┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┏━┫ ☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人 主婦と創作☆ ┣━┓
┃ ┗┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┳┛ ┃
┗━━┛            2005年09月10日号 通巻 146号 ┗━━┛
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹・銀凰恵です。
 
 では今週の作品をどうぞ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本日の目次…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ▲オススメメールマガジン&HP紹介
 ◆連載小説…くまの 文化祭うぉーず 第15回
 ◆連載小説…神光寺かをり フツウな日々 第54回

━【オススメメルマガ&HP紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆ ★ 出でよ!サムライ ★ -歴史に学び人物を目指す- [PRメルマガ]
  人間的な魅力はどうすれば養えるのでしょう?自分自身を鍛えるに
  はどうすれば良いのでしょう?そのヒントが歴史の中にあります。
  歴史小説名場面の背景を知り、そこから何を学ぶかお届けします。
  熱と感動で心に栄養を。http://www.36juku.com/melmag/index.html

☆「十人十色。人生色々」
  「サックリ読める面白話(でも実話)」を女性サイドから赤裸々に、
  たまに辛口で語ってます。小学生の頃のほのぼの話からナンパ・
  合コン・不倫・結婚まで。他人の人生、ちょっと覗いてみませんか?
>>http://www.magachan.com/maginfo.php?id=290&fid=56

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載小説 <文化祭うぉーず> 第15回           作:くまの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「……私の言うことなんて、きけないわよね」
 いつまでたっても、大空へ羽ばたかないボクに涙声で訴えてくる。
「……………………う…………ん」
 これでも、力いっぱい返答したつもりなんだ。申し訳ないけど、これだけは
譲れないよ。ボクにだって、地球に生存する権利はあるはすだ。
「おーさーむー(語尾下がり)」
 案の定、エリ姉の顔色がダークな方向に変わる。うわっ、絶対に往復ビンタ
コースだよ、この血走った目の雰囲気だと。
「………………うっ」
 口の中を切らないように、ボクは奥歯をぎゅっと噛みしめた。
「確かに、あんたのことは念入りにイビリ倒してたわ。だけど、よぉーく昔の
ことを思い出してちょうだい」
 『あんた』の部分で、エリ姉の右手が顔面に伸びてきた。二往復ビンタの後、
小鼻をつままれながら、よぉーく昔のことを思い出してみた。
「ふぇーと(えーと)」
 その結果、ボクの脳裏を走馬灯のように横切ったのは、ロクでもないことば
かりだった。
 毎年、ヒナ祭りではボク一人仲間外れにされた。幼稚園の頃は、エリ姉がし
たおねしょの濡れ衣をきせられた。小学生になってからは、ウルトラマンには
汗だくのバイトのお兄さんが入っていることを耳うちされた。中学に入ってか
らは……あぁ、やめよう。
 とにかく、ボクは自分にぶつけられてきた行為をつぶさに思い出して、ちょっ
ぴりアンニョイな気持ちになった。その証拠に、エリ姉が鼻から手を離すとハ
ナミズが出た。
「みんな理のためなのよ。獅子は我が子を谷底に突き落とすっていうじゃない
の。あんたも精神的に強くなったでしょう?」
 そう言われて首をひねってみたけど、
「あんまり自覚ないよ……」
 というよりか、ボクってすくすく(?)と、心身共に気弱で卑屈に成長して
ないか?
