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 では今週の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまの 文化祭うぉーず
 ◆連載小説…流河 晶 魔法学院に潜むもの
 ◆連載小説…神光寺かをり フツウな日々。
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◇連載小説 文化祭うぉーず 第9回             作:くまの
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「……エリ姉、この先はどうするわけ?」
 気まずい空気が流れるなか、
「A棟を吉田、B棟を理科子、C棟とクラブ棟は私が担当するわ。草葉(草?)
の根を引き抜いても、彼の君を探し出してちょうだい」
 エリ姉は軽く咳払いをすると、ボク達に命令を下した。
「……わかったよ。吉田さん、行こうか?」
 いつの間にやら、しゃがみ込んでいた吉田象に声をかける。けど、岩山のよ
うに返答はない。
「吉田さん?」
 今度は、幅広い背中に手を置いた。ボクのせいで、妙な『音声』スイッチが
入っちゃったみたいだ。
「――ぶっぶかいちょー!」
 《星の王子様》捜索に散ろうとしたエリ姉の背中へ声をぶつけた。そう、吉
田象クラスの絶叫は武器にもなるのだ。
「どっどぼしたのよ、吉田?」
 見かけは冷静だけど、エリ姉の脳内の動揺は著しい。確実に、二度は舌を噛
んでいる。
「これは何だすか?」
 吉田象は焼却炉前の打ちっぱなしコンクリートに異変を見つけたらしい。彼
女が指差した箇所、そこには黄色いチョークで文字が書き残されていた。
『ネコ……たたび………………飲め!』
 途中の文字がブレて、ヒドく読みにくい。先に読んだ誰かが靴底でこすった
らしい。
「ネコに、またたび、飲め?」
 ボクの独り言に、
「それじゃあ、文章が短すぎるわよ」
 クロスワードパズル、中でもスケルトンパズル愛好家のエリ姉が答える。
「でも、これはまたたびのニオイですだ」
 吉田象の驚異の嗅覚は、警察犬のそれを超えている!
 あるかないかの鼻をひくひくと動かして、焼却炉の中から一本のまたたびと
例のオクラを発見してしまった。最初から彼女の首にヒモをつけた方が、効率
的だったんじゃないだろうか?
 ともかく、今は謎解きが先だよね。
 ネコ○○たたび、またたび、むささびじゃない……あっ。ネコにふたたび………
飲め!
 ――ときたら、そうだよ。ボクはピンと来たね。

「エリ姉! ふたたびっていうのはどうかな?」
 これは例の脅迫状と同じなんだ。その証拠に二つは丸文字、ひらがな含有率
が高いっていう特徴がある。
「『ネコに再び会うためには要求を飲め!』みたいな文章だったと思うんだ。
カレイは人見知りするネコだよね。きっと、またたびを嗅がされたんだよ。そ
れで大人しく誘拐されたんじゃないかな、とワタシは思うんだ、どう?」
 華麗な推理を披露した花魁刑事(ボク)に、拍手喝采はなかった。現実は、
火サスみたいにはいかない。
「みたいな、じゃ駄目なのよ。一字一句、正確な文章が知りたいの。でないと、
気持ち悪いじゃない」
 エリ姉は地面にひたと張りついて、「一文字の間隔が十五センチだから、こ
こは約二文字ね」なんてやっている。膝上十五センチのスカートだと、パンツ
丸出しになる。ちょっとカッコ悪い。
「部会長、それは犯人に直接、聞いた方が早いと思うけど……」
「バカタレ! これは彼の君をお救いする唯一のヒントかもしれないのよ!」
 ……お救いするって、あれは脱走だってば。
「《星の王子様》の一度目の脱走、あれはカレイが本当にさらわれたかどうか、
ここへ確認にきた可能性が高いと思うんだよ」
 こうして声に出してみると案外、真相に近いんじゃないかと、ボクは自分で
も思う。

