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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年02月21日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻75号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、遅くなりました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹の銀凰です。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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「今、楽にしてやるからね」
 雪女が言い放つのを、薄ぼんやりと六花は聞いていた。
 すでに、彼女の関心は違うところにあった。
 これも雪が見せる幻覚なの? それとも、雪女が作り出した幻覚なの?
 六花は我が目を疑った。何となれば、母親が雪女のすぐ脇に立っていたから
だ。事故にあったあの日に着ていたよそ行きの服で、柔和な微笑みを浮かべて
いる。その後ろで慈愛に満ちた表情を見せる眼鏡をかけた男は、父親だ。
「このまま放っておいても、血の匂いをかぎつけて動物どもがやって来るだろ
う。けど、あたしは優しいからね。生きながら喰われるのはイヤだろう?」
 少なくとも、女はまったく、母親と父親の存在に気がついていないようだっ
た。たった今、自分の脇をすり抜けた者があるというに、得意げにナイフで六
花の顔をいたぶっている。
『これが邪魔なのね』
 そう母親がつぶやくと、さらりと娘の咽喉を優しくなでる。手の感触はない
が、温かい空気がじわりと染み込んでくるのを、六花は感じていた。
『もう大丈夫よ、六花』
『もう大丈夫だよ、六花』
 周りの景色に溶けこむように、足元から母親と父親の姿が薄れていく……。
 待って、お父さんお母さん行かないで! お願い、私を置いていかないで!
 咽喉の途中に、小石が引っかかっているようだ。口まで出かかっている声が、
上手く外に運べない。もどかしい。今まで、自分はどうやって言葉を発してい
たのか、六花は不思議でならない。
「…………………………ああ…あぁ!」
 止めのナイフを振りかざした女の手が、つと止まる。六花のしゃがれた老婆
のような声に驚き、
「おや、そんな可愛い顔をして、なんて声をしているんだ……っ」
 その声が不明瞭な悲鳴に変わる。注意がそれたその瞬間を狙って、黒い物体
が女に飛びかかったのだ。
 発光する雪の中、六花の眼前に浮かび上がったのは、肉食獣特有の鋭い牙と
爪で雪女の身体を抱え込んだ漆黒の獣だ。そのまま、もつれ合いながら山の斜
面を転がり落ちていく。
 どう見ても、黒い獣の方が優勢なのは明らかだった。雪女の悲鳴と獣の咆哮
が、夢の彼方まで遠ざかっていく。
『今すぐ、降ろして差し上げますね』
 やはり気配なく六花の許に忍び寄ってきたのは、薄い白衣に銀髪のたおやか
な女だった。
 その言葉通り、乙女とは思えない腕力で蔦を引きちぎる。支えを失い頭から
落下する前に、六花は柔らかい身体に抱きとめられた。
『こんな酷いお怪我をなさって……』
 細く白い指が凍てついた少女の頬にそっと触れる。身の安全を確保して、よ
うやく痛覚が正常に働き始めたらしい六花を吐き気と頭痛が襲った。
「……た…い………………」
 彼女自身も頬に手をやって、初めて出血していたことに気がついた。生温か
さもぬらりとした感触も気持ちが悪いというのに、どこか懐かしい感覚が揺り
起こされる。
 何の気なしに、六花は自分の手の平を見やって――そして、後悔した。

 ──アアアアアアアァァアァァァ!
