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┗━━┛          2005年07月02日号 通巻 139号 前編┗━━┛
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰恵です。
 今回はデータ量が多いので、2部に分けて発行してみます。(こちらは前編です)

 この件についてアンケートを行ないますので、よろしければご回答を
お願い致します。
(設問名:☆メルマガに掲載するデータ量が多くなった場合、
               どの様な発行形式が望ましいでしょうか?)
 
 アンケートは後編の巻末に掲載されています。
 ふさわしいと思われる選択肢のURLをクリックするだけで、
その解答に1票投じる事ができます。
 締切は2005年07月09日18時00分となります。
(協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/)

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 では今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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前編
 ◆連載小説…くまの 文化祭うぉーず
 ◆連載小説…流河 晶 魔法学院に潜むもの
後編
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 ◆連載小説…神光寺かをり フツウな日々。
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◇連載小説 文化祭うぉーず 第10回             作:くまの
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 残念なことに、B棟では江端王子を発見できなかった。
 だからといって、ヘコんでいる暇はない。ボク達は渡り廊下を使い、大本命
のA棟へと場所を移すことにした。
 そうなんだ、あれからボク達は三人で行動をしている。初めは三方に手分け
することを指示したエリ姉だった。――が、愚弟(ボク)の優柔不断、吉田象
の愚鈍、自分の短気という一人一人の能力の低さを、ないに等しいチームワー
クでカバーする作戦に変更したのだ。
 エリ姉、曰く『三人寄れば文殊の知恵』だそうだけど、ボクは『寄らば大樹
(吉田象)の蔭』だと思っている。ことは内緒だ、もちろん。

 そして、『藤紫祭』のメイン会場ともいえるA棟。
 こちらは定番のお化け屋敷、喫茶店に加えて、メンコカジノやプラネタリウ
ムまであって、一般客でごったがえしている。人の熱気と物珍しさもあって、
ボクの捜索意識はついつい左右にブレてしまう。
 海女校内の普段の様子は知らないけど、お祭りの今は、間違いなく異様な雰
囲気に包まれていると思う。
 模擬店はどこも面白そうだ。だけど、呼び込みをしている海女生達のメイク
の方が、数倍面白いのは一体……。
 何せ、皆さん目の色からして違う。ちなみに髪の毛も。二十人に一人しか黒
髪黒目じゃないなんて、ここはアジアな日本なのか?
 ボクは思わず、前を歩く吉田象を仰ぎ見て、
「吉田さんは、そのままでいてよ」
 彼女の肉厚な背中を叩いてしまった。……手がしびれて泣きたくなった。
「理科子、泣いてる暇があったら、捜索活動に専念しなさいよ!」
「えーと、あの、生徒達の気迫に圧されちゃって……」
 もごもごと言い訳をするボクに、エリ姉は鼻息も荒く、以下のことを教えて
くれる。
 海女生達は『藤紫祭』の期間中に、使い勝手のイイ彼氏を捕獲するのだ。
「じゃあ、エリ姉も頑張るつもり……じゃないよね」
「私は高尚なキッカケで彼氏を作る予定なのよ。そんじょそこらの海女生と同
じにして欲しくないわね」
 我が姉はいつも以上に、饒舌だ。その間もくるくると充血した瞳を動かして
いる。《星の王子様》を探しているというよりは、ちょっと動揺している感じ
だ。
 だって、ボク達の前をゆく海女生二人は各模擬店を物色しながら、通りすが
りの男を採点している。……熱心だ。
「女子校は本当に出会いがないんだね」
「ふん、品行方正な海女生にはどんな苦境逆境辺境でも出会いがあるのよ! 
そもそも『ロミジュリ』を観ないなんて、うちの生徒とは思えないわよ」
 怒気を含んだエリ姉の声が聞こえたのか、
「私さぁ、『ロミジュリ』見たかったわよ。あ、今のめちゃ好み83点」
「アンコール公演にかけようよ。ゲッ、最悪マイナス千と19点」
 実にタイミングよく会話にフォローが入る。 
 ここで説明すると、アンコール公演とは、『藤紫祭』の後にアンケートを取っ
て好評だった場合、後日行われる舞台のことだ。
 臨時警備員のボクにも当然、お呼びがかかるはずだ。困ったな、全国模試の
日程と重ならなきゃいいけど……。
 物思いに沈んでいたボクが我に返ったとき、仮初めの仲間の姿はなかった……。
試しに、エリ姉の悪口を小声で言ってみたけど、反応はない。
 それでなくとも、着物姿のボクはエリ姉達から数歩遅れて歩いていた。これ
は本格的にはぐれてしまったらしいぞ。なのに、心が弾むのはなぜだろう?