 あの間違い電話は《流星会》からの脅迫だった。
 どうして、《星の王子様》のケータイナンバーを知っているのか?
 なぜに、脅迫状が《星の王子様》の手に届かなかったことを知っているのか?
 はなはだ疑問だけど、たぶん、FC内部にスパイがいるんだろう。
 ……よく考えると、何だってFCメンバーにしろ《流星会》にしろ、アイド
ルを迫害するんだ? 二つの組織の存在意義は、もはや、ボクの理解を超えて
いる。
「それじゃあ、彼の君はどこにおられるのよ!」
「わたす、わたすがっ! ☆★@♂♀×+・◎!(意味不明)」
 金切り声を上げるエリ姉と声を暴発する吉田象を前に、ボクはすべてを放棄
して帰宅したい気分に陥る。
 嗚呼、神様。どうして、女という生き物は状況が膠着(こうちゃく)すると
ヒスるんでしょうか?
 当たり前のことだけど、回答はない。ボクは深呼吸を繰り返してから、二人
を落ち着かせるために口を開いた。
「《星の王子様》はカレイの身の安全のため、キスシーン中止の要求を飲んだ。
もしくは単身、愛ノラ猫の救出に行ったのかもしれないよ」
 どちらにしても、これは江端王子自身の意志だよ。
 ボクだったら、あれだけの観客を前にして、舞台をトンズラする勇気なんて
出ない。観客の期待を裏切ることになるし、部員達にも迷惑がかかるだろう。
 いや、その前に大舞台に立つ度胸がない。とにかく、色んな意味でスゴイよ、
あの人は。

「じゃあ、A棟を吉田、B……」
 エリ姉が再び捜索作戦の号令を発しかけたとき、ボクの腕時計のアラームが
正午を告げた。――残り二十五分。
 こんなことのために、貴重な時間を五分も使ってしまった。反省しきりのボ
クの耳に、調子ハズレのチャイムが流れてきた。
 パラランポロロン。
『《星の王子様》FCの皆様。大切な預かりモノは放送室にあるわ。生モノだ
から、さっさと受け取りにいらっしゃい。おーほっほっ』
「もしや、愛ノラ猫のことだすか?」
「だろうね、やっぱり」
 うなずき合うボク達に、エリ姉が苦虫を百匹は噛みつぶした顔でツッコミを
入れてくる。
「でも、《星の王子様》のことかもしれないわよ?」
 うーん、判断に苦しむなぁ。
 もしかしたら、一緒にお預かりされてるかもしれないしさ。
 《星の王子様》が捕らわれの身なら、臨時FCメンバーとしては彼女を救出
するのが急務だ。生モノがカレイであっても、ネコ命の彼女がこの放送を聞い
ていれば、必ず放送室に駆けつけるわけで……。
「早くしないと、彼の君の脳味噌が腐ってしまうわ。放送室は熱がこもって、
やたらに暑いのよ」
 眉根を寄せて、エリ姉がつぶやいた。
 が、すぐに不敵な笑みを浮かべ、高い空に向かって腕を突き上げる。
「――理科子、吉田、行くわよ!」
 あ……やっぱり?
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◇連載小説 <魔法学院に潜むもの> 第8回       作:流河 晶
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 サマエルは深くうなずいた。
「なるほど、キミは魔界の掠奪侯爵(りゃくだつこうしゃく)、シャックスの
縁者(えんじゃ)か」
「ま…魔界だって!?
 ──ウソ! だって……せ、先生は魔物なんかじゃないよね!?」
 セエレは眼を見張り、思わず大きな声を上げる。
「え…ええ、わたし…は…人間よ……」
 彼の問いに答えるアルナの語尾がかすれて、口の中に消えた。

「……シャックスですと……? 
 どこかで……ああ、たしか……そう、十年前、前国王に取り憑いた魔物が、
そんな名ではなかったですかな」
「いや、王に憑いたのは、もう一方の魔物だよ。
 ……どちらにせよ、魔界王タナトスは、大層立腹していたが。
 二人とも退治されて当然だとね」

 それを聞いたアルナの瞳が燃え上がった。
「──だから、父を殺したと言うの!」
「……ふむ、キミはシャックス侯の息女なのだな、たしかに面影がある」
「そうよ!
 あの日初めて、父が魔物であり、しかもお前に殺されたことを知った病弱な
母は、そのショックで亡くなってしまった、だからお前は両親の仇なのよっ!
 ……ああ……この十年、長かったわ……お前を殺すことだけを心の支えに、
わたしは生きてきた……。
 古代呪文を解呪したところに仇が現れるなんて、これも父の導きね!
 ──思い知るがいい。わたし達親子の恨みの念を!」
 したたるような憎悪を込めて、彼女は叫んだ。

「仇討(あだう)ち……か。やめた方がいい。
 そんなことをしても、死者は帰らないのだから」

「うるさいわね、
 ──イグニス!」
 アルナは杖を振り上げ、呪文を唱えた。
 紅蓮(ぐれん)の炎が杖の先から生まれ、サマエルに向かって放出される。
「サマエル殿!」
「手を出すな」

