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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年02月14日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻74号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、Happy Valentine!お待たせしました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、旦那へのバレンタインプレゼントは
100円のアルファベットチョコで済ませちゃった愚妻の銀凰です。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ  「天狼戦記−華−」
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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『いかがなさいますか、一樹(かずき)様?』
 六花(りつか)の逃亡報告に現れた白い狐を一瞥(べつ)し、さらにグラス
を重ねる。
「さてな」
 一樹の足元にはウイスキーのボトルが数本転がっていた。着崩した制服姿の
まま、だらしなく壁にもたれかかり熱い息を吐く。
「あんな雑魚相手に、俺が手を出すまでもないだろう。柏木が何か手を打つは
ずだ」
『ですが……』
 主を困ったように見やり、従使である《雪華》は言葉の代わりに低くうなっ
た。
「大丈夫だ、これぐらいで酔ったりしない」
 自分で答えながら、それが問題なのだと一樹は考えたりする。帰宅してから
数時間、部屋を一歩も出ずに酒をあおっているのにまだ酔いの兆候がない。
『ですが……こちらを御覧くださいませ』
 自室の窓ガラスに張られた《氷水鏡》の中、六花のコートは次第にぼろ布の
ようになり、血と脂にまみれていく。あまりの恐怖のためか悲鳴もなく、蒼白
になった幼い顔は仮面のように変化がない。
 涙ひとつ見せない少女が、一樹はなぜか気に入らない。無性に腹が立つ。見
せたからといって、助けに行く保証もないのだが……。
 有能な間諜となった《雪華》から、昼間の出来事はすべて耳にしている。自
分のいない昼間に重要な会合をお膳立てした祖父と柏木に対する恨みは、脇に
置いておくことにした。
 ――今に始まったことではないしな。
 桜子と六花が二卵性の双子だったことは、桜子ほどではないにしろ、彼も少
なからず衝撃を受けていた。彼女とは、まったく違う意味で。
 やはり、六花は椛(もみじ)だったのか……。
 一樹は火事で死んだもう一人の妹の名前を知っていた。それは時折、正常に
戻るあの人の口からもれる名前だった。
 きっと、死んだと伝えられたのだろう。そういう時の弥生は、泣きながら暴
れて手がつけられない。彼女の繊細な心は、夫と子供の死の両方を一度に受け
入れることはできないのだ。
「それにしても、お祖父様の行動は理解できない……《雪華》はどう思う?」
 ようやく六花に対して、酒以上の興味を覚えた一樹はグラスの手を止めた。
《雪華》は嬉しそうに、
『変性を促すためのきっかけを、お与えになられたのではありませんか?』
「違うな」
 ゆるゆる揺れる《雪華》の二股の尻尾を見ながら、一樹は気だるげに首を振
った。酔いが今になって、ようやく脳の中で渦を巻き出したのに満足感を覚え
る。
 変性のできない人狼達からは勘違いされていることが多いが、変性に必要な
のは怒りや悲しみ、恐怖といった激しい感情作用ではない。真にリラックスし
た状態なのだ。だからこそ、獣型の維持と人型に戻るときの精神力は、並大抵
のものではない。
『では、やはり桜子様が《天狼》だと?』
 桜子が《天狼》である可能性は、十分考えられる。だとしたら、《第二の心
臓》と呼ばれる《天狼石》は一体どこにあるのだろうか?
