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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年05月22日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻85号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お待たせ致しました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰です。
 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」
 ◆ちょっとマニアックな話。
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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 常時、山中に放たれている見張り達も活動をゆるめる夜更け、埃が舞う書庫
の中で、一樹(かずき)の身体は膨大な書籍に半ば埋もれていた。
 まったく、ここは変わらないな……いや、俺は変わったか。
 さすがに本の重みで痺れ始めた右腕を振りながら、一樹は独りごちる。
 ここ、神楽家の私設図書館に隣接された極秘書庫には、神楽家一族が所有す
る人狼に関するあらゆる文献が集められている。一樹が初めて連れて来られた
ときと変わらず、カビと羊皮紙、古書の臭いと共に時までが密封されている。
 あの当時、彼にとって難解だった英語、ドイツ語、イタリア語、果てはラテ
ン語で綴られた書物も、現在では一目で読破できるようになった。ただし、今
回のような隠密活動の場合、文字自体を読み取るのでは遅い。
 彼は千里先を見通す人狼の術『天眼(てんがん)』を応用し、文献の著者が
込めた思いを感知して内容を把握している。
 本棚から次々と手に取っては術を駆使して解読する。文章ではなく綴り手の
思いをダイレクトに読み取るため、芸術的とも詐術的ともいえる文章を味わう
暇がない。歴史的価値を完全に無視されたそれらは、無造作に一樹の足許に投
げ捨てられていく。十分とならずに、書物の山が二つ三つできあがる。
 だが、彼が得られたのはすでに聞き知っていることの、ほんのさわり程度。
どの文献を調べてみても、まるで禁忌のように《天狼石》については一言も触
れていない。
 いや、触れるだけのデータがない、ということか? 口伝によってのみ、代
々の当主に受け継がれているのか?
 いずれにしろ、現当主である《檜樹(かいじゅ)》の脳には《天狼石》に関
する情報がすべて組み込まれているはずだ。
 激しい焦燥感が少年の端整な白い顔に影を落とす。明り取りの窓から差し込
む白々した月光が、その姿を妖しく照らし出した。一樹は特に着古したブラッ
クジーンズに黒のタートルネックという地味な格好を好む。
 そのせいで、いっそう自分の美貌が引き立つことに気づいてはいたが、別に
主義を変える気はなかった。
「《天狼》はその手に《天狼石》を握って生まれてくる、か」
 その場に腰を降ろし一樹がつぶやいたのは、どの文献にも繰り返し出てくる
一説だ。
 それならば、なぜ桜子ではなく六花(りつか)の体内にあるのだろう。その
せいで、彼女は人狼としての能力を制限される《血の不適合》と同様の症状を
呈している。
 一樹の推測が正しければ、六花は己が身体を破壊するほどに激しい《天狼石》
の力を抑えるために、人狼としての能力ほとんどを使ってしまっているのだ。
《天狼石》は津波や地震のようないわば天災まで引き起こすことができる、力
の固まりのような存在だ。
 だが、逆にその力が宿い主の命を二度までも救っている。不可思議なことだ
が、これは紛れもない事実だ。
 先日の館からの脱走劇。例の自動車事故で六花が助かったのは、《天狼石》
の作用によるものだ。恐らく、このときも彼女は気を失っていただろう。
 これまでの状況から考えると、《天狼石》は宿い主の無意識の状態でしか、
その力が発現できないはずだ。
 だとすれば、意識のある状態で六花の体内からえぐり出せばよいだけのこと。
一樹にとって、それは野の花を手折るより簡単なことだった。きっと、彼女の
心臓から噴き出す血はどんな花よりも美しいだろう。
 あいつの血も…………涙と同じく温かいのだろうか?
 一樹は自分の指先に唇をあてた。六花が逃げ出した夜、この手でぬぐった涙
の感触は消えることがない。涙があれほど熱いものだと、彼は知らなかった。
知っているのは、母親の狂気に犯された涙と自身の凍えるような涙、そして、
塵と消えていく敵の呪詛に満ちた涙だけだ。
『──一樹様』
 粉雪を思わせる密やかさで、《雪華(せっか)》が一樹の背後に現れた。顔
だけで振り向けば、彼女の銀髪からのぞく白い耳が神経質そうに動いているの
が見えた。白狐の本性そのままの、獣の耳だ。
「お前は六花に付いていろと命じたはずだ。──何があった?」
 まさか、六花に何か異変があったのだろうか? 一樹は忌々しげに舌打ちを
する。立ち上がる際、足枷じみた床の書物を蹴散らした。なぜ、こんなにも自
分が苛立っているのかわからない。
 今、あいつに何かあって困るのは俺だ。
 もっともらしい理由をつけると、一樹は壁際に身を置く美女たる従使と向き
直る。
『申し訳ございません、一樹様。あのお方が……間もなくこちらにおいでにな
ります』
 《雪華》は冷静さを保とうとして、逆に声高になっている。何より、完全に
人型をとれないほどの動揺と混乱。一樹がこれほどまでに失態を演じる《雪華》
を見たのは、本当に久しぶりだった。
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◇連載小説…「フツウな日々」             作:神光寺かをり
