----------------------------------------------------------------------
-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
----------------------------------------------------------------------
---------------------------------------------- 2004年06月19日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻88号 -----
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お待たせ致しました。
 相変わらずリアルのお仕事が殺人的に忙しい自称「文芸同人誌」主婦と創作
の主幹、銀凰です。
 本職(?)のほうが昨日(6/18)ようやく落ち着きました。ですが、夜なべ
で小説を書く体力は残っておりませんでした……トホホ。
 なんの仕事をやっていたのかは↓ここら辺を参照下さい。とCMしたりして(笑)
 「犬影・猫影」http://jhnet.sakura.ne.jp/g/dogs_cats/
 それでは、今回の作品をどうぞ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本日の目次…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」(今週もお休みです)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガ紹介】
=◇====[T.W.S通信]========◇=======◇========◇========◇=======◇===
あなたもオリジナル小説を読んでみませんか〜?
T.W.S通信では、発行者:遊馬のオリジナル小説を中心に掲載しています
連載ものが多いですが、途中購読からでも最初から読めるようになってま
す!是非読んでみてください♪
登録URL: http://melten.com/osusume/?m=17815&u=10992
========◇=========◇=========◇========◇========◇============◇===
■■■■ あなたの小説のファンを作るライトノベル作法研究所 ■■■■
ライトノベルを書くのが好きな、あなた。どうせなら、もっと上達して自分
のファンを作ってみたいと思いませんか?
このメルマガで小説作法を学べば、その夢が実現されます!
小説作法の紹介と、投稿小説への感想・アドバイスで構成されたラノベ研究
メルマガ。ご登録は、いますぐこちらから    ↓ ↓ ↓
       http://melten.com/osusume/?m=18501&u=10992
  【このコーナーでは相互紹介をしてくださるマガジンを募集してます】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 桜子は出かけているらしい、部屋をノックしても扉は開かれなかった。我知
らず安堵の息をもらした後、
「もう、私ったら……」
 六花は自分を叱咤する。うわべの表情や言動だけで人を判断してはいけない
と、やっと気がついたばかりではないか。六花が自分の殻を破って周囲に働き
かければ、一樹も桜子も心を開いてくれるはずだ。
 ――だって、あの人達は私の兄姉なんだから。ずっと離れて暮らしていたか
ら、あまり実感はないけれど……。それは向こうだって同じことだわ。
 自室のベッドにもぐり込んでしまいたい気持ちを鼓舞すると、六花は回れ右
をする。
 次は一樹の部屋に向かう番だ。彼の居場所は吹き抜けの階段をはさんで、ちょ
うどここからと対面の位置にあたる。
 何度目かの深呼吸の後、六花は彼の部屋をノックした。
「誰だ?」
 相変わらず突き放すような冷たい声に、彼女の細い肩が震える。涙をこらえ
るため何度もまばたきしてみたが、ささやくような声を出すのがやっとだった。
「あの……ケーキを焼いたんです。だから……」
 もしよかったら、一緒に食べませんか?
 幾度も心の中で繰り返した口上は、現実に使われることはなかった。部屋の
内部で窓が開く音がした後、人の気配が完全に消えてしまったからだ。
「……そんな」
 あまりのことに、六花は二の句がつげない。トレイを片手で持ったまま、し
ばらく間、木偶のように突っ立っていた。
 一樹さんは私のことが嫌いなんだ……。
 彼は六花の存在を厭い、自分から立ち去ってしまったに違いない。祖父の説
明によれば、人狼は三階の高さから飛び下りるくらい何でもないはずなのだか
ら。
 でも、どうして……私のこと嫌いなのかしら。
 北の大地を被う雪よりも冷たく、冬の空のように澄んだ彼の瞳に見つめられ
ると、六花はどうしていいのかわからなくなる。
 兄の一樹は外から見る限り、常に無表情で感情の起伏も乏しい少年だ。桜子
と向かい合っているときだけは例外で、聞いているこちらの心臓が縮みそうに
なるほど盛大に毒を吐く。
 ……なのに、拒絶の言葉すらもらえなかった。館内で一樹と顔を合わせるこ
とが少ないのも、六花の気のせいではないのかも知れない。
 たとえ、それが罵倒や軽蔑や嘲りであっても、こちらに反応してくれる方が、
六花は何倍も嬉しいと思うのに……。
「どうしよう、このケーキ」
 つぶやいた声は半分、涙で濡れていた。
 このまま厨房に戻っては、せっかく気を利かせてくれた篠原を悲しませてし
まうのではないか? そもそも、兄と姉の部屋を訪ねる意気地がない子だと、
思われてしまうのではないか? 考え出すと、六花の悪い癖で最初の一歩が踏
み出せない。
 思いあぐねた末、山で出会った白い女性と黒い犬をお茶へ誘うことに決めた。
彼らには一度、命を助けてもらった恩義もある。もし、甘いものが苦手だと断
られても、あの逞しい犬ならこの切り分けたケーキなど、ひと飲みにできるは
ずだ。
 迷惑にはならない…………よね?
