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┗━━┛            2005年11月19日号 通巻 156号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の発行人・銀凰恵です。

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 では今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介 今週はお休みです。
 ◆連載小説…流河 晶  自由への白き翼 第4回
 ◆連載小説…神光寺かをり ゴーストハンターGET序章? 第8回
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◇連載小説 <自由への白き翼> 第4回       作:流河 晶
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 そんなある日。高い木の梢から落ちてしまった小鳥の雛をイナンナが見つけ、
それを巣に戻すため、ヘイガーは木によじ登っていた。
「大丈夫? ヘイガー」
「はい、もうちょっとで……よし、戻しましたよ」
 イナンナの問いに答え、降りようとしたヘイガーは、近づいてくる人影に
気づいた。

「誰か来る。──げ、リーベラさんだ。俺、あの人苦手なんだよなー……。
イナンナ様と一緒にいるとこ見られたら、怒られるに決まってるし。
 エグベルトも隠れた方がいいよ、あの人特にうるさいから」
 木の上に留まったヘイガーに促され、エグベルトはイナンナと眼を合わせて
うなずき、木刀を手に、そばの茂みに潜り込んだ。

「イナンナ様、どちらにおいでですかー」
 次の瞬間、かすかな声が聞こえてきて、イナンナは急ぎドレスと髪の乱れを
直した。
「イナンナ様、お返事を! お屋敷にお戻り下さいー!」
 声は徐々に近くなる。
 イナンナは、胸の前でぎゅっと手を組み合わせると、大きく息を吸い込んで、
答えた。
「ここよ、リーベラ」

「……あ、イナンナ様、こ…こちらにいらっしゃったんですか、あの、大奥様
がお呼びです、お…お話があるからと……」
 現れた召使頭は、上目遣いにおどおどと言った。
 赤毛のごわごわした髪を結い上げ、鼻は高く尖って、眉と細い眼は吊り上り、
狐のような印象を与える中年の女。
 イナンナは表情をこわばらせ、眉をしかめてリーベラを見ていた。
 彼女は、伯爵家に来た当初から、この召使頭を好いていなかった。
 リーベラの方も、どことなく居心地が悪い様子だった。

「分かったわ、すぐ戻りますとひいお祖母様に伝えて」
「は、はい」
 イナンナから離れられるのが露骨にうれしいと言った感じで、召使頭は小走
りに姿を消す。
 エグベルトはまだ隠れたまま、そっと声をかけた。
「……イナンナ様、もういいですか?」

「わたし、あの人嫌い」
 彼の問いに、イナンナは無関係な答えを返した。
「え?」
 いぶかしげにエグベルトが彼女を見上げたとき、ヘイガーが幹を滑り降りて
来た。
「もう出て来ていいよ、エグベルト。マリーベラさんは行っちゃったから」

 その声に、硬かったイナンナの表情は和らいだ。
「ごめんなさい、わたし、行かなくちゃ。またね、ヘイガー、エグベルト」
「はい、またエグベルトが来れたときに、お知らせに行きます」
 ヘイガーは頭を下げた。
「ええ、また今度」
 エグベルトも茂みから出て、イナンナにあいさつをした。

 その後ろ姿が見えなくなってから、エグベルトは友人に声をかけた。
「……なあ、ヘイガー。ひょっとして、イナンナ様、さっきの……リーベラと
かいう人と何かあったのか?」
「えっ、ああ……ちょっとね……」
 庭師の少年は口ごもった。
「教えてくれよ、気になるじゃないか」
「……う〜ん、俺もあんまり詳しくは知らないんだ。ただ……」
「ただ、何?」
「イナンナ様は、伯爵家に来たばっかりのとき……ううん、半年くらいして
だったかな、リーベラさんのせいで、カミーニに療養しに行くことになった…
…みたいなんだけど」

「療養……? あの、観光名所がたくさん集まってる港湾都市にかい?
 あの人のせいでって、一体……?」
 エグベルトの問いに、ヘイガーは首をかしげた。
「……うーんとね…ともかく、カミーニには伯爵家の別邸があるんだって。
 そこに行くことになる前に、色々あったらしいんだけど、よく分かんない。
イナンナ様に直接訊いてみれば?」
 すると、騎士見習いの少年は首を横に振った。
「いや、直接はまずいだろ。特に嫌なことは、思い出したくもないだろうし」
「そっか……じゃあ、父さんにそれとなく訊いてみるよ。実は俺も、ちょっと
気になってたんだ」
「そうか、頼むよ、ヘイガー。僕も今日はもう、帰るから」

 それから二週間ほど後。
 エグベルトはようやく暇を見つけて、庭師小屋を訪ねていた。
「ヘイガー、久しぶり! やっと抜け出せたよ」
「やあ、エグベルト。忙しかったの?」
「まあね……いつものところへ行こう」
 二人は、奥まっていて人目につきにくい、剣術の練習場所目がけてぶらぶら
と歩き出した。

