----------------------------------------------------------------------
-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
----------------------------------------------------------------------
---------------------------------------------- 2004年01月17日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻71号 -----
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇ご挨拶
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お寒うございます、お待たせしました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰恵です。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇本日の目次…
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆連載小説…くまのサマ 小説「天狼戦記−華−」(9 第8話)
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」(第8回)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
★☆――――――――――――――――――――――――――――★☆
NO,1ポータルサイト「 Yahoo! news 」が認めたアクセスアップツール
★☆――――――――――――――――――――――――――――★☆
初心者の方でも1クリックで、検索エンジン登録/上位表示できるツール
アクセスアップは全て「ホームページ登録ドットコム」におまかせ頂き
    あなたはホームページの内容を充実させましょう!
  検索エンジン登録代行・検索エンジン上位表示! 1980円〜!
http://www.hptouroku.com/cgi-bin/affiliates/clickthru.cgi?id=359449
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 帰りたい……誰か助けて、お願い、帰りたいの……。
 親戚中をたらい回しにされた挙句、ようやく六花(りつか)はこの館にたど
り着いたのだ。今さら、どこに帰れるというのだろう。
 窓の外では十度目の夜が訪れようとしていた。窓ガラスに映った彼女は、ベッ
ドの上で少女らしからぬ痩せこけた身体を抱きしめ震えている。しかし、その
瞳は濡れたように輝くのみで、涙は見当たらない。
 ………………帰りたい、でも帰れない。
 六花は両親の実子ではなく、佐野の家系には縁もゆかりもない少女だったの
だ。この身体には一滴も佐野の血は流れていないのだ。親戚の冷たい仕打ちの
理由がわかっても、今の彼女には何の救いにもならなかった。
 ここにいれば、自分はきっといつか殺される。だが、死んではいけないのだ。
だって、お父さんもお母さんも………………それに、柏木さんも私を助けるた
めに…………。
「食事の時間は守って欲しいわね。それから、扉はロックしろと言ったはずよ。
あなた、《封呪》のかけ方も知らないの?」
 涼やかな声とともに、桜子が姿を見せた。
 制服を着替えてラフなジーンズになっても、彼女の華やかさは少しも変わら
ない。
「………………」
 きっちりと鍵はかけたはずだと、六花はうるんだ瞳を見開いた。その反応を
楽しむようにドアの内側を二三度ノックした後、桜子は艶美な微笑みを見せる。
「ノックはしたわよ。あら、泣いているかと思ったのに」
 確かに神楽家当主が引き起こした恐怖は、六花を激しく動揺させた。だが、
それ以上に血の花を散らした執事のことが気にかかっていた。あの後、柏木は
檜一郎に必死に許しを乞い、自室に引き上げていったのだ。
 きっと、大ケガをしているはず……。
 六花はなんとはなしに、彼だけは自分の味方だと感じていた。ただの希望的
観測だが、自分の直感を信じたい。
「……………………」
「安心しなさい、あれはお祖父様の冗談なのよ」
 まるで自分がこの部屋の主のように、桜子は籐の椅子に腰掛けて微笑む。そ
の瞳に隙はない。
「柏木も人狼の一族よ、あの程度で死ぬようならこの家にはいられないのよ。
そもそも、必要がないしね」
「……………」
 六花は何の反論もできなかった。常識がこの家では通用しないことは先刻、
身をもって知ったばかりだ。ぞくりと背筋に悪寒が走った。
「養父母が死んでから一度も泣かなかったって聞いたわ。ねえ、もしかして、
本当は養女だって気づいていたんじゃない?」
「…………!」
 それは、六花が両親に対して愛情がなかったということだろうか? このと
きばかりは、声が出ないことが悔しかった。凍えていた頬が、瞬間的に熱くな
るのを感じる。知らず、胸元に引き寄せていた毛布を六花は強く握り占める。
 あなたに何がわかるの!
「両親がいないのはあたしも同じよ。あたし達は赤ん坊だったから、自分で自
分の命を守ることができなかったのよ。でも、あなたにはあったのよ、義務が」
 桜子の唇が、《義務》という単語を紡ぎ出す。
 ──私は……私には自分を守る義務があった?