 ボクはウキウキしながら人の波に流されて、気づいたときには占いハウスに
入っていた。
 辛気臭い教室内はすべての窓が黒い布で覆われていた。思わず鼻をつまんで
しまうほど、蚊取り線香の煙が漂っている。
 中央には段ボールで区切られたブースが六つ作られていて、手相、星占い、
タロット占い、水晶占いに始まって、小豆占い、トイレットペーパー占いなど
よくわからないものまである。
 ブース前に並べられたイスに座って、順番待ちをしているのは、相性占いを
する予定のカップルばかりだ。
 さっさと出ようとしたとき、ボクは一番端のブース前に掲げられた看板『水
晶で占う恋・進路・失せ物』の文字に足を止めた。水晶占い?
 これで、《星の王子様》の居場所を占ってもらえばいいんじゃないか?
 水晶占いは人気がないみたいだ。黒いベールをつけた占い師が、立ち止まっ
たボクをブースの奥から手招きしている。イスラム圏の女性のようにガードさ
れた顔は、ラメ入りの目元だけがのぞいていてセクシーだ。
 姉はもちろん美人(らしい)にだって、逆らう気はまったくない。ボクは美
人(かもしれない)占い師の前に腰を下ろすと、
「あの、訊ね人なんですけど……」
 おずおずと切り出した。
 彼女は手元の水晶玉をなでながら、
「その人のお名前か生年月日、特徴を聞かせてもらえるかな?」
 と歌うように言う。
 え、そんなデータが要るんですか?
「名前は言えないんです。生年月日は知らないし、ものすごく特徴があるんで
すけど、それを言うと世にも恐ろしいことが起こるので言えません……」
 だってさ、名前を言ったら《星の王子様》脱走がバレてしまうじゃないか。
はたから見たらふざけているみたいだけど、これ以外、ボクには答えようがな
い。
「では、性別だけでも」
 案の定、彼女の美声にスゴみが加わる。
「男です。すみませんっ、女でした」
「残念だけど、それじゃ無理だね」
「……すみませんすみません」
「せっかくだから、代わりに君を占ってあげるよ。ふ〜ん、なるほどなるほど
女難の相が出ているね」
 あまりにも身に覚えがありすぎて、ボクは背中から冷水をぶっかけられた気
分になる。
「やっぱり。でも、仕方がないんです。ワタシ、度胸も体力も気力も人並み以
下なのに、人並み以上の姉達にもまれて育っちゃったから」
「君も大変だね、女装までさせられちゃって。人事とも思えないし、タダで相
談に乗ってもいいよ」
 同情している素振りをしながら、彼女は机の上で頬杖をつくとニヤリと目を
細める。うん、どう見ても面白がっているよね。
「……あれ、どうして、ボクが男だってわかったんですか?」
「――それは私が占い師だからさ」
 ボクは妙に納得して、つい本音をぽろぽろこぼしてしまった。
「うちの家族は、ボクをミドリガメぐらいにしか思ってないんじゃないか? 
そう思うと、ヘコんでしまうんです」
「なるほどね」
「……そういうときは、どうすればいいんでしょうか?」
「そういうときは、道頓堀の食い倒れ人形を見なさい。奴はワケもなくいつも
明るい」
「……………………」
「いや、失礼。見たところ、君はその状態に甘んじる気はないんだろう。だか
ら、苦しいんだ。なら、お姉さん達には筋肉じゃない別の何かで、君を認めて
もらえばいいんじゃないのかな?」
「でも、何を言っても『理のくせに』って、ボクはのび太扱いなんです」
「そういう風に振る舞ってきた君にも、責任の一端はあると思うけどね。普段、
人に見せている部分だけが、本当じゃないことぐらいわかるだろう? 君は一
番、楽に生活できるパーソナリティを選び取っただけなんだよ」
 黒いベールの下でため息をつくと、
「私も人のことは言えないけどね。周りが喜んでくれるものだから、つい悪乗
りしてしまったし。でも、自分で選んだパーソナリティだからね、エンジョイ
することにしてるのさ」
 彼女は占い師だけあって抽象的な忠告だけど、言うことには一理ある。ボク
は自分の軟弱さを何かにつけて姉達のせいにする。これは結局、責任逃れの何
ものでもないじゃないか。
「ありがとうございました」
「君は素直で可愛いなぁ」
 柔らかい口調はどこかで聞いたことのあるような、ないような。が、この現
実離れした教室内では、唯一の取り柄の脳味噌が上手く機能してくれない。
 そういえば、ボクは何をしにここに入って来たんだっけ?
 えぇーと、人を探しに来たんだ。誰を?
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◇連載小説 <魔法学院に潜むもの> 第10回       作:流河 晶
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「──オルゴン!」
 強力な賢者の力が注ぎ込まれると、再び心臓は鼓動を始め、蒼白だった
セエレの頬にも見る見る血の気が戻っていく。

