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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年09月25日号 ----
------------------------------------------------------ 通巻101号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、デフォルトが絶不調(苦笑)銀凰です。
 それでは今回の作品をどうぞ〜。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」 
 ◆連載小説…神光寺かをり 今週はお休みです 
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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「――…………?」
 わずかな身じろぎの後、六花はまぶたを開いた。自分のいる状況がつかめな
いらしく、しばらくの間、隣りにいる一樹と周囲を交互に見ていた。
 確かに、そうだろう。ここは老舗デパートの屋上、観覧車と公園と少しの遊
具がある簡易遊園地である。なぜ、高校入学の準備のため買い物に来ていた自
分がいるのか? おまけに、自分のことを毛嫌いしている兄――認めたくない
が、法律上そうなる――の肩にもたれ、ベンチに腰かけている。
「私はどうして、ここに?」
 他に相手がいないからだろう。六花は恐る恐るといった風情で訊ねてきた。
 一樹は念入りに六花の顔色を探った後、
「お前は俺と会った直後に、貧血で倒れたんだ。仕方がないから、ここでお前
が目が醒めるのを待っていたんだ」
「…………ごめんなさい」
 一樹が耳にする六花の声は、いつも今にも消え入りそうで儚い。
「いや、いい。そろそろ起こそうと思っていたところだ」
「………………」
 二人の前を子供連れの母親達が通り過ぎる。やはり遠くを見るような視線を
投げかけている彼女に、一樹はどうしてか帰宅を促すことができずにいた。か
といって、沈黙を共有できるほど六花と親しい間柄ではない。
 ええい、くそっ。
 彼は唇を動かさず、声ももらさずに一の従使を召喚する。
 ――こういうときは、どうしたら女の機嫌が直るんだ?
 己の不手際を叱責されるものとばかり考えていたのだろう。姿無き《雪華》
は、しばし絶句した後、
『女子供の機嫌は甘味で操作ができる、と柏木様が…………』
 ――なるほど、柏木が言うのなら確実だな。
「六花、お前はここにいろ」
 用心のため、六花のそばに《雪華》を残すと、一樹はベンチを立った。遊具
と絶えることのない人波をくぐり抜け、手近な売店で一番人気だというソフト
クリームを三つ買っていた。
 一瞬、なぜ自分がこんなことをしなければならないのかと疑問が浮かんだが、
深く考えないことにした。一樹自身も戦闘で疲労した身体のために、吸収率の
よい甘味を欲していたのだ。事実、六花の隣りに戻るまで、一つはあっという
間に平らげてしまった。
「ほら、これを食べろ。意外と美味いぞ」
「あの、私は…………」
 鼻先に突き出されたソフトクリームに、六花は困惑気味だ。
「そうやって、食べる物をえり好みしているから、いつまでも栄養不良なんだ。
要らないのなら捨てる」
「…………ありがとうございます」
 そう礼を言って、六花が手に取る。彼女がなめらかなクリームに口をつけよ
うとした瞬間、子供の叫び声が響いた。子を持つ親にとって、泣き声は一種の
警戒音となるのだろう。地面に転がっている子供を中心にして、和やかな周囲
の空気がわずかに歪む。
 何気なく一部始終を観察していた一樹には、ひどく退屈な『事件』だ。ソフ
トクリームをなめることに夢中なっていた子供が、大人にぶつかり転んだ。そ
れだけのことだった。
 あまりにも自分達の近くで起きたため、何者かの罠かと考えたが、子供はた
だの人間であり、近くに人でないモノの気配はない。何をせずとも、そのうち
子供の親が駆け寄ってくるだろう。
「――あ」
 普段の彼女からは想像もできない素早さで立ち上がると、
「大丈夫? どこも痛くない?」
 泣きじゃくる子供の手を取っていた。彼に怪我はなかったが、手にしていた