 そう思えば、あまり親しくもない年上の女性を誘うこともできそうだ。よう
やく、六花の幼い顔に微笑みが戻ってきた。
 唯一にして最大の問題は、二人がどこに住んでいるということだが、山の中
を歩き回っていれば見つかるかもしれない。
 なら、もう一度、紅茶を入れ直さなきゃ。
 山の日暮れは早い。六花は赤いカーペットの敷かれた階段を、急ぎ足で下り
始めた。気持ちが前へ前へとせいていたため、常の彼女なら感づいただろう、
館外の異変には無頓着だった。
 トレイを持ち直すため、いったん踊り場で足を止めた六花は小さな物音を耳
にする。背後で明り取りの小窓が開錠されたらしいと気づいたが、振り返る暇
はない。
 ――ごう、という自然界では有り得ない疾風が、無防備な少女の背中を襲っ
た。
 トレイが孤を描きながら落ちていく。床に落ちたティーポットと三客のティ
ーカップが、無残に砕け散るさまをぼんやりと見ていた。本来なら、あそこに
四肢のよじれた六花の身体も加わっていたはずだ。
 急落下を免れたのは、彼女の二の腕をつかんだやわらかい五指のおかげだっ
た。どこから現れたのか白い女は落ちる六花よりも数段下にいて、傾いだ身体
を支えてくれたのだ。
 雪女に襲われた夜は神楽家の罠から助け出してくれ、そして、今もタイミン
グよく宙から現れた美女。不可思議な出来事に慣れていたつもりの六花でも、
礼の言葉を忘れるほど驚いていた。
「あなたは…………どうして、ここに?」
 それには答えず、《雪華》は六花を軽々と抱えあげ、元いた階段の踊り場ま
で彼女を運ぶ。次に彼女がとった行動は、床に片膝をつき額付くという従使と
して最高の礼だった。
「あなたは誰なの……?」
『一樹様の従使、白狐の《雪華》でございます。突然のご無礼どうぞ、お許し
願います』
 以前に出会ったときの彼女は、年の離れた姉のような親しみのある態度を示
していた。だが、今はどうだろう、明らかに格上の者に対するものだ。
『ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません』
 あくまでも謙(へりくだ)った美女の態度に、六花は居心地の悪さを感じて
いた。
 彼女がさらりと口にした、従使や白狐という単語の意味もわからず、かといっ
て問いかけることもできない。この家の者ならば、知っていて当然のことかも
しれないからだ。
 私は神楽家のことも、家にまつわることも何もわかってない。
「……………………」
 息が苦しくなるほど、六花はブラウスの襟元を握りしめていた。そうして、
ジャンパースカートにこぼれ落ちた涙が生地に吸い込まれていく様子を、うす
ぼんやりと眺める。
 自分は涙の染みと同じ鬱陶しいばかりの、余計なものなのかもしれないと思っ
た。
 これじゃ、一樹さんと桜子さんに嫌われるのも当然だわ。
 六花の悲しみは深まっていくばかりだが、涙は急速に乾いていくのが我なが
ら不思議だった。
『それほど怖い思いをなさいましたか? もう、なんの心配ございませんわ』
 この騒ぎを聞きつけて、メイドが数人駆けつけていた。欠けた陶器の屑を片
付ける者、救急箱を手に階段を上がってくるもの、姿形は見えないが自分の周
囲を守り固める何か。その何かが、この《雪華》のような従使と呼ばれる存在
なのかもしれないと、六花はおぼろげに理解する。
「これは、怖かったせいとは違います」
 六花は怒ったように言うと、乱れた身だしなみを整えた。
 可憐でたおやかな女性に、自分の情けない姿を見られるのは、同性としてた
まらなく恥ずかしい。
「私……厨房に戻ります。篠原さんにケーキが駄目になってしまったことを謝
らなきゃ」
 うつむきがちに階段を降りる小さな背中に声がかけられた。
『一樹様は今とてもお忙しいのです。六花様の思われているようなことでは、
誓ってありませんわ。我が主はお優しい方なのです』
 まるで一部始終を見ていたような物言いだった。いや、実際に見ていたのか
もしれない。
「そんなっ、そんなこと、どうしてわかるの?」
 六花は振り向きざま、《雪華》に向かって鬱積しつつあった感情をぶつけて
しまう。
 心配そうにこちらを見つめる《雪華》の視線と、自分の視線が交錯した瞬間、
六花の精神に衝撃が走った。それは相手の感情が何となくわかるという感応レ
ベルではなかった。人ではない獣の意識が、奔流となって心になだれ込んでく
る。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 主婦と創作ではオリジナルなテキスト作品の投稿を募っております。
 自作(必須)で、テキスト形式メルマガで発表できる作品でしたら、小説か
ら俳句まで、ジャンルは問いません。 震ってご投稿下さい。