 彼女が言いたいことはわかっている。医師達のように婉曲ではなく正面切っ
て言われた分、気分が楽だった。自分の身さえ守れない者は、生きていく資格
がない。その彼女のために、両親は犠牲になったと言いたいのだろう。
「死んだ者に義理立てして、生きていくつもりなの? それこそ、傲慢なんじゃ
ないかしら? 違うかしら?」
 長いまつ毛の下、桜子の茶色い瞳が妖しく輝き出す。
 ……目が、離せない……宝石みたい。
「そんなこと誰も望んでいないわよ。きっと、ご両親もね。だから……」
 私は、死んだほうが、いい人間だというの。
 それまでの傲慢な口調から一転、恋人に優しく囁きかけるような吐息交じり
の声に、六花の目が焦点を失っていく。
 本当にそうだ。自分のせいで、まだ生きなければならない人間が二人も死ん
でしまったのだから。こうしてグスグスしている間にも、また必要な人間が死
んでいたとしたら……?
「…………………………」
「あなた……死にたいんでしょ? そんなに死にたいなら、あたしが殺してあ
げましょうか?」
 唇の端からのぞいた赤い舌が、六花の脳裏に焼きついた。
                                 続く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
感想などは「主婦と創作」気付で(メールを転送致します)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 主婦と創作ではオリジナルなテキスト作品の投稿を募っております。
 自作(必須)で、テキスト形式メルマガで発表できる作品でしたら、小説か
ら俳句まで、ジャンルは問いません。 震ってご投稿下さい。
…でもとりあえず、規約には目を通して下さいな。
★投稿規約のページ
 →http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/index2.html
★投稿用メールフォーム
→http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/mmagazine.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇連載小説…「フツウな日々」(第8回)        作:神光寺かをり
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「この学校があるところは、昔は殿様のお城の一部分だった…というのは知っ
ているかな?」
「はい!」
 複数の生徒が手を挙げる。手を安慶名以西との中からも、
「校章に地図記号のお城のマークを使っているってのは知ってるけど」
といった声が漏れ聞こえる。
 校長先生は、ちょっと不満そうな苦笑いをしたあと、
「お城を建てる命令をした人は殿様で、殿様はお侍さんだから、お城を建てる
ときにはお侍さんの大切なもの…刀と馬を神様へのプレゼントにした。考古学
者の先生が調べたら、お城の地面の下にさびた刀や馬の骨が埋まっていたそう
だ」
「馬も、埋めちゃったんですか?」
 質問をした生徒が、不安そうな声で訊ねると、校長先生は小さくうなずいた。
「それでお城の工事が失敗しないし、できあがった後も戦争で負けたりしなく
なると思ったんだろうね。実際に工事はうまくいったし、そのあとで大変なこ
とが起こったりもしなかったから、工事をした人やその子孫の人たちは『あの
とき神様へのプレゼントをして良かった』と思ったに違いない。それが本当に
プレゼントの効果だったかどうかは、判らないけれどね」
 ざわつく教室をぐるり見渡すと、校長先生はもう一度黒板に向かった。
 そして、青いチョークをチョーク入れから探し出し、さっきの地図のずっと
下の方に丸を一つ描いて、その中を塗りつぶした。
「お城が建ってから百年くらいあとのこと。この辺りの土地に田圃を作ろうと
考えた人がいた。色々調べて、この辺りは川から遠いので、水路と貯水池を作
らないと水が足りなくなると言うことが判った。これはとても大変な工事だ。
お城を造るよりもずっと難しい」
 本当に難しそうな顔で校長先生は言った。
「さあ、君たちが『昔の人』なら、どうしたらいいと考えるかな?」
 何人かの生徒が勢いよく手を挙げた。龍も挙げようとしたのだけれど、自分
の考えていることがとても「恐ろしいこと」のように思えたので、やめた。
 校長先生に指名された生徒は、小首を傾げながら答える。
「お城の時よりもたくさんのプレゼントを用意すればいいと思ったと思います」
「たとえば?」
「お城の時よりも馬の数を増やすとか…」
 生徒の声は尻つぼみに小さくなった。答えを聞いている校長先生の眉毛が
「ちょっと違う」と言っているように見えたからだ。
 その生徒が席に着くと、また別の生徒が手を挙げた。指名されて、立ち上がっ
て、さっきの生徒よりもっと自身がなさそうに答える。
「お城の時よりももっと高価なものをお供えにすればいいと思います」
「たとえば?」
「それは…わかりません」
 生徒はへたっと椅子に座った。
 校長先生は難しそうな顔のまま、教壇から降りた。そうして、生徒達の顔を
見回しながら、机の間を歩く。
「昔の人も、確かにお城を建てたときよりもたくさんの高価なものをプレゼン
トにすればいいんじゃないかと考えたはずだ。じゃあ、なにをプレゼントにし
たらいいと思いついたのか…」
 校長先生の革靴が、木の床の上でコツコツキュッと鳴った。
 コツコツとキュッは、どんどんと龍の机そばに近づいた。コツコツの度に龍