 この当然の疑問に祖父は答えず、六花の身に襲いかかった。身体中の臓器が
機能を半分停止し、息するのも困難なあの《檜樹》が、なぜあのような凶行に
及んだのか…………。
 《天狼石》の行方には、一樹も興味をそそられている。《天狼》が生まれる
とき、その手に握っていることから名付けられたという石。それ自体が爆発的
な力を秘めているため、手に入れさえすれば一樹にも当主の座をもぎ取るチャ
ンスが生まれる。
 とうに空になっていたグラスを床に置き、一樹は《雪華》を呼んだ。足許に
跪(ひざまず)いた白狐の艶やかな毛並みを手ですいてやる。
 彼女は高度な《術》が使えない格下の二尾狐(にびこ)だ。従使は主の力に
比例して成長していくもの。決して表に見せはしないが、主の役に立てないこ
とを恥じている彼女が哀れで愛しい。
 一樹がこんな風に愛情を感じるのは、この世では《雪華》だけだ……。
 唯一の救いは、桜子には従使がいないことだ。彼女はよほど自分の体力と気
力に自信があるためか──それは事実なのだが――手元に従使を置こうとはし
ない。
「神崎典子、松村さゆりと長谷川里奈。こいつらと六花の違いは何だと思う?」
 三人とも最近この館に連れてこられ、桜子の脅しにより早々に出ていった少
女達だ。
 桜子が生まれる前までは、よく祖父は妾腹や傍流の子供をこの家に連れてき
ていた。皆、当主候補として恥ずかしくない、才覚がある選りすぐりの子供達
だった。
 神崎典子、松村さゆり、長谷川里奈といったまるで力のない少女達とは違う。
 つまり、桜子が生まれた前と後では、祖父が少女達を招聘した理由が違うと
いうことだ。だが、六花はそんな少女達とも違う何かがある。
 聡明な《雪華》ならば、すぐにわかるはずだ。彼女より一足早く解答を得る
ため、一樹は頭の中で叩けば埃が舞いそうな神楽家の歴史を紐解いていく。
『守の名手、柏木様の結界に引っかからなかったことでしょうか。けれど、そ
れは六花様のお力が……申し訳ございませんが、微弱だからなのでは?』
「誰にも悟られずに、雪氷結界を抜け出すのは不可能だ。この館内の静けさだ、
祖父様すら察知していなかったな」
 ちょこまかとうるさい《小銀》がいなければ、館の者は朝まで気がつかなか
ったはずだ。神楽家の館は二種類の結界によって守られている。
 一つは、館内にいる人狼の力を高めるための雪氷結界。もう一つ、館及び山
全域に網の目のように張られた結界。どちらも人狼や従使である限り、必ず警
報装置(アラーム)に引っかかる。
 お祖父様のおっしゃった通り、椛はあの人と同じ《血の不適合》なのかもし
れない。……いや、違うな。
 一樹は自分の考えを一蹴する。
 それは、あり得ない。それならば、数多い前例からいって、桜子も椛同様の
症状が出るはずなのだ。彼女らは二卵性とはいえ双子なのだから。
 俺の考えが正しければ……こんなチャンスはめったにないぞ。
『一樹様……?』
 突然、笑い出した主に《雪華》が身をすくませた。それに構わず、一樹は紺
のジャケットを脱ぎ、ベッドに放り投げる。
 指先から順番に全身の力を弛緩させると、軽く目を閉じる。全身の細胞の一
つ一つが分裂を繰り返し、変形していく様子を鮮明イメージする。
 酒のせいではない興奮に脳幹が痺れ、身体中の血が逆流するような熱い感覚
がある。耳元で潮騒がするのを、一樹は楽しんでいた。
 数分後、鳥肌が立つ感覚と共に、細身の身体に黒い獣毛が生えてゆく。肩や
骨盤が変形していくため二本足立ちでいられない。仕方なく、一樹は四つん這
いになった。
 こんな屈辱的な姿を見せられるのは《雪華》だけだ。その従使は逆に人型へ
と移行し、彼の脱ぎ散らかした衣類をまとめている。
 グヴッオオッ。
 一樹は咽喉を大きく反らせる。次の瞬間、伸びをして立ち上がったのは、ま
ぎれもない黒の狼だった。
『行くぞ、《雪華》』
 ──《天狼石》は椛の身体の中にある。
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◇連載小説…「フツウな日々」            作:神光寺かをり
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「水路と貯水池の工事をすることになった人は…お侍さんだったのだけれど…