「……危なかったな。
 弱った体で私の金縛りの術を解くなど、まったく無茶をするものだ……。
 だがもう大丈夫。心臓は動き出したぞ、ネスター」
「よかった……ありがとうございます、賢者殿」
「彼を頼む。もう少し魔力の補給が必要だと思う」
「はい、お任せを」
 安堵した表情の学院長に少年を預け、サマエルはつかつかとアルナに歩み
寄っていった。

「な…なによ!」
 黒髪の女性は、憎々しげに賢者を見上げた。
 サマエルは、まだ意識を失ったままのセエレの方に、ゆっくりと手を振って
見せた。
「落ち着いきなさい、アルナ。そして、あの子をよくご覧。
 ひどくやつれているだろう?
 体重も、十五、六歳とはとても思えない軽さだよ。
 彼はこの一年半、スリなどをして、どうにか生き延びてきたのだ。
 いけないことと知りつつも……人間不信に陥った彼は、誰にも頼らず生きて
いく気だったらしい…それほど、特に大人に対する不信感はひどいものだった
のだな。
 ……しかしだ、『学院で泥棒扱いされるまでは、盗みなど、したことも
なかった』と断言していたよ。
 そのときのセエレの澄んだ瞳は、彼が無実であることを雄弁に語っていた…
…”禁呪の書”のことがなくても、濡れ衣を晴らしてやりたいと思わせるには
十分過ぎるほどに」

「………!」
 狂気に覆われたアルナの暗い瞳が、一瞬ひるんだ。
 賢者は淡々と続けた。
「……そして、こういう境遇に陥ったのはキミのせいだと知った今、彼がキミ
を憎んでも何の不思議もない。
 なのにセエレはキミを助け、自分は危うく命を落とすところだったのだ。
 こういう子を見ても、まだ復讐にこだわるのかな?」

 闇色の瞳が揺らぎ、それでも彼女は、過去の思いにしがみついて叫んだ。
「セ…セエレなんか関係ないわ! 助けてほしいなんて、頼んでない!
 何で、そんなに他人のこと、気にかけるのよ!
 バカじゃないの、あんたら!」

 そこでサマエルはたたみかけた。
「ならば、もし彼らを倒さなければ、どうなっていたと思う?
 人間はすべて奴隷にされるか、殺されるか……あるいは食料として、生きた
まま食われていたかもしれないのだよ」
 アルナは激しく首を振った。
「──違う! 父様は優しかったわ!」
「自分の妻と娘には優しかったのだろう。
 しかし、王宮の人々はほとんどが殺され、人質となった王姉殿下も負傷
した」

「ち…違うわ、父様がそんなことするわけ……」
 彼女は唇を震わせたが、賢者は強い口調になった。
「──ライラ殿下はシャックスに傷つけられ、殺されかけたのだ!
 この私の目の前で!
 今は女王となった彼女に会えば、私の言葉が嘘でないとわかるだろう!」

「……う……」
 アルナが反論できなくなり、うつむくと、サマエルは言い方を和らげた。
「……キミはもしや、魔物の血を引くことを恥じているのではないかな?」
「──ち、違うわ! ……わ、わたし……」
「アンドラス王の一件以降、魔物は完全に”悪”とされてしまった。
 キミはその劣等感を、復讐という感情で必死に覆い隠してきたのだろう?」

「だって…だって、」
 アルナの口調が幼い少女のようになり、漆黒の瞳が涙でうるんだ。
「……独りぼっちのわたしには、それしかなかったのよ……仇討ちしか!」
 そんな彼女に注がれる、賢者の視線は優しかった。
「よくわかるよ、アルナ。でも、恥じたりしてはいけないな。
 魔物は怪物などではなく、魔族という、人間とは別の種族なのだよ。
 それゆえ、すべてが悪とは限らないし、人族とも共存していける、この
ダイアデムのようにね。
 それに、憎しみは憎しみを呼ぶだけだ。復讐を果たしても、死んだ者は
帰って来ない。
 ……本当はもう、自分でもわかっているのだろう?」

 心に染み入るような、賢者の言葉。
「……やめるわ……もうやめる……やめればいいんでしょ…っ…!」
 黒い瞳から大粒の涙があふれ、アルナは、ついに顔を覆って泣き始めた。

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 前編はココマデ。
 では後編でまたお会い致しましょう。

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