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┗━━┛            2005年08月27日号 通巻 144号 ┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹・銀凰恵です。
 
 夏休みはいかがお過ごしだったでしょうか?
 ちなみに銀凰は家業の手伝いと漬け物作りに邁進しておりました。

 では今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲オススメメールマガジン&HP紹介
 ◆連載小説…くまの 文化祭うぉーず 第13回
 ◆連載小説…神光寺かをり フツウな日々 第52回。

━【オススメメルマガ&HP紹介】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

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◇連載小説 <文化祭うぉーず> 第13回           作:くまの
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「………………………………」
 放送室に侵入した瞬間、ダムダム弾が炸裂! とか、天井から竹ヤリが降っ
てくる! という最悪最低の事態を予期していたボクは、無人の室内を見渡し
て絶句した。
 静かだ……静か過ぎて不気味だ。
 ひょっとして、すでにコトが済んだ後なのか?
 ボクはエリ姉に命令されるまでもなく、血を拭いた跡でもないかとオフホワ
イトの床を凝視してしまった。……何もない。
「私の優秀な部会員達が、《星の王子様》をお助けしたのかしら?」
 息巻いていたエリ姉も拍子抜けしたようだ。ドアの右手にあるミキサーに直
接、腰をかけた。
「部会長、それはないよ。放送室方面に逃げたダミーを追って来たのは、ワタ
シ達だけだし……」
「じゃあ、どこに彼の君がおられるっていうのよ!」
 きーきーヒスを起こすエリ姉に、吉田象が本日初めて、真っ当な発言をして
くれた。
「向こうの部屋はどうだすか?」
 そういえば、入口の正面にもう一つドアがある。完全には閉め切らず、中途
半端に開いている。嫌だな、まるでアレを飼ってる家みたいじゃないか。
 そう思った瞬間、うなじの辺りがアワ立った。ボクは心の中で手を合わせつ
つ、鬼のような発言をした。
「吉田さん、偵察に行って来てくれないかな?」
「わかりましただ」
 吉田象にしては機敏な動作でドアへ向かうと、
「部会長サン、理科子サン、ちょっと来てくだせいっ! 大変ですだ!」
 ボク達を呼び寄せた。ドアの隙間からは本棚と会議用の長いテーブル、その
上に置かれた藤のバスケットが見えた。吉田象は何かを怖がっている様子で、
ボクの背中を前へ前へと追いやる。
「別にどうもしないわよ、吉田?」
 エリ姉に続いてボクが部屋に入った瞬間、耳元でぴゅんっと風の鳴る音がし
た。背後でドアが閉まる直前、本当に小さな声で「まっこと、スマンことです」
という謝罪が、聞こえたような空耳のような……。
「……………………へ?」
「理のバカタレッ! 閉め切ったら暑いじゃないの!」
 フリーズしたボクの脳味噌が再起動するのに、三十秒はかかった。起動した
直後、エリ姉に「暑い暑い」と後頭部をどつかれて、さらに一分は現場復帰で
きなかった……。
 ――今、何が起こったんだ?
 なぜに、吉田象がボク達を部屋に閉じ込めるんだ? 共に《星の王子様》探
索の旅に出た仲間じゃないのか?
 どうして、この危機的状況に我が姉は、
「理、早くドアを開けなさいよ」
 って、無駄にエラそうなんだ?
「……そんなこと言われても……んーっ」
 このドアは内側からしか鍵がかからないタイプなのに、押しても引いてもビ
クともしなかった。何か重いモノ(まさか、吉田象じゃないよね?)で塞がれ
ているらしい。
 認めたくないけど、これは――。
「ハメられたみたいだね、部会長。いやぁ、ははっ…………はぁ」
「あんたね、ヘコむぐらいなら自嘲するのはやめなさいよ」
「………………そうだね」
 言葉でもガツンとやられて、ボクは自分の感情に従うことにした。
 飼い象に手を踏まれた……いや、飼い犬に手を噛まれた気分だね。急激に全
身の力が抜けていく感じがする。
 こんなあけすけな陽動作戦に引っ掛かるなんて、ボクは何て阿呆なんだろう。
志望大学をワンランク下げた方がいいかもしれない……。
 今現在、『ロミジュリ』の舞台の袖には、主力の親衛隊が一人もいない。こ
れじゃあ、《流星会》の意のままじゃないか。
 ガックリと床に両手をつくボクとは対照的に、エリ姉は淡々と現場状況を目
と足で検分していた。
 その結果、放送関連の専門書がつまった本棚からはぺしゃんこのオクラが、
部屋の隅の掃除用具入れからは、赤いつなぎが発見された。灰色の毛がついた
それは、めちゃくちゃネコ臭い。
 エリ姉は最後に、
「そうすると……、これが《星の王子様》の脳ミソかもしれない、問題の生モ
ノね」
 いわくありげなブツ――籐のバスケットを指差した。この人はお楽しみにとっ
ておく主義なのだ……。
「ほら、理。さっさと開けなさい」
 あれだけエグいことを言っておきながら、人に処理させるあたりが、エリ姉
がエリ姉たる所以だ。
 ボクはしぶしぶ籐のバスケットに手を伸ばした。幸運なことに、厳重に鍵が
かけられている。思った通り、内からは誘拐された《星の王子様》の愛野良ネ
コ、カレイの鳴き声がした。
 室内の温度はどんどこ急上昇しているのに、ボクの顔からはずんどこ血の気
が引いていく。
 ――と、例の嘲笑が室内に充満した。
『間抜けなお二人さん。舞台がハネるまでは、そこで大人しくしててちょうだ
い。おーほっほほ』
 あの校内放送と同じお嬢様笑いだ。どうやら、目指す敵は隣りの部屋にいる
らしい。だったら、校内放送なんかしないで直接、怒鳴ればいいのにさ。
『いいこと、逃げようとしても無駄な努力よ。楓りんはタクシーを素手で止め
る子なんだから!』
 それは便利だなと感心しながら、エリ姉に命じられてボクは楓りん、こと吉
田象の説得を試みた。
「吉田さんっ! こんなことをして、江端さんの信頼を裏切るようなモンじゃ
ないか!」
 ドアを叩き鳴らしながら、声を大にしたものの、吉田象の反応は薄い。やっ
ぱり、昨日今日会ったボクよりエリ姉の方がいいだろう。説得のベストポジショ
ン――まあ、要するにドアの真ん前――を自信満々な我が姉に譲った。
「FCメンバーにとって、会長は店子にとっての大家、つまりは親も同然よ!
 親を心配させるなんて、あんた、勘当よ! 顔も見たくないわ、どこかへ行っ
ちゃってよ!」
 選挙の立候補のように背筋を伸ばし、凛とした表情で宣言する。
「……駄目だよ、エリ姉。そんなことしたら、ボク達、ここから出られないよ」
「じゃあ、どうしろっていうのよ!」
 吉田象タイプの人間は叱っても萎縮するだけだ。ここは情に訴えなきゃ。
「吉田さんこんなことをして親御さんはさぞかし心を痛めているよ今ならまだ
間に合うさぁ外で共にカツ丼を食べよう!!」
 ブレスなしで怒鳴ったボクは、極度の酸素不足に陥った。目の前が真っ黄色
に染まる。ふらふらとエリ姉の胸元に倒れかかったものの、見事によけられて
しまった。
 ……神様、色んな意味でボクはもう限界です。このまま、床で眠ることをお
許し下さい。
「理、これで目を覚ましなさい!」
 リタイヤ寸前のボクの顔に、ネコ毛まみれの赤いつなぎを押し付けてきた。
そんなことされたら、反動ナシで起き上がれるよ!
「あんたは鬼だ! そんな純情可憐な白いぱんつじゃなくて、アニマルプリン
トがお似合いだぁ!」
 息も絶え絶えの叫び声に、吉田象が動揺した声を出す。その機会を逃さずエ
リ姉が、
「吉田! 今すぐ、彼の君の居場所と安否をゲロしなさい!」

