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┏━┫ ☆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人 主婦と創作☆ ┣━┓
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┗━━┛            2005年09月03日号 通巻 145号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹・銀凰恵です。
 
 では今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介
 ◆連載小説…くまの 文化祭うぉーず 第14回
 ◆連載小説…神光寺かをり フツウな日々 第53回。

━【オススメメルマガ&HP紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

☆「詩と冒険小説〜優しくあることをめざして〜」
  これってほのぼのスタイルの詩とファンタジー小説の連載マガジン
  なんですよ。時々不定期で詩をのせて、週一で「心の冒険物語」って
  いう冒険小説を連載するんですって。別のサイトで発表するゲーム
  ノベルのメインストーリーがこれなんですよ。メルマガのタイトルは
  「詩と冒険小説〜優しくあることをめざして〜」っていうんですよ。
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◇連載小説 <文化祭うぉーず> 第14回           作:くまの
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「エリ姉、話があるんだけど……」
「な・に・よ? これから佳境に入るんだから、手短にしてちょうだい」
 話の腰を折られたせいで、エリ姉はぐわっと眉間にシワを寄せた。
「さっきの珍妙なウエイトレスさん、《暁の姫君》って人じゃないかと思うん
だけど、どうかな?」
「……はい?」
 まばたきを繰り返していたエリ姉も数秒後、合点がいったというように手を
打った。
「もちろん、私だって、とっくに気付いていたけど。で、それから?」
 ……ま、いいけどさ。ボクはため息一つ吐いて、本当の意味で『開かずのド
ア』を指さした。
「吉田さんと共謀しているのは《暁の姫君》だよ。今朝、それらしいカップル
を見たって言ったよね。たぶん、あれはカレイを捕獲する直前だったんだよ」
 あのとき、まだカレイは無事だった。何せ、ボクは本猫からネコパンチを喰
らうところだったんだから。今、思い出しても動悸目眩息切れがするよ。
「《星の王子様》宛ての脅迫状が届いたとき、吉田さんが電話した先は《暁の
姫君》なんだ。エリ姉に脅迫状がもみ消されたのを知らせて、急遽、ケータイ
での脅迫に変えたんだよ」
 だから、ケータイの発信履歴に《暁の姫君》のナンバーがあったんだね。そ
れにしても、警察に連絡をするふりなんて……あなどれない演技力じゃないか。
さすが、ズリエッド吉田。
「あのバイク男は吉田さんだね。この部屋で発見されたラージサイズの赤のつ
なぎは彼女にピッタリだし。この下にジャージを着ていれば、着替えだってカ
ンタンに済むしさ」
「そんな変装をする必要があるの? 吉田はここの生徒よ。捕獲中に目撃され
ても、後でどんな言い逃れだってできるじゃない」
 ふん、と鼻を鳴らすエリ姉だ。そうなんだ、そこが重要なポイントだ。
「吉田さんはネコ毛アレルギーなんだよ」
 言った瞬間、例のバスケットから、ゾンビ顔負けの不気味な鳴き声が発せら
れる。――わかる、ボクには吉田象の気持ちが痛いほどわかる。
 だから、捕獲作戦にはフルフェイスにつなぎ、なんていう完全防備で臨んだ。
ジャージまで汗まみれになっちゃって……。方向はともかく、本当に涙ぐまし
い努力だ。
「吉田さんを狙ったバイクを運転していたのも、当然、《暁の姫君》だよ。だ
