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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年02月29日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻76号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、遅くなりました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹の銀凰です。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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* * *
 六花(りつか)に与えられていた部屋は、運び入れた者達の予想を超えた寒
々しさだった。
 間取りも装飾も家具一式も、色彩以外は桜子とほぼ同じだというのに、主に
よって雰囲気は変わるものだと一樹(かずき)は初めて知った。
 今の部屋は、まるで六花の心情そのままだ。
『おいたわしいですわ……』
 《雪華(せっか)》が傍らのベッドから視線をそらす。白き良き従使の向か
いに佇んでいた一樹は、無言のまま少女を見つめる。
 六花は安らかな寝息を立てて、深い眠り床についている。ただの眠りではな
いことは明白だ。人狼は傷ついた心身を癒すため、限界ぎりぎりに近いレベル
まで生態活動を落とすことがある。それが、今の六花だ。
 しかし…………このまま、目が覚めない方が幸福なのではないか?
 そんな考えが、ふと一樹の脳裏を過る。
 目が覚めたところで、彼女にとっての世界は何ひとつ好転していないのだか
ら…………。
『治癒力は他の直系の方々と等しいぐらいですのに……一樹様?』
 どこか遠くから言葉を掛けられ、一樹は軽く頭を振る。どうやら、六花の冬
眠に意識が引きずられそうになっていたらしい。
「ああ、……弱い生き物ほど防衛本能が強いからな。《天狼石》の力なのかも
しれない」
 どちらにせよ、《雪華》が手当てすることもなく、六花の傷は驚異的なスピ
ードで回復に向かっている。生命に危険がないことが判明すれば、自分がここ
いる必要はない。
「行くぞ、《雪華》」
 と、一樹の歩きかけた足が止まる。掛け布団から伸びた六花の手が、自分の
上着の端をつかんでいるらしい。
「お前、起きているなら……」
 投げかけた言葉は途切れた。
「………………あ……かないで」
 依然、睡眠状態にある六花の頬を、涙が一筋つたう。
「なぜ、今になって泣く? お前は無意識の状態でしか泣けないのか?」
 問い掛けたところで彼女の返事はない。今ならば、彼の行為に対して喜びも
しなければ、恐れもしない、何も感情を呼び起こさない。
 だから、振り払うはずの手は自然、涙をぬぐうものとなる。透明な液体は六
花の心の渇きを癒すように止めどなく溢れ出ている。頬はこけ、涙で汚れた彼
女の顔は、お世辞にも美しいとは言えない。
 しかし、少女に触れた指先から、穏やかで安らぎに満ちた気が這い登ってく
るのが感じられた。来訪者がなければ、一樹はずっと幼な顔に見入っていたか
もしれない。
「意外ね、一樹が助けに行くなんて」
 ドアを開けるなり、桜子は言った。
 このタイミングの良さは、一連の騒動をすべて見知っていたことを示してい
た。
 ベッドでゆったりと観覧していたのだろう。あと数年もすれば、どんな男で
もなびくだろう夜着姿のまま、彼女は部屋に入ってくる。辛辣な兄である一樹
の目から見ても、憎らしいほど魅力的な美少女だ。
「もう情がうつったのかしら? 一樹は死にかけた動物に優しいから」
 歌うようなリズムで、次々と棘のある言葉が投げかけられる。
 幼い頃から、桜子は一樹のことを一度も兄と呼んだことがない。典型的な強
者優位の世界に生きるため、祖父が仕込んだ帝王教育の賜物だ。
 桜子は神楽家が誇る、当主の自慢の人形だ。
「お祖父様には黙っていてやる」
 例の発見がなければ、一樹も六花を見殺しにしようとしていた。冷酷さでは
妹と並ぶ自分のことは棚に上げておいて、奇妙な苛立ちを覚えていた。
「こいつの世話一切が神楽家当主からお前に与えられた役目だろう? そして、
監視を怠った結果がこのざまだ。どう、始末をつけるつもりだったんだ?」
 ――まあ、《天狼石》の秘密がわかったのは収穫だったがな。
 今回は、プラスマイナスゼロで貸し借りはなしということにしてやるが、と
一樹は内心ほくそえむ。
「二度と逃げ出せないように、見張り役のメイドを雇うわよ。どうせ一人いな
くなって困っていたところだもの。そうね、あの子の養母に似ている女なんて
どうかしら?」
 寝顔に叩きつけられた言葉の数々に、やはり、この少女は目覚めてはいけな
かったのだと一樹は改めて思う。
 はらはらしながら見守る《雪華》の表情を目の端にとらえて、一樹は妹への
罵声を胸中に収める。代わりに低い声で従使を呼ばわった。聡い従使は瞬時に
主の意を悟り、六花の周囲に《障壁》を張った。
「お前は残酷だな……」
 我が妹ながら、情をまったく考えに入れない少女だと呆れ返る。容姿が似て
いれば、それだけ小さな差異が目につき、故人を思い出してしまうものではな
いのか? そう、一樹が桜子に若き日のあの人の面影を、無意識にしろ重ね合
わせてしまうように……。
「残酷? 人で檻を作ることのどこが残酷だっていうの?」
 首をかしげている妹に、
「勝手にするがいい。……メイドが欲しいなら、深見に連絡しろ」