ソフトクリームは数メートル先で残骸と化している。
「…………僕の、アイスが…………」
 未練がましく言い募る子供に、六花はにっこり笑った。
「これ、あなたにあげる。まだ、口をつけていないから」
「………………でも、お姉ちゃんのアイスなんでしょ?」
「ううん、私はいいの。あ、えーと、お兄さんのを少しもらうから。ね?」
 憮然とする一樹にもめげず、六花はぎこちないながらも微笑みを向けてくる。
「うん、ありがとう。お姉ちゃん」
「今度は気を付けてね」
 元気よく駆けて行く子供の後ろ姿を見送る。そうして、ベンチに戻ってきた
ときには、暗い表情を浮かべた少女に戻っている。本来は気の利く優しい性格
なのかもしれない。
 神楽家の血をひくばかりに、養い親を殺され、今は身内に自分の命すら奪わ
れようとしている…………自分の妹。
 一樹はうっすら茜色ににじみ始めた西の空を見やる。烏翠の数が半数以上、
減っていることを確認する。彼らは死臭に敏感だ。
 ――お祖父様もいよいよか…………俺も覚悟を決めなければならないな。
「お前はいつまで、館にいるつもりなんだ? 俺か、桜子か、それとも間諜に
殺されるのを待っているつもりか?」
 一樹は約束通り、ソフトクリームを六花の手に持たせる。大人しく手にした
ものの、口をつけようとはしない。
「……………………」
「もうすぐお祖父様は亡くなる。次期当主が決まるまでの混乱に乗じて神楽本
家を出ることだ。金の問題なら、柏木が喜んで手配してくれるだろう。あいつ
は桜子の腰巾着だからな」
 ソフトクリームの山は形を崩していく。それでも、六花は頑なに食べようと
しない。液状になったクリームがコーンを伝い、コンクリートに染みを作って
いくのを見つめている。
「――その前に外科手術が必要になるだろうが、お前の意志が強ければたいし
た問題はない。意地の悪い兄姉がいる神楽家よりは一人で暮らした方が、お前
も楽だろう」
「一樹さんは……優しいです。怖いけど、優しいです」
「優しい、俺がか? そんなことを言っても、俺はお前の味方にはならないぞ」
「…………そんなことじゃありません。私は……ただ…………」
 ぽたり、また染みが大きくなる。
 コンクリートに偶然、描かれた形は六花に要らぬ記憶を呼び起こしたらしい。
「……ウサギちゃん」
 とうとう、ソフトクリームは六花の手から滑り落ちた。
「――気がついたのか?」
 思わず、一樹は舌打ちをしてしまう。朱猿の《術》に乗じて、六花に軽い記
憶操作をした。できることなら、兎影の最期を思い出させたくなかったからだ。
「……私のことは……嫌いなんですよね? なのに、助けてくれたんですよね」
 涙に濡れた黒い瞳を向けてくる。
「そうだ、一族の義務だからな」
「…………義務、ですか」
「俺は余計なことをしたのかもしれない。お前は自殺志願者だった……」
 しかし、六花の内部にあるモノは、あくまでも彼女の生存を望んでいるらし
いが。
「あなたが私のことを殺したいほど憎んでいても、無関心でも、私はあなたの
ことが好きです」
 初めて六花の心からの笑顔を見た、と一樹は思った。
 顔の造作も気配の艶やかさも桜子には遠く及ばない。なのに、なぜかその幼
い顔は懐かしさを呼び起こす。それは、まるで――。
「……………………」
「桜子お姉さんのことも、お祖父様も、柏木さんも、篠原さんもみんな好きで
す」
 完全に虚を突かれた形になった一樹は、唇を半分開いたままだ。彼の研ぎ澄
まされた本能が、六花の存在に警鐘を鳴らしている。
 彼女は自分を滅ぼしかねない、と桜子にも感じたことのない戦慄を覚えてい
た。
「私、自分のために死ぬのはやめました。誰かのために死んだり、誰かのため
に生きたりすることより、ずっとずっと簡単だから……。死ぬことは怖いけど、
死んでしまったら、それから先はもう怖いとも思わないでしょう?」
 ――《雪華》、壁を作れ!
「いい加減に口を閉じろ、舌をかむぞ」
 充分に手加減をして六花の下腹を突くと、一樹は漆黒の狼へと変性した。重
さをまるで感じさせない彼女を背負い、人目に止まらぬ速度で市街地まで駆け
抜けた。
 深見との約束など頭にはなく、息苦しいほどの考えが全身を占めていた。
 ――俺は……。
 犠牲にしてよいと感じたものと、本当に犠牲にしてよいものは違うのではな
いか……?
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