から、わざわざバイクの転倒を阻止したし、校内の状況に詳しいのも当たり前
だよ。元海女生と現海女生だしね」
「…………それは、とどのつまり?」
「実行犯は吉田さん、裏で糸を引いているのが《暁の姫君》だと思うよ」
 しかも、演劇部員ならロミオの衣装を盗むのも可能だ。それを元に三着の王
子の衣装を作るのも、《暁の姫君》ならお手のモノだろう。在学中は衣装担当
だったそうだし。
「じゃあ、《流星会》は実質、二人で運営しているっていうことなのね?」
 エリ姉はボクに向かって憎々しげに言葉を吐き捨てた上、壁に怒濤のケリを
入れた。敵ながら、敵だからこそ、《流星会》のメンバーが可哀想になってし
まった……。
「そ、それはわからないよ。でも、最少人数は二人だろうね。会は見かけによ
らないっていうか……。意外にアットホームだよね、《流星会》って」
 大体、バイトをスカウトするぐらいだし……。こんな弱小な組織から、ちゃ
んと報酬もらえるんだろうか、高橋のヤツ。
「あんな脳タリンと怪力が所属する劣悪非道な団体が、アットホームなわけな
いでしょっ!」
「だから……それは家庭内暴力っていうか」
 エリ姉のマジギレを目の当たりにして、金縛りに遭っていたボクはバックを
取られてしまう。二三発は後頭部にぐーパンチをお見舞いされると覚悟してい
たのに、暴力的衝動はやって来ない。
「敵の正体がわかった以上、《暁の姫君》の居場所は検討がつくわ。舞台ね。
《星の王子様》もそこにいらっしゃるはず。でも、彼の君は今までどこにいら
したのかしら?」
 つぶやきながらも、何やらせかせかと手を動かしている。
「これは推測だけど、校内のどこかで隠れていたんじゃないかな。とにかく、
時間までボク達に見つからなければいいだけなんだよ。それが、《流星会》か
らの指示だったと思うよ」
 ──ぱたりと、太鼓帯が床に落ちた。するすると面白いように帯が解かれて、
真っ白な単衣プラス肉襦袢が露わになる。あの、ボク的には露わになったら困
るんだけど……。
「……あの、エリ姉?」
「ふふふふ」
 エリ姉は口許に手を当てて、美少女にあるまじき悪代官みたいな忍び笑いを
する。今までの経験からいって、エリ姉の機嫌はボクの不幸と比例する。
「どひーッ!」
 貞操の危機を感じて窓を背に後退るけど、我が姉はそのくらいで止めるよう
な人じゃなかった。テーブルの足に帯の片方をリボン結びにすると、
「着物の帯をほどかれたくらいで、ガタガタわめくな!」
 ワケのわからない理屈を人に突き付けてくる。まったく、反論の隙を与えて
くれない。着物の組紐を器用に操って、ボクの背中に恐怖のバスケットをくく
りつけた。
「一体、何を……ひぇっ」
 せ、背中でアレの鳴き声がするよ……。
「ここは自力で脱出するしかないわ、理。《星の王子様》と《暁の姫君》のラ
ブシーンだけは、断じて阻止すること!」
 こんな状況じゃなきゃ、いや、こんな状況だからなのか。エリ姉は全身から
オーラを発し、神々しいばかりの美少女ぶりである。
「…………ここは四階だよ」
「それが何っ! 海女の平和はあんたが握っているのよ。これで『ロミジュリ』
が中止なんてことになってごらんなさい。ああっ、想像するだに恐ろしい暴動
が起こるわ」
 自分で自分の肩を抱いて、我が姉は世界が終末を迎えるみたいな顔をする。
率直に言わせてもらえば、ボクはそれより、あなたが握ってるポラ写真の方が
怖いです。
「とにかく、ボクは断固拒否させてもらうよ。これで死んだら、今まで勉強し
た分が無駄になるじゃないか」
「安心しなさい。こんなこと、遊園地でも体験できることよ」
 スクエア眼鏡のズレを直しながら、エリ姉が淡々と言うことには……。
 バンジージャンプって、発祥の地では、成人になるために行う聖なる儀式な
んだそうだ。安全設備が整った近代的なヤツじゃなくて、木組みの塔からツタ
を足に巻きつけてダイブするワケ。素朴な設備だから、稀に大怪我をすること
もあるらしいんだ。
 そーゆー意味じゃ、着物の帯が命綱のボクと大差ないんだってさ。なーんだ、
そうか……って、聞かされた分だけ、プレッシャーがかかったじゃないかぁ!
