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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年03月13日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻78号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、遅くなりました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹の銀凰です。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」 今週はお休みです。
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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 小鳥の鳴き声と彼らが屋根を歩き回る足音で、六花(りつか)は目を覚まし
た。ミッフィーの目覚まし時計は、きっかり七時十五分。いつもの起床時刻だ。
 壁にかけられたセーラー服に着替えると、彼女は階段を降りていく。軽快な
足取りだ。
「あら、今日は早いのね」
 菜箸でサラダを盛りつけていた母親が、驚いたような顔を見せる。赤いエプ
ロンで手をふくと、六花に牛乳の入ったグラスを手渡した。父親はのんびりと
ブラックコーヒーを飲みながら、朝刊を広げていた。いつもの朝の情景だ。
「うん。今週は日直だから、やることがたくさんあるんだ」
 テーブルの上には、六花の大好きなスクランブルエッグとトーストが用意さ
れてある。朝の挨拶をして父親の隣りに座ると、フォークを手に取った。
「今日の帰りに、カナちゃんと映画を見てくるけどいい?」
「……六花、それは無理ね」
 母親が困惑した顔を見せるのが、六花には腑に落ちなかった。
 野山加奈子は六花の親友で、同じ高校に進学しようと約束するほどの仲だっ
たし、お互いの家に泊まり合ったこともある。まさか、反対されるとは考えて
もみなかったのだ。
 それに……いつもなら、門限までには帰りなさいって…………言うのに。い
つもなら?
「だって、ずっと前からカナちゃんと約束してたの。あのね、明日の旅行の準
備はもう終わってるし……ね、お父さん」
 助けを求めるように、父親に話を振る。まさか、逆効果だとも知らずに。
「六花、いいからお父さん達の話を聞きなさい。大切な話なんだ」
 それまで黙っていた父親は新聞を畳むと、いつになく真剣な面持ちで娘の口
を封じた。彼は妻にも席につくように目で示す。
「うん、でも……早くしてね。遅刻しちゃうから……」
 座り直した六花だが、もぞもぞと尻が落ちつかない。
「遅刻はしないわ。六花、ちゃんと現実を見てちょうだい。今日が何日かわか
る? 今日を何回繰り返したか覚えている?」
 お母さんたら、なにを言ってるのかしら?
 思わず吹き出した六花だが、両親は相変わらず真剣なまなざしを向けている。
「だから、今日は金曜日で…………」
 金曜日で? おかしい、自分の頭はどうにかなってしまったのだろうか。曜
日はすんなり浮かぶのに、何月か何日なのかさっぱり分らない。
 とっさに、壁掛けのカレンダーを見て、
「一月十二日、でしょう」
 自分で言ったことなのに、奇妙な感じがした。
 ゆっくりと六花は部屋の中を見回した。居心地のいい広さの中流家庭の居間
に、木目調の落ちついた家具、ソファーには母親が作ったパッチワークのクッ
ションがある。入口にある柱の傷は小学生の頃、彫刻刀で六花が刻みつけたも
のだ。ここは、紛れもなく自分の家だ。
「…………!」
 六花が生まれた記念に買ったという銀細工の壁時計、その秒針が止まってい
た。いや、止まっているのではない。一秒進んでは戻る、を繰り返しているの
だ。
「やっぱり六花が生きているうちに、きちんと話しておくべきだった。いいか
い、父さん達は人狼という、普通の人と少しだけ違う身体の構造をしているん
だ」
「六花はね、普通の人狼よりも力を持っている特別な存在なの。《檜樹》様か
ら、母さん達はあなたを守り育てるために生きてきたのよ」
「ちょっと、待ってよ。ジンロウって…………お父さんもお母さんもヘンなこ
と言わないでよ」
 軽く笑いとばすつもりだった六花に、その声は降ってきた。
『リツカ、両親ヲ解放シナサイ。イツマデモ、自分ノ夢ニ閉ジ込メテハイケナ
イ』
 心に染みいるような美しい女性の声は、六花の心にあった固い戒めをするす
る解きほぐしていく。
 母親の赤いエプロンは、大きな花がプリントされたよそ行きに、父親のワイ
シャツはクリーム色のポロシャツになった。六花自身も事故に遭った日と同じ
服を着ていた。
「違う、やめて、ここは私の家だもの!」
 叫びながら、六花は気がつき始めている。
 今ここにあるのは、生活感のないハリボテのような佐野家のリビングで、い
つ崩壊してもおかしくない危うい世界だ、ということに……。それでも部屋の
情景が変化せずそのままなのは、大きな慈愛の力が感じられた。
「………………お父さんとお母さんは、私のために死んでしまったのね」