 鋭い声をかけた。が、敵はしぶとかった。
「駄目だす! 昔の恩を返すのは人間として当然だって、部会長サンも言ったっ
す。マーちゃんのお陰で、わたすは体に自信が持てるようになっただよ」
 どうして、こんな真似をするのが、マーちゃんのためになるんだろう?
「吉田!! さっきの言葉は嘘なの?」
「王子サンには、あの人がお似合いだ。だから、わたすも満足だ」
 あ〜あ、自己完結しちゃってる。駄目だね、これは。
「『ロミジュリ』が失敗したら、部会員の今までの努力が、みんな水の泡にな
るのよ!」
 エリ姉は今までの苦労をダイジェストで語り始めた。
 この二カ月間、舞台公演の準備、《星の王子様》の警護総括、加えてゲリラ
対策と、てんてこまいの忙しさだったらしい。
 一人で何役もこなすのは、本当に大変だ……と考えてボクはドキンとした。
あのウエイトレスのキティラー少女と、今朝、出会った美少女の足のラインが
頭の中で一致したのだ。
 顔じゃないところが、我ながら哀しいモノがある。あれ? ちょっと待てよ。
 ボクは袂から吉田象のケータイを引っぱり出すと、発信履歴をチェックした……。
それでも納得がいかなくて、画面表示はそのままに発信ボタンをプッシュした。
そう、リダイヤル。
 つながった先は警察ではなくて、日向さんちの真乃子ちゃんの留守電だった。
 ――って、うわあっ! マーちゃんって日向真乃子!?

