「メルマガ文芸同人 主婦と創作」
 
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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2004年01月10日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻70号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お寒うございます、お待たせしました。
 あけましておめでとうございます。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰恵です。
 本年もよろしくおつきあいのほど、お願い致します。

 銀凰より…というか、私の所属団体「お姫様倶楽部」より…のお年賀CGが
 以下のページで公開されております。
http://jhnet.sakura.ne.jp/piasunet/gifts/2004_09.html
 直リンクと二次加工は禁止ですが、再配布はOKですので、もしWebサイトをお
持ちの方がいらっしゃいましたら、隅っこの方にでもお飾り下されば幸いです。

 それでは、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ 小説「天狼戦記−華−」(8 第7話)
 ◆連載小説…神光寺かをり 「フツウな日々」(第7回)
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◇連載小説 天狼戦記−華−                 作:くまの
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「お前達の両親が死んだのは火事が原因だ」
 老人の言葉を受け、
「もちろん、火災があったことは知っていたわ」
 桜子(さくらこ)が微笑に近い形に唇をゆがませた。
 桜子と六花(りつか)が誕生した翌年、神楽本家が全焼するという大規模な
火災が発生した。館内に取り残された赤子を救うため、助けに入った神楽真
(かぐら しん)とその妻、弥生(やよい)は焼死。出火場所は育児部屋だっ
た。
「六花の死亡公表はわしの一存だ。たぶんに、この火事には西陣家がからんで
おる」
 神楽家当主がもみ消したもう一つの真実は、焼死体で発見された乳母の存在
だ。彼女も焼死と公表されていたが、実際のところ炎と煙にまかれる以前に殺
されていた。背中から心臓をひと突き、鮮やかなプロの仕事だった。
「つまり、誕生パーティーの出席者のなかに、暗殺者が紛れ込んでいたという
ことね? お祖父様」
「お前達が双子だと情報がもれたのだろう。それを西陣(あやつら)が嗅ぎつ
けたのだ」
 神楽家も常時、西陣、呉家に間諜や手練の暗殺者を送り込んでいる。敵陣に
限らず、周辺の町、近県にまで散らばり潜伏している彼らは、状況によっては
自己判断で動く許可が下りている。今回も、そのなかの一人なのだろう。
「双子、ね」
「双子……でございますか」
 柏木も桜子も双子という単語に敏感に反応していた。ただ一人、六花の頭の
中だけが混乱状態に陥っていた。
 自分が養子であった事実に加え、実の両親の焼死、乳母の暗殺、他家の間諜
達の存在。
 これまでの生活圏内にはなかった血生臭い単語は、六花の気分を重くした。
下手にため息を吐けば、深い毛足の絨毯に沈み込んでしまいそうだ。
 かろうじて、檜一郎の言葉を脳髄に刻みつけることができたのは、逃亡を許
さない厳しい眼差しが老人から注がれていたからだ。
「そう、《天狼》の可能性を未然に消したかったのだ。おや、六花。学習する
機会は与えたのだよ」
 その言葉に、六花はますます身の置き所がなくなってしまう。
「桜子から聞いておるだろうが、我々一族は純粋な人間でもなく、かといって
狼でもない。人狼と呼ばれる種族だ」
 特殊な術と驚異的な肉体を有するのが《人狼》だ。そして、先祖返りした最
も狼に近い人狼を、敬意を表して《天狼》と呼ぶのだという。「双子の片方が
《天狼》である可能性が高い。だから、どの家の者もある程度育つまでは、双
子の存在をひた隠しにするのだ。さすがに良心が痛んだのか、直接、お前達を
殺すことはできなかったらしいがの」
 殺す、私をどうして?
 そもそも、実の両親が亡くなっているのに自分達はなぜ、今ここにいるのだ
ろう?
「あたし達はどうやって助かったの? 両親は焼死したんでしょ?」
 六花が訊ねたかったことを、桜子が代弁してくれた形となった。
「真は業火に焼かれた。弥生はお前達を抱いて二階のテラスから飛び降りた際、
強く頭を打ったのが死因だ。…………お前達の母親は《不適合》だったからの」
 二階からの跳躍など、人狼一族なら歩くよりも易しいことだ。彼らは人の十
倍以上の筋力を身体に有するのだから。
 檜一郎はベッドの奥から六花の顔を凝視し、直後、くしゃりと相好を崩した。
「よく聞くがよい、六花」
 老人は噛んで含めるように言葉をつむぎ始める。
「我々の社会では近親結婚を重ねた結果、まれに人狼としての能力を発揮でき
ない《血の不適合》と呼ばれる者が生まれることがある」
 《血の不適合》者の持つ潜在能力の方が、人狼よりも上位だといわれる。
 しかし、彼らの内部にこもった莫大な力は、その者の精神を少しずつ浸蝕し
ていく。発狂しなくとも何がキッカケで精神が崩壊するかわからない恐怖に、
自ら命を縮める者が多い。
「わしは桜子か六花かどちらかが、天狼ではないかと思うておるのじゃ……」
 天狼、あの絵の狼のこと?
 意識を集中していても、いつの間にか話題は六花の上を飛び越え、彼女の理
解が届かない場所を漂っている。檜一郎も桜子も柏木も、こうして見ると本当
に別世界の人なのだ、と六花は感じる。
 ──何かが起こっているのはわかるけど、やっぱり、私にはわからな
い…………。
 完全に話に興味を失い、六花が面を伏せるかどうかのタイミングで、新たな
話題に移った。
「でも、お祖父様。《天狼石》は?」
「…………それはじゃ、な」
 檜一郎の目が黄金色に光った。次の瞬間、死にかけた老人とは思えない動作
で、ベッドから飛び降りる。そして、一足飛びに六花の前へ。大きく振り上げ
られた右腕は、間違いなく彼女の左胸を狙って振り下ろそうとされていた。
 桜子は口元に手を当てた姿勢で止まっていた。動けなかったのかもしれない
が、動けたとしてもやはり何もしなかっただろう。この場で動けたのは、動く
気配を見せたのは、ただ一人。
「…………六花様ッ!」
 脇に控えていた青年に突き飛ばされ、六花は床に投げ出された。上等な絨毯
が衝撃をほとんど吸い取ってくれたおかげで、身体に痛みはなかった。
「…………もうし……わけありません」
 柏木が脇腹を押さえ、かがみ込んでいる。長い指の隙間から赤く流れ出てい
るのは……あれは血ではないだろうか?