「第一、私達が教育的指導に徹してるのは、協定を結んでいるからよ。理った
ら、生まれたときから、棺桶に片足つっこんでる赤子だったんだもの」
「だったら、少しは優しくしてやろうとか思わないワケェ?」
 これはボクの魂の叫びだ。だって、中学に上がって、母さんからへその緒を
見せてもらうまで、自分は捨て子だと思ってたんだよ。
「それは、あんたの『これから』がないってことを前提とした行動じゃないの。
私達だって、母さんだって、あんたのこと可愛がりたかったわよ!!  あえて、
憎まれ役になった姉の気持ちがわからないの?」
 驚いたことにエリ姉の両目からは、コロコロと涙の玉が生まれていた。
「理、日本は弱肉強食なのよ!」
「……え? そうだっけ?」
「サバイバルの基本は、強靭な肉体と精神でしょう? 一日でも生きてもらい
たくて、心を鬼にしてスパルタしてたのよ。そうしたらぁ、イジメるのが癖に
なっちゃったのよぉ!」
「もういいから泣かないでよ、ゴメンナサイ。ボクが悪かったです……」
 目の前で号泣する我が姉に、米つきバッタよろしく頭を下げた。その後頭部
に罵声と肘鉄がコンビで飛んでくる。
「当たり前じゃない、あんたがすべて悪いのよぉ!」
 そーだよそーだよ。笑ってよ、ボクは根っからの恐姉家なんだ。いや、マゾ
のシスコンか? しかも、姉が複数ってところが泣けるよね?
「わかったよ、ボクも男だ。人生に一度ぐらい、ぶっ飛んだことしなきゃッ!」
 ボクはヤケくそ気味に本棚の上に登ると、窓のサッシに足をかけた。ほんの
少しだけ――違う、ものすごく誰かが止めてくれることを期待して。
「待ってくだせえっ!」
 ドアをぶち壊して吉田象が部屋に飛び込んで来たのは、ボクのつま先が宙に
浮くか浮かないかのタイミングだった。
 そして、彼女はコケた。帯に足を取られたんだ。勢いのついた巨体は、その
まま床をローリングして、部屋の正面奥にある本棚にぶつかる。その衝撃で、
ボクは危うく窓の外へ放り出されるところだった。
 まるで身代わりみたいにマイケータイが、ワンダフルな孤を描いて地上に落
ちていった。ぐしゃり。
「九死に一生スペシャルって感じ……だね? ふぅ」
 やれやれと振り返れば、吉田象はぬり壁みたいにボクの後ろに立ち塞がって
いた。 危機はまだそこにあったらしい……。
「……理科子サンは、男の人だったんだべか?」
 視線は肉襦袢からのぞく、ボクの真っ平らな胸に注がれている。貧乳にもほ
どがある。言い逃れはできそうもない。
「その、これはすべて部会長の……ねぇ、エリ姉?」
 部屋の片隅で尻餅をついているエリ姉に助けを求めたけど、視線を合わせて
くれない……。ボクだって吉田象と顔を合わせるのは怖い。だって、真四角の
顔を二分するみたいに、おでこから赤い血が流れ落ちているんだ。
「あのさ、吉田さんのことをだましていたんだ。でも、悪気があったワケじゃ
ないんだよ。……殺さないでくれると、嬉しいんだけど」
「男の人がそんなにまでして……わかりました。わたすの負けですだ。王子サ
ンのことは、理科子サンに任せますだ」
 ボクをひたすらにらみつけていた吉田象が、ガックリとうなだれた。
 はい? 何か、ものすごい誤解されてる気がするんだけど…………。
「ふん。吉田の負けなんて、最初から決まってたわよ」
 吉田象が白旗を上げた途端、我が姉はいきなり元気になった……。
「はいはい、理はさっさと着物を着て。とりあえず、カレイの無事を《星の王
子様》にお知らせした方がいいわね。ほら、吉田の携帯を貸しなさい。私のは
充電切れなの」
 キビキビと右手を差し出したエリ姉に、
「吉田さんの足の下にあるのが、もしかして、ソレなんじゃあ」
 酔いつぶれた芸者風情のボクがうめいた。まげは半崩れだし、自分で着付け
したせいで、夜明けの花魁に見えなくもない。
 吉田象のケータイは、持ち主の足元でただの銀色のスクラップと化していた。
まるでゴジラに踏みつぶされた乗用車のごとく、原型を留めていない。しかも、
ボクの右足まで巻きぞえを喰らっている……。
「そうね、校内放送の方が早いわね」
 すぐに気を取り直したエリ姉だった。
 ところがどっこい、吉田象はミキサーでドアを塞いでいたらしい。つまり、
彼女のボンバータックルを受けたミキサーは、ほとんど使いモンにならなかっ
たのである。
「吉田楓、やっぱりあんたは永久追放よ!」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━【スポンサーサイト様ご紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
     ┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐┌─┐