…でもとりあえず、規約には目を通して下さいな。
★投稿規約のページ
      → http://jhnet.sakura.ne.jp/petit/mailmagazine/index2.html
★投稿用メールフォーム
     →http://jhnet.sakura.ne.jp/petit/mailmagazine/mmagazine.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇お願い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
・投稿作品を募集します。詳しいお問い合わせは、以下のメールフォームから
 お願いしますです。
     →http://jhnet.sakura.ne.jp/petit/mailmagazine/mmagazine.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 [PR]★☆★コミュニティのガイアックスが送るアバターサイト!★☆★[PR]
          ★☆★GAIAX.comオープン!!★☆★ 
■■ MY SITE ■■    
  ‖「日記」「雑記帳」「掲示板」がある自分のホームページがもてるよ!
■■ CHAT ■■          
  ‖友達と1対1のリアルタイムでチャットをすることができるよ。
■■ MALL ■■            
  ‖最新アバターアイテムはここでGET!
  ‖CUTE☆なものから、COOL★なものまでバラエティ豊かなアイテムたちが
  ‖勢ぞろい!!
■■ MY SPACE ■■            
  ‖あなたが今までに購入した、お気に入りのアイテムや、プロフィール、
  ‖アイテムが購入できるg-Cashなどを見ることができるよ。
■■ MOBILE ■■          
  ‖ケータイでしか手に入らない"モバイル限定アイテム"も、チェック★ 
 ───────────────────────────…‥・
   ▼ 会員登録はもちろん無料! この機会にぜひ、ご登録ください。 ▼
 http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=O6IQL+DE97V6+B04+614CZ  
 ───────────────────────────…‥・
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
    ◆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◆
発行人:銀凰恵
 URL    :http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/
ミラーサイト:http://jhnet.sakura.ne.jp/petit/mailmagazine/
Mailアドレス:gin_oh@yahoo.co.jp
   このメールマガジンに掲載されている文章の全部または一部を
   無断で転用・転載することは、やっちゃだめです。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
このメールマガジンは、
『まぐまぐ』   http://www.mag2.com/m/0000093007.htm
『メルマガ天国』 http://melten.com/m/10992.html
『めろんぱん』  http://www.melonpan.net/mag.php?004900
『マガジンライフ』http://mg7.com/cgi-bin/hp.cgi?id=12791
を利用して発行しています。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
 なお、当方では代理登録・代理解除は行っておりません。
                解除は上記アドレスから行ってくださいね。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆
マガルド◆メールマガジンランキングに参加していますo(^^)o
マガジンを気に入って下さったら、応援(クリック)をお願いします!
http://www.magald.com/cgi/ranking/rank.cgi?mode=r_link&id=24
☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆-☆