 ネスターの叫びを尻目に、賢者は平然と炎を片手で受け止め、握りつぶした。
「……そう、それに、古代魔法は術者にも危険が及ぶ場合もある、ひどく厄介
(やっかい)な代物だよ。それゆえ”禁呪”と呼ばれるのだが」
 その声も表情も、普段と変わらずあくまでも穏やかだった。

「──何よ、その態度! あんた、賢者とかおだてられていい気になって、
正義の味方を気取ってるんでしょう!
 狩られる魔物の気持ちなんか、全然知らずに!」
 サマエルは肩をすくめた。
「……別に正義の味方を気取っているつもりはないよ、注意を促しただけさ。
 それに私は、魔物の気持ちもよくわかっているつもりだ」
「ムカつくわね! 命乞いでもするつもり!? ムダよ、今さら!
 ──いでよ、禁呪の書、”ユーメニデス”!」
 アルナの叫びに呼応して、手の中に黒ずんだ革表紙の本が現れ、見るからに
禍々(まがまが)しい”気”を発し、生き物めいて脈打つ。

「ほら、ごらん、サマエル!
 今からこれでお前を、跡形もなく粉々に砕いてやるわ!」
 彼女は意気揚々と、分厚い本を差し上げた。
「……およしと言うのに」
 どこか悲しげな賢者の表情を顧(かえり)みることもなく、アルナは本を開く
と勢いよく杖を振り上げ、唱えた。

「──その姿荘厳にして光を貪(むさぼ)り、闇中にて昏(くら)き呪術を育む
魔神ユーメニデスよ!
 封じられし刻(とき)の彼方より来たりて、我に力を与えよ!
 魔界侯爵シャックスが娘、アルナの名に於いて汝の封印を解く、我が仇を
打ち滅ぼせ!
 ──メメントゥ・モリ!」
 その呪文に応え、さらに禍々しく書物が輝いたと見るや、巨大な闇色の矢が
生まれ、賢者めがけて突き進んでいく。

「サマエル殿!」
「大丈夫だ」
 ネスターを再び制したサマエルは、執拗に追いすがる黒い矢を踊るように
かわしながら、呪文を唱えた。
「──聞き届け給え、最高神アナテ!
 我が名はサマエル、汝が司祭にして”混沌の貴公子”なり!
 我は願い奉(たてまつ)る、彼(か)の魔神ユーメニデスが力を、我が剣と成し、
盾と成さんことを!
 ──エンシュライン!」

 彼の杖が光り輝くと同時に、漆黒の矢は空中で消滅し、
「……き、消えた!? どうして……あ!」
 次の瞬間、戸惑うアルナの鼻先に出現した。
 よける間もなかった。
 禁じられた闇魔法は女教師に襲いかかり、すさまじい閃光と音を発して爆発
した。

「──きゃああああ……!」
 彼女は吹き飛ばされ、激しく床にたたき付けられた。
「言ったろう、危険だと。仕損じると術者に跳ね返るのだ。
 キミが強かったから、即死を免れたのだよ。
 ……しかし、同じことだ。
 これ以上、わたしのせいでほかに迷惑はかけられない……」
 サマエルの声が暗く沈む。

 セエレは、それまで呆然としていた。
 いきなり突きつけられた事実と、目まぐるしい展開、に頭の働きがついて
行かなかったのだ。
 賢者の声の不吉な響きに、ようやく我に返った彼は、両手を広げて二人の間
に立ちふさがった。

「や…やめて下さい、賢者様!
 俺は追い出されただけなんだから、命までは……」
 しかしサマエルは最後まで言わせず、彼の額に軽く手を触れて、金縛りの術
をかけた。
「こうなった以上、仕方ないのだよ、セエレ。苦しませるつもりはない、死の
魔法で……」

 呪文を唱えかけたその刹那、腕を捕まれる感触に、はっとして彼は振り
返った。

 そこに立っていたのは、紅毛の少年だった。
「似合わないことはやめとけよ、サマエル」
「ダ…ダイアデム……しかし……」
「だからぁ、ムリすんな。
 ホントのこと知ったら、彼女だって考えるさ、な?」