┌───☆│電||子||書||籍||掲||載||無||料|☆───┐
│    └─┘└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘└─┘    │
│      詳しくはこちら → http://www.digbook.jp       │
└────────────────────────────────┘
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載小説 <フツウな日々。> 第54回        作:神光寺かをり
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 西の空が真っ赤になって、東の空が深い紺色になったころ、ずぶ濡れの泥だ
らけで帰ってきた龍を見て、両親が怒らないはずはなかった。
 普段、怒鳴ったり殴ったりするのは父親の担当なのだけれど、今日ばかりは
母親の方も大声を上げた。ほっぺたを一発平手で打ち、泣きわめいて叱った。
「何処に行っていた」
「何をしていた」
「心配をかけるな」
「何があったのか」
「どこか具合でも悪いのか」
「悪い友達にでも呼び出されたのか」
「何か言ったらどうだ」
 二親が代わる代わる、時々同時に、わめき立てる。
 龍は言い訳や弁明をしなかった。
 両親を納得させられそうな言い訳を思いつけなかったし、だからといって
「本当のこと」をオトナに信じて貰えるように説明する自信はない。
 もし説明できても
「夢に自分にそっくりな龍神と『トラ』にそっくりな龍神の奥さんが出てきて、
御札を川に流さないと大変なことになると言われたから、慌てて行ってきた」
なんてこと、多分信じて貰えないだろう。
 じっとりと濡た服を着たまま、龍は無言で商品棚の間に立っていた。
 どのくらい両親が大声を出していたのか解らないけれど、二人の質問のよう
な叱責のような同じコトバの繰り返しは四巡りくらいしたあたりで止んだ。
 なにしろ龍は黙ったきり何も言わない。
 暖簾に腕押しというか糠に釘と言うか、馬耳東風というか馬の耳に念仏とい
うか、とにかく何を言っても何の反応も返ってこない。
 母親は途中から酷く心配になった。
 この子はどこか体の具合が悪いんじゃないか、熱に浮かされて幻覚を見たん
じゃないか。
 そう思ったちょうどそのときに彼が大きなくしゃみをした。
 土砂降りの中ずぶ濡れになったのだからくしゃみの一つや二つ出るだろうし、
風邪を引いたっておかしくはない。
 それは龍からすれば「雨の中出かけたせいでたった今引いた風邪」だ。
 けれども、母親は「ずっと風邪を引いていたせいで雨の中に飛び出した」と
取った。
「やっぱりどこか悪いのね。この頃なんだか様子が変だと思っていたのよ」
 腑に落ちた。というか、息子の変調を風邪に責任転嫁して自分を納得させた。
「違う」
 龍は言いかけて止めた。止めざるを得なかった。
 なにしろその後の言葉を続けようとしたら、母親が
「いいから早く服を脱ぎなさい」
と、早口で言いながら彼から濡れた服を引きはがしたから。
 その後も、龍が口を開こうとするたびに
「いいから早くパジャマを着なさい」
と言いながら痛いほど腕を引いてパジャマを着せ、
「いいから早く布団に入りなさい」
と言いながら無理矢理に横に寝かせ、
「いいから早く寝てしまいなさい」
と強引に掛け布団を被せてしまう。
『命令しておいて、全部自分でやっちゃった』
 龍はちょっと可笑しくなった。
 遠くの方で、父親の怒鳴り声がする。
「そうやっておまえが甘やかすから」
 間髪入れず母親が答える。
「あなたが厳しい分、差し引いて丁度ですよ」
 父親の返事は聞こえなかった。
 多分、返す言葉もなく、口ごもっているのだろう。
 龍は大分可笑しくなって、頭を布団に突っ込むと、声を殺して笑った。

 始業式の日というのは、なんとも面倒な気分になるものだ。何しろ早起きを
しないといけない。
 確かに夏休みの間もラジオ体操の判子を貰う為に6時半起きをしていたけれ
ど、返ってきたら朝ご飯までの間「二度寝」ができたから、ずいぶんと気が楽
だった。
 でも学校が始まるとなるとそうはいかない。6時半に起きる必要はなくなる
けど、朝寝しすぎる訳にも行かなくなる。
 龍は眠い目をこすりながら、ランドセルの中に「夏休みの友」と「計算ドリ
ル」と「自由研究のノート」を投げ込んだ。
 店のほうから、小さなお客と話している父親の声が聞こえる。
 長期休み明けの雑貨屋に来るのは、消しゴムやら鉛筆やらの「消耗品」を補
充したい優秀な生徒と、休みの間に体操着や靴のサイズが合わなくなった成長
期の生徒と、校章のバッチや学校指定の文房具の類を無くしたり壊したりした