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◇連載小説 <フツウな日々。> 第52回        作:神光寺かをり
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 龍神がふわりと飛び乗る。龍の心を乗せたまま、龍神は渦と一緒にものすご
い勢いで上昇した。
 水面を突き抜け空高く舞い上がると、水面の下がった池と、その周りの乾い
た集落と、力無く流れる川と、その先の町とを睥睨する高さで止まった。
『雨は降らせてやろう。ただし、水はこの池に残っておるだけじゃ。精々、札
が他の支流と合流するあたりの下流に流着くか着かぬか程度の勢い付けじゃ』
 龍神の声は、確かに龍に向けて発せられている。
 龍は声のする方向……つまり、頭の上の方を見た。
 黒い雲の渦がある。その中心に、人の目をした大蜥蜴の顔があった。
「あっ」
 小さく声を上げた。同時に自分の手を見た。
 心細いほど小さな掌が、脂汗でじっとり湿っている。
「僕の手だ」
 安心と不安と、安堵と疑問が、いっぺんに彼の頭の中に広がる。
 蜥蜴の顔、蛇の身体、鷲の爪、そして人間の眼を持った龍神は、じっと龍を
見ている。
『世の中には、知らなかったでは済まされぬ事もある。おまえが何の気なしに、
ただ面白がってやったことは、つまりそう云うことだ』
「僕の、やったこと?」
 龍は龍神の顔をじっと見た。でも龍神は龍の質問に答えてはくれなかった。
『知らなくてやらかした失態であっても、尻ぬぐいは自分でやらねばならぬ。
自分でやらねば意味がない』
 龍神のコトバの最後の方は、少し弱々しい声になっていた。それはまるで、
自分の言ったことで自分を納得させようとしている風だ。
 龍を見つめる龍神の人間の眼は、鏡の中の自分の滑稽さを見ているような色
で笑った。
 軽蔑している。照れている。懐かしんでいる。愛している。
『解るな?』
 ぽつり、と龍神が言った。
 龍は押し黙っていた。
 龍脈は、多分水の流れのこと。
 それが滞っているってことは、水が流れなくなっているってこと。
 水が流れなくなると、雨も降らなくなるってこと。
 雨が降らないからますます水が流れないってこと。
 そこまでは解った気がする。
 龍脈の滞りを無くせば、元通りに水が流れるようになって、雨が降る。
 それもなんとなく解る。
 じゃあ、具体的に何をどうしたらいいのかは、さっぱり解らない。
 龍は半泣き顔で龍神を見上げた。
 龍神は何も言わない。大きな人間の目玉で彼を見ている。
 でも蜥蜴の顔形をしている今の龍神の表情は、起こっているのか、呆れてい
るのかぜんぜん解らない。
 ただなんとなく、笑ってはいないだろうし、優しい顔もしていないんじゃな
いか、とは思える。
 龍は心細くなった。半泣き顔は、次第に全泣き顔に変ってゆく。
 泣くまいと目を閉じた。真っ暗闇の中に放り出された気分になって、ますま
す辛くなる。
 こらえきれなくなった涙が、目頭と目尻と鼻の穴からいっぺんにあふれ出た。
雫はほっぺたを伝って顎に流れ、ひとかたまりの大きな雨垂れになって、落ちた。
 途端。
 轟々、ザアザア、ゴロゴロ。
 遠くで音がした。
 どろりと重たい風が龍の身体の回りに絡み付く。
 湿った空気が嗚咽する肺の中に入り込み、体の中に充満する。
 もがいてももがいても、重たい湿気をはらえない。吸い込んでも吸い込んで
も、空気が入ってこない。
 胸が苦しい、息が苦しい。
 龍はもっと大きく手足をばたつかせた。
 かき分け、かき分け、かき分ける。
 蹴り出し、蹴り出し、蹴り進む。
 やがて手の先が、どろどろした湿気の外側の、何もない場所に突き抜けた。
 龍を細く目を開けた。手の先に明るい場所が見える。
 その一点に頭を突っ込むと、彼は息継ぎ無しでプールの端から端まで泳いだ
みたいな勢いで、息を吸った。
「ぶわぁ!!」
 肺が空気を受け入れた。
 見開いた眼に、蛍光灯の瞬きが突き刺さった。 
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