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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年09月04日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻98号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お待たせ致しました。
 遅くなりまして申し訳ございません。自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹
の銀凰です。
 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ▲メルマガ相互広告
 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」 今週はお休みです。
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Ephemeral
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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 一樹は終業式の出席を兎影の《小銀》に命じると、制服姿のまま約束の場所
に向うことに決めた。校舎の窓から見えた陰鬱な空模様から、街はさほど人出
がないだろう、と勝手に思い込んでいたのだ。
 市営バスを使い、駅前に降り立った彼は、大人しく学校にいなかった自分に
舌打ちをした。この小さな街のどこから集まったか不思議に思うほど、多くの
人間達が雑多な気を撒き散らしながら歩いている。
 目的地のホテルは駅からほど近い。しばらくの辛抱と、なるべく大通りを避
けるように歩いているのだが、一樹の背中に突き刺さる熱い視線は監視役のも
のばかりではない。
 今も、パステルカラーの服に身を包んだ少女達が、嬌声を上げて一樹の脇を
すり抜けていった。彼の母親譲りの白い肌は、濃紺のブレザーによく映える。
アンティークドールのような端正な顔立ちとあいまって、上品さと艶やかさを
放ち、どうしても人目を引き寄せてしまう。
 一樹は鞄からマフラーを取り出すと、顔半分を隠すように首に巻いた。恐ろ
しく熱苦しいが、仕方がないと腹をくくった。
 黒い従使が発する気と彼らの体温、この二つが混じり合い、春はもう手に届
く場所にあると思わせる生暖かい風が、ここ数日吹いている。年間の半分は雪
に覆われてしまうこの街にとって、それは福音のように人々の心を喜ばせてい
るらしい。
 それが、この人出の多さの原因だろう。
 むろん、彼はそれが西陣の従使、間諜役の烏翠達によるものだと識っている
ため、吐き気を催すだけだ。それでも、街にいるのは群れの三分の一だ。あと
の残りは、相も変わらず神楽館の上空を旋回しているだろう。
 ――ヒッチコックの『鳥』並みだな。
 鉛色の雲が低くたれこめた空を見上げ、一樹は独りごちる。
 通常の人間には見えない中型犬ほどの烏達が、自分をつかず離れず後をつけ
て来ているのだ。別段、脅威ではないが、これから密談に向う彼としてはいさ
さか邪魔な存在ではある。
 まぁ、いい。別に奴らに知られたからといって、どうなるわけでもないから
な。
『例の場所がわかりました。ぜひ、話だけでも……』
 という、深見からの二度目の誘いを受ける気になったのは、彼と一樹の目的
が合致したからに他ならない。得か損かで判断するあの肥満体の男は、頭脳ま
では脂肪に侵されていない。そして、すべての人狼にとって魔法の石ともなる
《神石》の存在は明らかに、一樹にとって前者だ。
 例の《天狼石》いや、《神石》の場所がわかったと言明する以上、深見がど
の程度まで嗅ぎつけているかを知っておく必要がある。
 ただ、それだけのことだ、一樹は強く心に念じた。
 足の速度を上げると、駅前の目抜き通りを脇にそれ、目的のホテルとは逆方
向の路地をいくつか抜けた。あと二三箇所寄り道をすれば、烏翠を撒けるだろ
うとあたりをつけた彼の視線の端に、一人の黒髪の少女が映った。
 老舗デパートの前にたたずむ少女は、人待ち顔で左右を見渡している。その
流行をまったく無視したフレアスカートは、彼女のやせぎすの身体をうまくカ
バーしている。いわゆる美人ではないが、小作りな目鼻立ちはかわいい部類に
は入るだろう、と一樹は思う。
 だが、少女の周囲には底の知れない虚無が漂っており、声をかけようという
少年の姿はない。
「お前はここで何をしている?」
 敵に近づくがごとく気配をいっさい絶ち、六花の背後から声をかけた。予想
した通り、少女は短く悲鳴を上げかけ、
「…………あ、……」
 まだ雪の残る歩道に視線を向けてしまう。
 ここに《雪華》がいれば、うまいこと言葉を引き出せたんだろうが……。
 一樹は内心の苛立ちを隠そうともせず、
「お前は我が身一つを守れないくせに、なぜ勝手な振る舞いをするんだ? そ
れとも、一昨日のことはもう忘れたか?」
 柏木から厳しく注意を受けていたため、彼にしては言葉数を多くし、優しく
話しかけたつもりだった。だが、六花はいつも以上に瞳をうるませ、何かを堪
えるように唇をきりりと噛みしめている。
 一昨日。神楽家の清掃専門の使用人四名が、――表向きは――突如として行
方不明になった。館から通報を受けた地元警察は、昨夜から今朝方まで付近住
人も総出で大規模な山狩りが行った。その結果、彼らは一人の例外もなく無残
な骸(むくろ)となって発見されたのだった。
 柏木に鼻薬を嗅がされることもなく、警察は遺体に印されたおぞましい痕跡
から、山の獣による事故だと判じたようだ。だが、一樹も、おそらく六花を除
く館の人狼は、十中八九、弥生の狂乱の果てだと考えている。
 もう、あの人は限界だな。では、この六花も《血の不適合》によって狂うの
か?
「お前はまだ満足にしゃべれないのか?」
 もう失語症は完治したと、柏木から聞いている。まさか、何らかの《術》の
影響を受けているのか、と考え始めた一樹に、
「あ……あの、私、迷子になってしまって、でも、篠原さんがいなくて…………」
 六花はもじもじとトートバッグの持ち手をいじりながら、それだけを口にし
た。
 どうやら、篠原と高校入学準備のために、街へ降りてきたらしい。久しぶり
の買い物に夢中になってしまい、付き添いの篠原とはぐれてしまった。そんな
ところだろう。使用人のミスはともかく、柏木の従使達、ましてや《雪華》ま
で六花から目を離すとは一体どういうことなのだろう。
 ……やはり、西陣の罠にかかったか? 篠原は西陣家の縁者なのか?
 監視の烏翠の数が多いのも、そのせいかもしれない。一樹は形のよい眉をひ
そめ、
「なら、館に迎えの電話をすればいいだろう」
 吐き捨てるように言ってから、神楽家に六花のコールが届かないことを思い
出した。
 人狼や従使の使用する《術》は電話からも侵蝕することができため、声紋登
録した者のコールしか受け付けない。六花はまだ、その資格を得ていないのだっ
た。
「迎えが来るまで、建物の内で待っていろ」
 手早く携帯電話で連絡をつけ、一樹はそのまま背中を向けた。
「――あの、お兄さん」
 その言葉が六花から発せられたとき、まだ息のある生温かい獣の内臓を背中
に押し当てられたような、気持ちの悪さが胸に広がった。彼は喉許までこみ上
げてきた、いいようのない感情を押さえつけるために数秒を要した。言葉を発
するのに、さらに数秒。
「お前を妹とは思っていない。殺されたくなかったら、ついてくるな」
 一樹にとって、『妹』という単語は血生臭い穢れた記憶しか呼び起こさない。
「あなたが……――」
 突然、途切れた会話を不審に思い振り返れば、そこに彼女の姿はなかった。
周囲の人間達は誰もこの消失劇に関心を抱いていない様子で、しゃべり合った
り、人待ち顔であくびを漏らしたりしている。平和な午後の光景だ。一樹はとっ
さに、灰色の空を埋め尽くす烏翠の黒い群れを見やる。――異常はない。
 ――ふん、他家の従使か?
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