腕白な生徒達だ。
 龍は年下だったり年上だったりする日に焼けた子供達の間を縫って外に出た。
 店の前にクラスメイトが1人立っていた。どうやら龍が出てくるのを待って
いた様子だ。
 彼は龍の顔を見るなり、
「A君、転校だって」
と、妙に昂揚した声で言った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★文芸同人「主婦と創作」ではあなたの作品のご投稿をお待ちしています。
 投稿のルールなど、詳しいことはホームページで!
URL :http://mm.9no1.gozaru.jp/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★主婦と創作はオリジナル小説・創作関連メルマガ検索サイトニコラスの
 メルマガランキングに参加しています。
 よろしければ一票お投じくださいませ。
>>http://nicolas-mmnovel.net/cgi-bin/rank.cgi?mode=r_link&id=28

★メールマガジンの相互宣伝をしませんか?
「電信雑誌相互宣伝屋」はメールマガジンの相互宣伝支援サイトです。
>>http://r-world.nu/mamm/8invite/invite.cgi?z0223
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
    ◆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◆
発行人:銀凰恵
URL :http://mm.9no1.gozaru.jp/
Mail:gin_oh@yahoo.co.jp
   このメールマガジンに掲載されている文章の全部または一部を
   無断で転用・転載することは、やっちゃだめです。
◆このメルマガを読んでの、あなたの感想を聞かせてください◆
  http://www.magachan.com/maginfo.php?id=56&fid=56
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
このメールマガジンは、
『まぐまぐ』   http://www.mag2.com/m/0000093007.htm
『メルマガ天国』 http://melten.com/m/10992.html
『めろんぱん』
     http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=004900
『マガジンライフ』http://mg7.com/cgi-bin/hp.cgi?id=12791
を利用して発行しています。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
 なお、当方では代理解除は行っておりません。
                解除は上記アドレスから行ってくださいね。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━【PR】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇===================おすすめスクール情報========================◇
■■どうしても雑誌デザイナーになりたいあなたへ!■■
┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◇│ 雑誌が好き!だから好きな雑誌を作る仕事がしたい!
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┏━┯━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃◇│ 好きを仕事にするためならアルバイトだって構わない…。
┗━┷━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本当にそれでいいんですか?もったいないですよ!
せっかくならDTPマガジンズで即戦力となって正社員で活躍しませんか?
DTPマガジンズの卒業生達は未経験者でも高待遇で採用されています!
その理由を知りたいあなたは今すぐクリック!!
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=U930T+E97RBM+MI0+64RJ7
{magclick}
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━【PR】━