 しばし、二人の視線が絡み合う。
 先に眼を逸らしたのはサマエルだった。
 ダイは、彼の肩をぽんと一つたたき、倒れたままのアルナに近づくと、顔を
覗き込んだ。
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◇連載小説 フツウな日々 第47回             神光寺かをり
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 龍はぎゅっと目をつぶった。きっと母親の手の上から父親の怒声が降って来
るに違いない。
 でも、父親の声の前にシィお兄さんが優しい声を出した。どうやら龍の代わ
りに事情を説明してくれているらしい。
 受け答えしている父親は、龍のすぐ側にいるはずなのに、声はものすごく遠
くから聞こえた。

 その日から数日間、龍は店先のピンク電話の前をうろつくことが多かった。
 もちろん夏休みだから、やらなければならないことはたくさんある。
 ラジオ体操も、宿題のドリルも、それから店の手伝いも、ちゃんとやってい
る。どれも全部上の空で、何一つ集中出来ないのだけれど、やらなきゃいけな
いことはこなしていた。
 兎も角、龍は「やらなきゃいけないこと」が無くなると、電話の前でうろう
ろし始める。
 電話をしようか悩んでいる。 
 ……だれに?
 電話が来るのを待っている。
 ……だれから?
 答えはどっちも「トラ」だ。
 借りた服を洗って返さないといけないからとか、助けてくれたお礼をちゃん
と言ってないからとか、そういう「ちゃんとした理由」もあるけれど、それ以
上にタダなんとなく声が聞きたいような気がする。
 彼女に直接遭いに行くには、Y先生の家はちょっと遠い。それに、先生の家
までの「正しい」道を龍は知らない。
 川を遡ってたどり着いたのは、はっきり言って偶然だ。大体、川は道じゃな
い。
 帰りだってシィお兄さんの車に乗っかって来ただけだ。大体、お兄さんの話
に聞き入っていたものだから、道順なんか憶えていられなかった。
 だから、遭いには行けない。
 龍は自分にそう言い聞かせた。
 でも本当は、全然違った。
 彼女の顔を見るのが怖い。
 幽霊を見ているようで怖い。
 暗い穴の中にいるようで怖い。
 暗い穴の中に閉じこめられた彼女を想像してしまいそうで怖い。
 苦しんでいる彼女のことを想像してしまいそうで怖い。
 彼女がこの世の者でなくなってしまう瞬間を見てしまいそうで怖い。
 龍は電話機の前で立ちすくんだ。背筋に氷が這ったような気がして、震えな
がら自分の身体を抱いた。
 あんまり怖くなったので、龍は大きな声を出した。
「電話、掛かってこい」
 声は店中に響いた。
 直後、龍の背中で金物が落ちる大きな音がした。慌てて振り向くと、龍の父
親が床の上に散らばった新製品の缶ケース入り色鉛筆を拾い集めていた。
「やかましい、商売の邪魔だ。用がないなら中にいろ!」
 父親が顔を真っ赤にし、拳を握って怒鳴るので、龍は大あわてで家の中に逃
げ込んだ。
 居間で母親がくすくすと笑っている。龍は唇を尖らせて、どすんと座った。
 目の前に、冷えた麦茶のコップが出された。
 琥珀色の液体の中で、氷がころころと音を立てた。
「自分から電話すればいいのに」
 母親は龍の正面に座って、ものすごく簡単なことだと言う。
「まず先生に『お借りした服の洗濯ができました。いつ返したらいいですか』っ
て聞いて、そのお返事をもらうの。そのあとで、お友達の……ヒメコさんだっ
け?……その子に代わってくれって頼めばいいじゃない」
「ヤだよ」
 龍は小さな声で言った。
 そして、もし理由を聞かれたら、正直に「怖いから」とは言いづらいと思い、
聞かれる前になんとか誤魔化そうと考えて、
「女の子に電話するなんて、恥ずかしい」
と付け加えた。
「そう」
 母親はにこにこと笑い、
「夏休みが終わったら、嫌でも学校で先生に会うのだものね。それからでも遅
くは無いけれど」
すっと席を立った。
 お盆の上に麦茶のグラスが2つ乗っている。お店に持っていって夫と二人で
飲むのだろう。
 そうやって龍を一人きりにして、自分独りで「一番良い方法」考えさせる算段だ。
 親の心子知らずというヤツで、龍には母親の考えなんかちっとも解らない。
 なんとなく放り出されたような、匙を投げられたような、見捨てられたよう
な気がして、酷く寂しくなった。
 狭苦しい居間の真ん中で、コップの中の氷はどんどん溶けて小さくなってゆく。
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