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◇連載小説 <フツウな日々。> 第53回        作:神光寺かをり
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 白っぽい半透明の笠の中で、丸い蛍光灯がバチバチと音を立てている。今ま
さに点いたばかりといった風だ。
「ああ、やっと電気が来た」
 遠くで母親の安堵した声がする。
 龍は自分が六畳間の真ん中で大の字に寝ていることに気付いた。
 濁った意識の彼方に見えるかすかな光に、彼は手をかざした。
 短く切った爪、細い指、薄っぺらい甲の、幼い手が、彼の頭上にあった。
「帰って、来ちゃった」
 龍はぼそっとつぶやいた。なんだかとても残念でならないという口ぶりだ。
 あれほど怖いと思っていたのに、あれほど切なく感じていたのに、あれほど
不安に嘖まれていたのに、あの池の底が懐かしい。
 日に焼けた掌を握りしめる。頼りない握り拳を、龍は自分の頭の上に落とした。
 軽くてちっとも痛くなくて、その上冷たくて、ちょっと悲しい。
 頭蓋骨から弾かれた握り拳は、畳の上にぼとりと落ちた。中指の付け根の出っ
張った骨の下で、カサリと小さな音がした。
 龍は大の字に寝転がったまま、そのかさかさするモノをまさぐって掴む。
 持ち上げた手の中には、紙切れが遭った。
 一度水を含んで乾いた紙に独特の皺が寄っている。
 文字がたくさん書かれている。
 人の形をしている。
 龍の全身の筋肉が一気に収縮した。駄菓子屋のガチャガチャのハズレのカプ
セルに入っているブリキのおもちゃみたいに、彼の身体は飛跳ねていた。
 跳ね起きたそのままの勢いで、彼は床に散らばったそれと同じような紙切れ
を全部かき集めた。くしゃくしゃに丸め、全部半ズボンの尻ポケットに突っ込む。
 そうして、切れる直前まで螺子を巻いたミニカーの勢いで、彼は部屋を飛び
出した。
 障子を二枚ばかり飛び越え、ドリフトターンで廊下を曲がり、居間を突き抜
け、玄関を兼ねる店の出入り口に向かう。
 目の前に、父親がようやっと閉めた立て付けの悪い引き戸が立ちふさがっていた。
 戸板がレールから外れる音と、母親の悲鳴と、父親の怒鳴り声が、龍のずっ
と後ろのから聞こえる。
 空の灰色はぐんぐん明るくなって行く。
 雷鳴が遠ざかる。雨脚が弱まる。
 髪の毛の中を通った雨粒と、毛穴から吹き出した汗が混じって、おでこを流
れ、目玉に入り込んで染みた。
 走りながら腕をこすりつけて拭いた。でもその腕自体から同じ水気が吹き出
しているものだから、眼の痛みは逆に悪化する。
 龍は目玉を大きく開いて天を仰いだ。
 雨水が眼を洗ってくれた。そのセイで、灰色の雲が白く退色してゆくのも見えた。
「雨が、上がる」
 龍は頭を下げた。足袋裸足の足下に、石ころと雑草の地面が見える。
 辺りを見回すと、木も草も皆、川から逃れようと体をねじ曲げて立っていた。
 泥の匂いが鼻を突く。
 細い川の急な曲がり角。
 猫の額ほどの広さの瀬。
 その先で、まだ少ない水が、しかし轟々と激しい音を立てて流れている。
「流れてる」
 龍の背筋がビリリっと震えた。
 同時に、空気がビリリっと揺れた。
『それ、早う始末をつけぬか』
 大きな声が龍を急かす。
 光と音と振動が彼のすぐ側に落ちた。
 彼は慌てて尻ポケットに手を突っ込み、中身をいっぺんに掴み出した。
 汗と雨水でぐしょ濡れになったそれを、龍は思い切り川面に投げつけた。
 紙の塊はあっという間に茶色に染まり、散り散りに別れ、次々に波間に沈み、
見えなくなった。
 龍は額の汗を拭った。びしょぬれの髪は相変わらず雫を滴らせているけれど、
落ちてくる量はドンドン減っている。
 頭の上の雲は、抱えていた水分の全部を吐き尽くした。
 雨は、止んだ。
 川は龍の足下を流れ続ける。
 茶色い水はゴミと土と石ころを連れて下流に突き進む。
 やがて本流と合流し、さらに下って海に出るのだろう。
 そして、
「戻ってくる」
 龍はもう一度天を仰いだ。
 わずかにのっこった雲がオレンジ色の光に裂かれ、紫がかった空がその裂け
目を浸食している。
 彼はそのオレンジに手をかざした。
 長い爪、節くれ立った指、大きな甲の、逞しい手が、彼の頭上にあった。
 その内側に、短い爪、細い指、薄っぺらい甲の、幼い手があった。
 ほっぺたがゆるんだ。2つの違うモノが同じモノに思えた。
 心が軽い。でも濡れた洋服と身体は、ずっしりと重かった。
 龍はその場にぺたりと座り込んだ。体育座りの格好で膝を抱え、膝小僧の間
の谷間に額を押し当て、目を閉じた。
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