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 ともかく、保険の先生は「トラ」の容態が良くないと言うことを救急隊員に
告げた。
 隊員達は横たわる「トラ」の体を運んできた車の着いたパイプ製の細いベッ
ド(それがストレッチャーという名前らしいと龍が知ったのは、もうしばらく
後のことだった)にそっと乗せた。
 ぴくりとも動かない「トラ」は、素早く、そおっと、救急車の中に運び込ま
れた。
 呆然としていたお婆さんの肩を、保健室の先生が抱きかかえる。二人が隊員
達に促されて乗り込むと、救急車の後ろのドアはばたりと閉まった。
 救急車の天井で赤いランプがぐるぐる回り、サイレンが鳴った。
 タイヤが埃を巻き上げて回り出し、やがて救急車は校門から出て行った。
 乾いた熱い風が土埃を巻き上げて、校庭をぐるりと巡っていた。
 校舎中の全部の窓から、生徒達の頭が突き出している。
 皆、いい加減で中途半端で興味本位な話をしている。一人一人が何を言って
いるのかはまるでわからない。
 でも、むしろ龍は判らなくて良かったと思っていた。
 もし誰かが、『「トラ」は死んでいる』と言ったのが(それが本当のことで
なくても)聞こえたとしたら、自分はショックでまた昏倒してしまうに違いな
いのだから。
 救急車が2つ向こうの四つ辻を左に折れてゆくのを見送ったとき、龍は自分
のすぐそばに校長先生が立っていることに気付いた。
 他の先生方は職員室に戻っているか、自分が受け持つクラスの騒がしさを沈
める為に校舎中に散っているかどちらかで、すでにその辺りにはいなかった。
「よく見付けてくれたね」
 校長先生はニコリと笑って龍に話しかけた。
 ホッとしたような笑顔は、龍を褒めるために浮かべたと言うよりは、「トラ」
が見つかったことに対する安堵からのものなのだろう。
 龍が黙り込んでいるので、校長先生は彼のの顔をのぞき込んだ。
 龍は下を向いた。何を言えばいいのかさっぱり判らないからだ。
 あんな処に「トラ」がいたのは何故か。
 外側から鍵がかかっていたのは何故か。
 自分があそこに誰か(厳密には「トラ」が)いるように思ったのは何故か。
 そもそも、なぜこの学校に「トラ」がいたのか。
『学校で見かけたことなんて、一度だってないのに』
 龍は心の中でつぶやいた。
 でも実際は黙り込んでいる物だから、校長先生は少しばかり心配になったら
しい。彼の肩に手をかけて、優しく言う。
「君は、I先生のクラスの生徒だね。ちょっと前に図書室で倒れて、あの子と
同じように救急車で運ばれた」
 龍の背筋が、ギュンと縮んだ。
 頭の奥で「トラ」の声がする。
『龍と同じ』
 頭の奥の「トラ」は、嬉しそうに笑っている。
 龍は急に恐ろしくなった。「トラ」の顔を思い出すのも、声を聞くのも、全
部が怖くなった。
 下を向いて、拳を握る。上履きの中で、足の指もグーにする。
 龍は「トラ」の事を考えないようにした。
 耳の中で、うわぁんという音が鳴っている。
 遠いところから、ブラスバンドが練習している音が聞こえる。ずいぶんと上
手だから、道路一つ向こうにある中学校の生徒が演奏しているのだろう。
 もっと向こうから、野球の試合の音が聞こえる。甲子園に出場することが決
まったという近くの高校の生徒が、市営球場を借りて練習試合をしているのに
違いない。
 もっともっと向こうから、大きな機械の動く音が聞こえる。線路の向こうに
ある煙草工場が生産量を増やしていると父親が言っていたから、多分たくさん
の大人が一生懸命働いているに違いない。
『もっと遠くのことを考えるんだ。ずっと遠くのこと。この学校の事じゃない
こと』
 奥歯をかみしめて、唇を力一杯結ぶ。まぶたも痙攣するくらい精一杯閉じた。
「I君のことは、やっぱりI先生から聞いて知っていたのかい?」
 校長先生の質問は、できるだけ遠くの音を聞こうとしている龍の耳には、よ
く聞こえなかった。
 返事をしないどころか、そこから一歩だって動きそうもない龍を、校長先生
はかなり心配したらしい。
「麦茶を飲まないか? 砂糖を溶かしたヤツが、校長室の冷蔵庫に入っている
んだよ」
 そう言うと校長先生はちょっと強引に龍の手を引いて歩き出した。
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 主婦と創作ではオリジナルなテキスト作品の投稿を募っております。
 自作(必須)で、テキスト形式メルマガで発表できる作品でしたら、小説か
ら俳句まで、ジャンルは問いません。 震ってご投稿下さい。
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・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
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☆ちょっとマニアックな話☆
どうも。
諸般事情から「鋼の錬金術師」を影からちらちらと見守っている銀凰です。
ま、とりあえず↓こちらをちらっと見てくださいませ。
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(株)コスパ製の手袋です。
ええ、こんなデザインの手袋をドライバーズグラブとかUV対策とかとして売り
出したりはしません。(そういう「使い方」も有りですけれど)
いわゆるコスプレグッズというか、コスプレパーツです。
とりあえず商品に付いているあおり文句が面白いんで、ちょっとご紹介。

【注意】
こちらの商品は発火布を使用しておりませんので、火花が散る事はありません。

いいなぁ、こういう当たり前のことをまじめな文面で書くのって。
大好きだよ、このセンス。
でもまあ、静電気の火花が散るぐらいのことはあるでしょうけれども。
なにしろポリの白手袋に錬成陣書いただ…うわ、やめろ何をすr………。
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