 鏡を覗き込み、髪は売り物になりそうだと気づいた彼女は、今髪を切ること
はやめ、邪魔にならぬよう一まとめにして後ろで束ねると、窓を開けてベラン
ダに出た。

 おあつらえ向きに空は晴れ、大きな月が出ていた。これならば、道に迷う
こともないだろう。
 イナンナは独りうなずき、以前庭で拾っておいたロープをベランダの手すり
に結びつけ、下に垂らすと、ついに準備は完了した。

「……さようなら、お母様、ひいお祖母様。ごめんなさい」
 振り返り、小声で別れを告げて、深く頭を下げる。
 涙が出そうになるのをぐっとこらえて顔を上げ、荷物を詰めた袋を背負い、
手すりを乗り越えようとした、まさにそのとき。

 ──コンコン。
 不意にノックの音がし、母の声が聞こえてきた。
「イナンナ? ちょっといいかしら?」
(お──お母様!? ……ど、どうしてこんなときに!?)
 イナンナは慌てて袋をベランダの隅に隠すと窓を閉め、ベッドに潜り込んだ。
「は…はい、なあに、お母様」
「あら、もう寝ていたの?」
 ランプを片手に、メリアが入って来た。

「あ…ええ、疲れたから。でも、今、灯りを消したばかりよ」
「そう……」
 激しく動悸(どうき)を打つ音が聞こえはしないかと焦る彼女のそばに母は
寄って来て、ランプを枕元のテーブルに置く。
「ど…どうなさったの……?」
「ええ……きのうは…お前も考えをまとめる余裕があった方がいいと思って、
一日置いたのだけれどね……」
「……なに?」

「お前、ここを出て行く気なんでしょう」
「──なっ……!?」
 母の口調は質問でも詰問でもなく、淡々としていたが、その何気なさを装っ
た一言は、目の前で爆弾が炸裂(さくれつ)したかのような衝撃をイナンナに
与えた。
「お…お母様……ど、どうして! なぜ分かったの……!?」
 思わず飛び起きてしまった彼女は、そう尋ねるのがやっとだった。

「分かるわよ。母親だもの。お前がずっと、何かに悩んでいたのも、ね……」
 それを聞いたイナンナはもう耐えられなくなった。彼女は母親にしがみつき、
堰(せき)を切ったように泣きじゃくった。
「──お母様! わたし、もう、死んじゃいそうなの。ここにいると息ができない。
 ずっとずっと、我慢してきたの……でも、もう限界! ダメと言ったら、
飛び降りるわ、この窓から!
 わたし、もうこれ以上、ここにいることができないの──!!」
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◇連載小説 クレール光の伝説・古の【世界】第2回   作:神光寺かをり
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「これは、夢だ」
 公女クレール・ハーンは「自分の寝室」の小さなベッドの上で確信していた。
 春の終わりの、穏やかな朝だった
 大きな窓から陽の光りが天蓋のレースを透かして、編み模様の形で彼女の頬
の上に影を落とす。
 薄い絹の寝間着も、柔らかな羽根枕も、軽い肌掛けも、確かに「日頃使い慣
れたもの」だった。吸い込む空気に古い書物のような甘い香りがするのもまた
しかり。
「でも、違う」
 姫君はベッドから飛び降りた。素足のまま硬い絨毯の上を駆け、ドアを開け
放ち、廊下に出る。
 隣室は侍女侍従たちの控えの間だ。ドアノブに手をかけ、引く。
 開かれた空間は薄暗く、静かだった。
 公女は身震いした。
 瞼を固く閉ざすと、頭を振る。たった今見た冷え切った闇を脳漿から追い出
したい。
 細い自身の身体を抱きしめ、後ずさる。
 大きく一息つくと眼を開き、しかし己が身体は硬く抱いたまま、彼女は再び
駆け出した。
 大理石の床に素足の触れるひたひたという音が彼女の耳に聞こえた。
 それ以外には、人の声も、衣擦れもの音も、日々の営みの気配も、空気の揺
れさえも聞こえない。
 しかし頭の奥では、侍女達の田舎娘らしい笑い声や、生真面目な侍従たちの
挨拶、そして家臣達の声が、懐かしさを帯びて響いている。
 公女は今一度頭を振った。
「違う。コレは夢。コレは幻。見えない、聞こえない。違う……違う。」
 頭の奥の声をかき消す為、彼女はつぶやき続け、ひたすらに駆けた。
 いつしか彼女の無意識の足は、彼女を大広間へと運んでいた。
 山奥の小城の「大広間」は、国会議事堂と謁見室とダンスホールを兼ねた、
小さく地味な空間だった。
 部屋の南側は一面が窓だ。
 大きな窓は小振りな木枠で細かく仕切られ、その几帳面な四角の総てに板ガ
ラスがはめ込まれている。
 職人が丁寧に作ったガラスの板の表面には、味わい深い歪みがある。そこを
通り抜ける日差しは柔らかく揺れ、室内はまぶしいほどに明るい。
 クレール姫は広間をぐるりと見渡した。
 窓の向かい、北側の壁には、大きな肖像画が掲げられている。
 都と帝位を追われた「大公」と、その年若い妻。
 幸せを顔料に描かれたに違いない、暖かく荘厳で美しい絵画だった。
 だが、公女の瞳に映る在りし日の両親の姿は、霧の彼方にあるがごとく霞ん
でいた。
 肖像画が発するまばゆい輝きに、彼女は暖かさを感じられない。むしろ底冷
えのする冷たさが、彼女の身を覆う。
「恐ろしい」
 歯の根が合わない。震えをこらえようと、紫色の唇を噛む。
 頬に熱いものが流れるのを感じ、彼女は顔を伏せた。
 赤い絨毯の上の白く頼りない足先が、その部分だけやけに現実味を帯びて存
在している。
 クレールは桜色の爪をじっと見つめた。それ以外の空間がゆっくりと闇の中
に消えてゆく。
 その闇から、猛烈な腐敗臭が立ち上った。
 悪臭は、破れた皮膚と溶けた肉をまとった無数の骸から発せられていた。
 闇から生じ、蛆とぼろ布に覆われたその死骸達は、下手な人形遣いに操られ
ているがごとく不自然に蠢いている。
 腐敗ガスを呼吸し、腐汁を滴らせながら、それらはクレール姫の足下に群が
り来る。
 身の毛のよだつ様、とはこのことであろう。事実、クレールは震えていた。
「コレは、夢だ。質の悪い、嫌な夢」
 つぶやく彼女は、恐怖していなかった。
 震えていた青紫の唇に、ほんのりと赤みが差す。
「嫌な夢。夢の中でまで、こいつ等の相手をしないといけないなんて」
 頬には幽かな笑みが浮かび、翡翠色の瞳が輝く。
 己を抱いていた腕を解き放つと、彼女は天を仰ぎ、唱えた。
「我が愛する正義の士よ。赫き力となりて我を護りたまえ」
 赤い光りが彼女を包んだ。光りは彼女の両手の中で一条の帯となり、やがて
一筋の刃に変じた。
「【正義(ジャスティス)】!」
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