 それは、聞く者の胸を激しく動かす叫び声だった。狩りの最中で思わず、止
めの一撃を躊躇したほどに。
「…………ッ!」
 血にまみれた雪女はその隙を見逃さなかった。一樹の身体の下から抜け出す
と、脱兎のごとく近場の茂みに飛びこんだ。匂いを追わずとも、雪面に続く血
痕が点々と行方を示している。
 ふん、追う気にもならないな。
 放っておいても、あれだけの出血ではどこかで野たれ死ぬのがオチだろう。
無意識に獲物の急所を外していたのは、いつもの癖だった。いたぶり尽くし指
先ひとつ動けなくしてから、さらにゆっくりと痛めつけるのが一樹のやり方だ。
 それに、もう徴はつけてある。
 雪女の背中につけられた一樹の牙は《虜》の徴だ。牙の傷が治るまでの間、
従使は彼の思うがままに操られる人形と化す。これは桜子も会得していない、
一樹だけの《術》だ。
 あの異形の者が雪女ではないことぐらい、一樹は先刻承知だった。今も、そ
こら中に獣の匂いが立ち込めている。
 大方、西陣家の従使だろう。西陣の者は香を使い、人に幻覚を見せる《術》
を有すると聞く。
 一樹は口にこびりついた血を舌でなめ回す。鉄サビた味に満足感を覚えなが
らも、先程の悲鳴の方が気になっていた。早足で二人の気配のする場所に戻る
と、
『一樹様、出血をご覧になられて、驚かれたようです』
 雪面に座した《雪華》が六花の頭を抱えていた。ぐったりと横たわる少女は、
一見すると死んでいるかのように見える。
『それなら、狩りの手間がはぶけた』
 さすがの一樹も、意識がある状態で自分の妹を殺すのは気後れしていた。嫌
悪の色を隠さない《雪華》に、
『《天狼石》を取り出すには、そうするしかないだろう』
 一樹は一吠えする。だが、彼女は頭を振りかぶり、頑として主人の言うこと
を聞かない。
『《天狼石》が六花様のお身体にあると? 一樹様はそのようなことをお考え
になったのですか? 昼間のことが原因でしたら、檜樹様は歓迎の意を込めて、
六花様に御徴(みしるし)をつけようとなさっただけですわ。光栄なことです』
 この館を訪れた人狼は、当主から御徴をもらう。身体の一部に牙や爪で浅い
傷をつけられることによって、幸運と祝福を授かるという簡略された歓迎の儀
式だ。
『ならば、柏木がそれを阻止する必要があるのか? もう一度だけ言う、その
人狼を俺の前に置け。血を見るのが嫌なら、この場を去れ』
『………………』
 昔、当主の命を逆らうことになっても、二度と一樹には背かないと決心した
従使は、大人しく六花を雪の上に横たえた。
 もし目的のものがなかったら、一樹は単なる人殺しになるが、この小さな町
の人間は皆一族の息がかかった者ばかりだ……。
 俺は何をためらっているのだろう?
 らしくもない考えにひたって、一樹は自分を嘲笑する。これが桜子なら、眉
ひとつ動かさずに殺(や)れる自信があるというのに……。
 六花は無防備に、その華奢な身体をさらしている。それが、一樹の決心を鈍
らせるのかもしれない。少しでも彼女が抵抗してくれればやりやすいし、こち
らもハンティングのし甲斐があるというものだ。
 たぶん、悲しすぎるほど小さな肩や細い腰が、彼の中に残っているなけなし
の罪悪感を呼び起こしてしまうのだろう。現に少女のいたいけな雰囲気に、優
秀な従使である《雪華》が飲まれている。
 これが、六花の能力なら、これほど厄介なものもないと一樹は思う。
『さあ、逃げろ。ゲームの始まりだ』
 前足に体重をかけて、六花の薄い胸の上に置く。子熊ほどもある大きな獣の
四肢だ、すぐに少女の顔が苦しげになる。
『早く起きろ、そして、逃げろ』
 六花が走り出した瞬間、一気に咽喉に食らいつき、息の根を止めてやるつも
りだった。一番、楽にあの世にいけるように。──だが……
『一樹様っ?』
 一樹の巨体が、何らかの強い力にはじき飛ばされた。
 驚愕する彼の目に映ったものは、白々と明るい天空に伸びていく鮮烈の赤い
光だった。六花の胸元から伸びたそれは、少女の身体を守るかのように周囲に
真紅のドームを作り上げていた。
『これが《天狼石》の力なのか……?』
 まばゆい閃光の源が、その在りかを教えてくれる。
 今度こそ、天は俺の味方のようだな。
 しかし、これでは一樹にも手が出せない。彼女の体内から取り出すには、他
の方法を考えなければならないだろう。
『六花様をお部屋にお運びします』