その人は、神様へのプレゼントは人間の命がいいだろうと考えた。そう、その
人は人柱を立てることにしたんだ」
 教室がざわめいた。
「そのその貯水池のそばに住んでいる農家の人たちを何人か、池の底の地面に
掘った穴の中に生きたまま埋めて、そこに水を張ってしまうことにした」
 龍は、冷たくて乾いた土が自分の身体の上に被せられているような気がてき
た。呼吸をするもなんだか辛くなった。
「そのお侍さんは、人柱を立てることにしたというのをみんなに伝えるとき、
こんな話をした。
『水の神様の銀色の龍が夢に出てきて言った。人柱を立てれば、工事が無事に
済んで、その後も堤防が壊れたりしないし、日照りで水がなくなることもなく
なると。これは神様のお告げだから、言うことを聞かないといけない』
これを聞いたある人は、神様のお告げだから間違いないと思ったし、別の人は、
神様のお告げだから仕方ないと思ったし、また別の人は、神様のお告げだから
仕方がないけれど自分が人柱になるのは嫌だと思った」
…自分がなるのは嫌だけれど、他の人がなるのは仕方がないなんて!…龍は見
たこともない昔の人に、ちょっと腹を立てた。
 だけど、自分も人柱になるのは嫌だと考えた。そして、そう考えた自分がち
ょっと嫌だった。
「人柱はくじ引きで決めることになった。それで何人かの人たちが生き埋めに
なることが決まった。人柱のお祭りをやる日も決まった。だけれど、人柱はや
っちゃいけないんじゃないかと思っていた人もいた。その人は人柱を決めるく
じ引きにずるをしてあったんじゃないかとも考えたんだ。…工事の責任者のお
侍さんが『嫌いだ』と思っている人が選ばれるようになっていたんじゃないか、
ってね。そして、もしかしたら龍の神様が人柱をするように言ったという夢も、
嘘の話なのじゃないかとも考えた」
 教室がまたざわめいた。でも、さっきの怖いざわめきとは違った感じだった。
 校長先生は、口をぎゅっと結んで、ざわざわする教室の中を見回した。校長
先生の声がピタリと止んだので、教室は一層ざわめいた。
 どんどんうるさくなっているのに、校長先生がなにも言わないものだから、
逆に生徒達は静かになり始めた。
 そして、誰もおしゃべりをしなくなった頃、校長先生はまた口を開いた。
「そう思った人というのは、そのお侍さんの娘、つまりお姫様だった」
 波のような騒がしさが、教室の中を通り過ぎた。今度の騒ぎは、長続きしな
かった。みんな校長先生の話の続きが聞きたくて、すぐに「私語」を止めたか
らだ。
「お侍さんの娘は、人柱に決まった人たちを逃がした。そして、人柱のお祭り
が始まる前、まだお父さんのお侍さんが工事の現場に着く前に、池の底のあな
の中に入った」
 何人かの生徒がごくりと息をのんだ。
 龍もつばを飲み込んだ。ただし、頭は机の上に伏せたままだった。顔を上げ
るのが、何故かとても恐ろしかったから。
「人柱のお祭りが始まって、最初にびっくりしたのは、人柱の穴を埋める係に
なった人だった。穴の中にいるのがくじで決まった人たちでなく、お姫様だっ
たからだ。
『声を出してはいけません。私が人柱に選ばれたのです』
 お姫様はにっこりと笑いながら係の人に言った。係の人は声を出したり、お
侍さんに連絡したりしなかった。どうしてかというと、この係の人も、人柱を
決めるくじがずるだったんじゃないかと思っていたから。そして、できること
なら人柱の人たちを埋めたくないとおもっていたかから」
 龍は頭を上げた。穴の中でお姫様が「にっこり笑った」というのに驚いたか
らだ。
 彼は、暗くて冷たい穴の底で、静かに笑うお姫様の顔を想像した。
 真っ白で、大人びて、頭の良さそうな笑顔。
 パチパチと何度も瞬きをして、コツコツと何度も頭を叩いて、何回も想像を
し直したのだけれど、どうしてもそのお姫様の顔が「トラ」の顔になってしま
う。
「トラ」の顔をしたお姫様は、「トラ」の声で、穴の底からこう言うのだ。
『さあ、早く土を被せなさい。私の父が、人柱が変わっていることに気付く前
に、穴を埋めてしまいなさい』
 龍はもう一度机に突っ伏した。そして両手で両耳を塞いだ。
 わーんというノイズが耳の中で響く。その雑音の向こう側で、校長先生の声
は続いた。
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