 自分を守るために、まだ年若い二人が死んでしまった。実の娘であってもそ
の選択は厳しいものだろうに……。
 六花だって、あれほど二人に会いたいと願っても、やはり死ぬことはできな
かった。最後の最後に、心の底から助けを呼んでしまった。逆らうことのでき
ない命令だったから、二人は捨て身の行動に出られたのだろうと思った。
 私のことを恨んでいるかも知れない……。
 六花の考えを読んだように、
「お父さんは自分のしたいようにしただけさ。娘を守りたかっただけだ。何度、
同じ状況に遭っても同じことをするつもりだよ。それでも、六花が助かったの
は命運だ。なにも気に病むことはないんだよ」
 父親の顔はゴルフでハイスコアを出したときと同じような、満足げな表情を
している。
「六花とお母さんは血が繋がってないけれど、あなたは私の子供よ。あなたが
いたから、六花という存在があったから、今まで生きてこられた。私は《血の
不適合》だったから…………」
 父親は傍流の出だが、母親は直系の血を濃く受け継いでいるといった。器を
失った魂だけの存在になって、初めて母親は己が力を発揮できるようになった
らしい。六花の声が出るようになったのは、やはり母親のおかげだったのだ。
 嬉しい気持ちが半分、新たな不安が心に沸き上がってくるのは、《血の不適
合》という不吉な単語のせいだった。
「じゃあ、私も《血の不適合》なの? いつか、狂って死んでしまうの?」
 直系の血を受け継いでいるはずなのに、力が発揮できないのはそういうこと
だ。きっと、自分はいつか狂気の世界に支配されてしまうのだろう。
「だったら、なら私も連れていって……あんなところにいたら、いつか、殺さ
れてしまう…………お母さんっ!」
 空気さえ凍りつくような館内の雰囲気、美しすぎる兄妹、そして、何より恐
ろしい檜一郎の存在。六花の頭の中で展開される絵巻、そのすべての絵は、彼
女に恐怖と圧迫感を与えるだけだ。
「お父さん達は、もう行かなくてはならないんだよ。六花には六花の果たすべ
きものがあるはずだ。悲しいけれど、もう私達とは道が分れてしまったんだよ」
 辛そうに目を伏せたまま、父親は朝食の席を立つ。メガネの奥では涙が光っ
ていた。
「ここで一緒にいてはダメなの?」
 六花は母親の温かい手をつかんだ。
 連れていってもらえないならば、二人がここにいればいいと、六花は思った。
確かに時間も季節もない歪んだ空間だが、それでも構わない。ここがどこであ
っても、神楽家に戻るのよりはましだと思った。もう、独りぼっちは耐えられ
ない。あんな状態が続けば、六花は血のせいでなくとも気がおかしくなってし
まう。
『可愛イ子、私ガソンナコトハ決シテサセナイ……』
 荘厳な天の声に、「大丈夫よ」と母親もうなずいてみせる。
「…………イヤよ、イヤイヤイヤ!」
『解放シテヤラネバ、二人ノ転生ハ叶ワナイ。オ前ノ夢ニ縛ラレタ両親ノ魂ハ
地上ヲサマヨイ、最後ハ《鬼》トナッテ人間ヲ襲ウダロウ。ソウナレバ《縛師
》ニ狩ラレルコトニナル。ソレデモ、良イノカ?』
 内容のほとんどは、六花の中で意味をなさないものだったが、やわらかく諭
す声にようやく母親の腕を離した。
「今は心から人狼であった自分に感謝するよ。父さんが六花に最期に会えたの
は、この力のおかげだ。それから、《カズラ》様にも感謝を捧げます」
 父親は天井を見上げ、祈るように手を組み合わせた。
「六花……六花りつかりつか……」
 母親はうつむいて、娘の名前しかつぶやくことができなかった。泣き顔を見
せないようにするのが、彼女の精一杯だ。父親はなぐさめるように、後ろから
母親の肩を抱いてやっている。
「お母さん……痛かった?」
 面をふせたまま首を振るのを見て、六花の大きな瞳に安堵の光が灯る。
 即死だった父親に比べ、母親は死ぬまでに少しの時間があった。心も身体も
苦しみ抜いて死んだのではないか、それが六花の一番の気掛かりだった。
 よかった……本当によかった。
 それなら、もういいと思った。
『愛シイ養イ子……。リツカ、私ハ常ニオ前ト共ニアル』
 深い慈愛に満ちた声に、六花の胸が熱くなる。ふいに、堰を切ったように熱
い涙が後から後から溢れ出し、自分でも止められなくなってしまった。子供の
頃のように泣きじゃくりながら、心のしこりがもみほぐされて気分が軽くなっ
ていくのを感じていた。
 六花はずっとずっと泣きたかったのだ。けれど、泣けなかったのは生き残っ
た罪悪感よりも、涙の浄化作用を知っていたからだ。いつか、この悲しみが癒
えたとき、両親の影が消えてしまうような気がしたからだ。
 光の粒子に包まれていく両親の姿を、六花は瞳にしっかり焼き付けておこう
と思った。いつか心が悲しみを忘れても、絶対に瞳が覚えているはずだから。
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◇お願い
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・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
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