「でも、サボったりして大丈夫なのかい、エグベルト」
 エグベルトは、額に手を当てた。
「……半月にいっぺんくらい、いいだろう? 息抜きしなきゃ死んじゃうよ」
「やれやれ……」
 肩をすくめるヘイガーに、勢い込んでエグベルトは尋ねた。
「──それよりもさ、イナンナ様のこと、何か分かったのか?」
 途端にヘイガーの顔が暗くなった。
「あ、うん……父さんに、聞いたことは聞いた…んだけどさ……」
 ちょうどそのとき、彼らは練習場所に着いた。

 エグベルトは、険しい表情で友人を促した。
「話してくれよ。何か、よっぽどのことがあったんだな?」
「……うん。どうしてあのリーベラさんが首にならないのか、不思議なくらい
の話だよ」
 庭師の少年は、いつも椅子代わりにしている丸太に腰掛け、話し始めた。
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◇連載小説 <ゴーストハンターGET序章?> 第8回  作:神光寺かをり
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「やっぱり取り憑かれた!?」
 膝をふるわせる悠助の情けない顔をじっと見て、光輝は首を小さく横に振った。
「取り憑かれたという言葉が適切だとは思えないな。『オバケ』のネットワー
クの中で『あいつは美味い』って噂が広がっている、とでも言った方がしっく
り来る。あいつ等にとって大きなエネルギーを持っている存在は、美味そうな
食べ物で、特に君のように生命力にあふれた人間が好みらしいから」
「好物って!?」
「今までも奴らはどうにかして君からエネルギーを奪おうとしていた。でも運が
悪いというか良いというか、君の周りには彼らを実体化させられるほど高度な計
算能力を持ったコンピュータが無かったから、さっきみたいな直接的な攻撃がで
きなかった。それでも何とか君と接触しようと彼らなりの努力を行なった結果……」
「俺はトラブル続きだった、ってことか?」
 悠助は光輝がこの質問に否定的な答えを返してくれることを願っていた。
 彼にだって、今までの話の流れから言って、そんなことはあり得ないという
ことはおおよそ見当が付いていた。
 そして予想通りに彼の願いは叶わなかった。
 小さく、しかしはっきりとうなずいた光輝は、
「困ったことにあいつ等は生き物からエネルギーを吸えば実数の存在になれるっ
て、厄介な勘違いをしているんだ。虚数に実数を乗算しようが加算しようが実
数にはなれないのに」
と付け足した。
 その「説明」を、悠助は理解できなかったし、理解するつもりもなかった。
 悠助の目と声と腕は華奢なクラスメイトにすがりついている。しかし光輝は
彼の手を引いたり、立ち上がる手助けをしようとはしなかった。
 ただにっこりと笑って、言う。
「君は奴らに『好かれて』いる。言ってみれば、君の存在は奴らにとっては
『焼き肉無料食べ放題』なんだ。何しろ君の生命エネルギーは、奴らのもっと
も好む波長で、しかも相当に強い」
 何かを叩くコツリという小さな音がした。光輝が音のした方向に目をやった
ので、悠助もその視線の後を追った。
 真田の指先が、キーボードのエンターキーから離れてゆくと同時に、モニタ
にワイヤフレームモデルが映し出された。
 人間の形をしたその3Dグラフィックの横には、棒やら折れ線やら円やらのグ
ラフが幾つか並んでいた。
 グラフはことごとく「通常値」を大きく超えた数値を表していた。
 人間型のグラフィックが自分を示していることに気付いた悠助は、グラフの
数値にとどめを刺されたような気がした。
 ギザギザの波形がメモリを突き抜けているグラフらしいものの隣に立つワイ
ヤーフレームの「悠助」は、とうぜん中身が空っぽで、本物の悠助の目に頼り
なく見えた。
 薄ら寒いモノを感じ、彼はモニタから目を背けた。目玉の動いた先に光輝の
笑顔があった。
「まあ、そういった訳だから、君をこのまま釈放することはできない。多分、
君の生命力に惹かれて実体化する『オバケ』がこれからも相当数出てくるだろ
うからね。
 その状態で君が僕たちの監視下から離れたら、その時こそ君の言うところの
『取り憑かれた』状態になる訳だ。しかも、その『オバケ』は君だけでなく、
君の周囲にいる人たちにも悪影響を及ぼすだろう」
 光輝の声は耳障りの良い優しい音だったが、口調は冷たくて断定的だった。
 その後ろから、ねっとの声が続く。
「ま、キミは一匹や二匹に吸われたって死にはしないでしょうけど。でも『オ
バケ』が実体化するときに生じる空間歪みに、キミ以外の人間が巻き込まれた
ら、危ないかもね」
 悠助が頭を持ち上げると、彼女は彼を見ておらず、持っていたマイクから出
る短いコードを指先でもてあそびながら、真田の机の上のモニタを眺めていた。
「冗談じゃない。それじゃ俺は、ずっとこんな場所に閉じこめられるってのかよ」
 ようやく反論じみたことを喉から絞り出した悠助だったが、その声音は弱々
しく頼りない。
「別に何処に行ってもらっても構わない」
 応えたのは、真田だった。
 だが続く言葉は、悠助を安堵させる物ではなく、それどころか光輝までもあ
る種の不安に陥らせるものだった。
「君はウチのおみつの目の届く範囲であれば何処にいても構わない」
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