 明らかに安堵の表情を浮かべた《雪華》が吐息をもらした。
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◇連載小説…「フツウな日々」            作:神光寺かをり
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「係の人は、穴の中に土を入れた。どんどん入れた。お姫様の身体はどんどん
土に埋まった。係の人は目をぎもっともっと土を入れた。そしてとうとうお姫
様の身体は土に隠れて見えなくなった」
 ぎゅっとつむった龍の目に、やっぱりぎゅっと目をつむった「係の人」の顔
が浮かんだ。
 穴を埋めた「係の人」は少し土が盛り上がった地面にぺこりと頭を下げ、そ
のまま走ってどこかへ行ってしまった。
 そこへお侍さんがやって来る。少し盛り上がった土を見てにやりと笑うと、
彼はその土の山をわらじで踏みつけた。
 何度も何度も、まるで大嫌いな毛虫か、たばこの吸い殻でも捻りつぶすみた
いに、何度も何度も土の山を踏みつける。
 やがてお侍さんもそこから離れた。
 乾いた土以外になにもない場所から、誰もいなくなった。
 机に突っ伏したままの龍は、体の回りに冷たくてさらさらした土が押しつけ
られているように思えて仕方がなかった。
 暗い穴の向こう側から、校長先生の声が聞こえる。
「うちに帰ったお侍さんは、娘のお姫様が家にいないことに気付いた。家来に
聞くと、朝早くにため池の工事現場に出かけると行って出て行ったと言う。お
侍さんは驚いて、急いで工事現場に戻った」
 龍の頭の中で、お侍さんは誰もいない工事現場の回りをぐるぐる回っていた。
 お姫様を捜しているのか、お姫様の行方を知っている人を捜しているのか。
 もしかしたら、お侍さんは気付いているのかも知れない。
 お姫様が穴の中に埋められてしまったのだと言うことに。そして、その穴を
自分が踏み固めたのだと言うことを認めたくなくて、どうしても、どうしても、
まだ水の張られていない池の底へおりて行くことができないのかも知れない。
 歩き回るお侍さんの足元で、からからに乾いた枯れ草や落ち葉が、がしゃが
しゃと音を立てて、粉々になった。
 ひたひた、がしゃがしゃ。
 お侍さんのあるく音だけが響く。
 もし姫がうちに帰ってきたのなら、誰かが自分に知らせに来るはずだ…お侍
さんはそう思いながら歩き続けた。
 日が暮れて、月が昇った。
 丸い月の周りを、ぼんやりと白い虹のような輪が囲んでいる。
 お侍さんは池の周りを歩きながら、時々ちらちらと横目で池の真ん中を見た。
 乾いた土がいびつな小山になっている。
 お侍さんは脂汗をかきながら、それでも真正面からそこを見据えることがで
きずにいた。
 ぐるぐる、ぐるぐる、お侍さんは池の周りを歩き続けた。
 同じところを歩き続けたものだから、そこのあった枯れ草も落ち葉も全部粉
みじんになって、とうとう音を立てなくなった。
 ひたひた、ひたひた。
 お侍さんは歩き続けた。脂汗はすっかり乾いた。のどの奥もからからに乾い
た。
 歩いても歩いても、だれもお侍さんを呼びに来ない。
 お侍さんは空池の真ん中の自分が踏み固めた場所をから離れることができず、
かといってそこに近づいて「そこの何が埋まっているのか」を確かめることも
できず、ぐるぐる歩き続けた。
 月が頭の真上まで昇っていた。
 土臭い風が吹き始めた。
 池の周りからは、何の音も聞こえない。
 池の中からは、水の音が聞こえてくる。
 はじめは水滴の垂れる音。
 それから水道の蛇口がどんどん開くように、音は大きくなって行く。
 水泳の後に浴びるシャワーくらいの音になって、水洗トイレのコックをひね
った後の音になった。
 どんどんどんどん水の音は強くなる。どんどん、どんどん、水の量が増えて
行く。
 轟々。
 一息にあふれ出したその音は、雨の降った翌々日の川の流れの音だった。
 龍は頭を上げた。
 前の席に座るクラスメイトの背中と、教壇に立つ校長先生の頭の上で、白い
大きな時計の針が、びくりと揺れながら六度だけ移動した。
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 チェックはしているつもりなのですけれど…
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