の心臓が大きく縮み、キュッの度に掌から汗が出る。
 そして、ドンと言う音が、龍にだけ聞こえた。他の生徒には多分「ポン」と
いう音に聞こえたはずだ。
 校長先生の大きな掌が、龍の両方の肩の上に乗っかったのだ。
「君はさっきから、手を挙げようとしているのに挙げないでいるね?」
 校長先生の声は優しかったのだけれど、龍にはお説教のように聞こえた。
「答えが合っている自信がありません」
 うつむいて言うと、校長先生は彼の肩をぎゅうっと…まるで肩もみをするみ
たいに…掴んだ。
「これはテストじゃないんだから、間違っていてもかまわないんだよ。さて、
君が昔の人だったら、何を神様へのプレゼントにしたらいいと思うかな?」
「怖くて、言えません」
 龍は体中の毛穴が縮んで、全身が鳥肌になるのを感じながら、ようやっと答
えた。
「そうか」
 校長先生の掌が、龍の肩からふわりと離れた。
 安心したのと変に疲れたのとがいっしょになり、全身の緊張がいっぺんに消
え失せて、彼は机の上に突っ伏した。
 校長先生のコツコツキュッが、どんどんと離れてゆく。
「多分君の考えは正解だと思うよ」
 龍は机の脚を蹴飛ばし、大きく音を立てて体を起こした。
 校長先生はもう教壇のところまで戻っていた。
                                 続く
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◇お願い
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
・投稿作品を募集します。詳しいお問い合わせは、以下のメールフォームから
 お願いしますです。
    →http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/mmagazine.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
--------------------------------------------------------------------☆
★姉妹メルマガ★ こっちもよろしく♪
        ☆-- 賑町「こんなンできました」通信--☆
 Web素材配布サイト「賑町笑劇場」と小説サイト「お姫様倶楽部Petit」の
        更新情報をお知らせするメールマガジンです。
  加工自由な風景写真の新着情報&オリジナル幻想小説の新作情報を
          いち早くお手元にお届け致します。
        メルマガ読者限定配布素材も企画中です。
 ☆ http://www.melonpan.net/melonpa/mag-detail.php?mag_id=005624 ☆
--------------------------------------------------------------------☆
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
    ◆テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◆
発行人:銀凰恵
 URL :http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/
 Mail: gin_oh@yahoo.co.jp
   このメールマガジンに掲載されている文章の全部または一部を
   無断で引用・転載することは、やっちゃだめです。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
このメールマガジンは、
『まぐまぐ』   http://www.mag2.com/m/0000093007.htm
『メルマガ天国』 http://melten.com/m/10992.html
『めろんぱん』  http://www.melonpan.net/mag.php?004900
を利用して発行しています。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
 なお、当方では代理登録・代理解除は行っておりません。
                解除は上記アドレスから行ってくださいね。
☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・
{magclick}
━━━PR━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
─【楽天ブックスからのお知らせ】────────────────
■■ カフェラクは本好きの女性のためのWEBマガジンです! ■■
----------------------------------------------------------------
旅行に、恋に、グルメに大忙し!そんな女性を応援するWEBマガジン
がCafe de RAKUTEN BOOKS。テーマに沿った素敵な本をご紹介しています。
http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=IAI2B+DTQHLE+1N6+631SZ
────────────────────────────────
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━PR━━━