 成り行きで出てきた人名は一樹自身、意外なものだった。
 得体の知れない女を入れるのは気が進まないが、敵にもう一つ貸しを作って
おくのも愉快だ。案の定、桜子は白磁で作られたような指を口にやって、訝し
げな表情を作る。
「本当に今夜の一樹は優しいわね。一応、柏木に代わってお礼を言っておくわ」
 妹の鋭い視線を背に受けながら、一樹は悠々と部屋を後にした。
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◇連載小説…「フツウな日々」            作:神光寺かをり
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「翌日、お侍さんの家来が池に行ってみると、お侍さんの姿も、当然お姫様の
姿もなく、まだ水を引き込んでいないはずの池には、なみなみと澄んだ水が満
ちていた…とさ」
 水を打ったような静けさの教室に、校長先生の声と、授業の終わり時間を知
らせるチャイムの音が、同時に響いた。
「さて、社会の時間は終わりだ。次の時間は…図書室で自習。三時間目にはI
先生が戻ってくる予定から、普段通りの時間割に戻るよ」
 日直が声を張り上げて号令をかける。
 スチールの椅子と木の床がぶつかり、こすれる音が教室中に響いた。
 龍は頭を机の上に残したまま膝を少しだけ伸ばした。お尻だけが持ち上がっ
たものだから、日直が
「礼!」
と怒鳴る前から礼をしているようだった。
「着席!」
の声を聞いても、龍は座る気にならなかった。だからといって立ち上がる気に
もならない。
 中腰で、しかも変な角度に膝を伸ばしたままの、まるきりつまずいて転んだ
みたいな格好のまま、しばらく彼は机に顔を埋めていた。
『僕は頭をぶつけたセイで、変になっているのかも知れない。校長先生の話を
本当の風景みたいに想像してしまうし、お姫様の顔は「トラ」の顔に思えてし
まうし』
 このごろ雨が降らなくて、本物の「トラ」に会えないのがいけないのに違い
ない…龍は自分を納得させるためにそう思うことにした。
 思いこんで無理矢理に納得して、ようやく龍の腰は椅子の上に落ち、頭が机
から離れた。
「図書館に行けっ言われても、次の時間、他のクラスが使っていたりしないの
かな?」
「校長先生が行けって言ったんだから、大丈夫なんじゃないの? 他のクラス
がいたって、元々図書館では私語はいけないんだから、話さなきゃいいんだよ」
 誰かと誰かが話している。
 教室の後ろのドアのないロッカーや、机の横のフックから、生徒達はそれぞ
れに図書袋を引っ張り出した。そうしてそれを肩にかけたり、手に持ったりし
て、ぞろぞろと教室から出てゆく。
 龍も机横のフックから袋をとって、袈裟懸けにして立ち上がった。
 廊下では、学級委員と日直が、生徒達を二列に整列させようと躍起になって
いた。
 龍のクラスは行儀が良いほうなのだけれど、先生という箍(たが)がはまっ
ていない状態での今は、まっすぐな列を組んでおとなしく歩くことすらできな
かった。
 それでも始業のチャイムが鳴るまでには全員が図書室にたどり着いていた。
 若い女の司書の先生は、ぞろぞろやってきた生徒達の顔を見回し、声を立て
ず、ただ唇の前に指を一本立ててみせた。
 生徒達も同じように指一本で唇を押さえて、無言で本棚の間に散っていった。
 しゃべらずに普通に歩けば充分静かなのに、なかには忍者のように忍び足で
歩く者がいて、それを見た数人が声を殺して笑っていた。
 校長先生が「何の自習をしろ」という指示を出さなかったものだから、生徒
達は思い思いの本を手にとって、思い思いの席に着いて、思い思いに読書を始
めた。
 ノートを持ってきている生徒もいた。
 龍がノートをのぞき込むと、そいつは4時間目に答え合わせをする予定の分
数の足し算を、頭を掻きむしりながら解いていた。
『確かに宿題だって自習だよな。自分で習うんだもの』
 龍はその生徒の隣の席に自分の図書袋をおいて、書架に向かった。
 低学年用の絵本や、絵本ではないけど同じくらい絵の多い本が詰まった低い
棚の向こうに、伝記や課題図書が並んだ棚があって、そのまた向こうに百科事
典が並んでいる。
 龍の足は、その重たそうな棚よりももっと向こうへと進んでいた。
 そのあたりの冷たい空気は、少しほこりっぽくて、ほんのりと甘い匂いがす
る。
 棚の柱のところに「地方史(ふるさとの歴史)」と書かれた、茶色にくすん
だシールが貼ってあった。
 天井までぎっしりと本が詰まった棚だった。
 詰まっている本は、どれもこれも古くさくて、どれもこれも読めない漢字の
並んだ題名が書いてあった。
 龍は、住んでいる町の名前が書かれていて、できるだけ薄くて、できるだけ
新しそうな本を選って、ぎゅうぎゅうの本棚から抜き出した。
 算数ドリルをやっているやつの隣の椅子に戻ってくると、龍は持ってきた本
の一冊の、目次のページを開いた。
 算数ドリルの回答ページよりも小さな文字がズラズラ続いている。
 龍の目は、その読みづらくて読めない文字の上を直滑降で滑っていった。
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◇お願い
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・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
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