 いや、い、いやあぁぁ…………。
                                 続く
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◇連載小説…「フツウな日々」(第7回)        作:神光寺かをり
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「席についてー」
 クラス委員の女子が金切り声を上げる。
 校長先生はクラスの出席簿を手にし、教壇の真ん中に立った。
「日直は? …授業を始めるよ」
 校長先生はにっこり笑って背筋を伸ばした。
 当番の生徒が号令をかけ、クラス全員がそろわない礼をして、着席するとす
ぐ、女子の一人が手を挙げて発言した。
「なんで校長先生が来たんですか?」
「君たちのクラスの担任のI先生と副担任のY先生が、休養で出かけてしまい
ました。そこで、今日の午前中の授業は私がかわりに教えることにします」
「校長先生が、授業をできるの?」
 誰かがぽつりという。別の誰かが
「校長先生は先生の中で一番偉い先生なんだから、国語だって算数だって、きっ
と全部できるんだよ」
そういって、校長先生の顔を見つめた。
 校長先生は苦笑いしながら、時間割をちらっと見た。
「このクラスは、月曜日の午前中に体育と音楽がなくて良かったよ。他の課目
に比べると、苦手だからね」
 生徒たちは笑ったり感心したりしながら、校長先生の授業が始まるのを待ち
かまえた。
「1時間目は、社会だね。いまは地域学習をやっているとI先生から聞いてい
るのだけれど?」
「はい」
 一人の生徒が手を挙げた。ついさっき「怖い話」をした男子だ。
「ん? 質問かい?」
 校長先生がその生徒を指名すると、彼は椅子を後ろの机にぶつけるくらいに
勢いよく立ち上がった。
「この学校を建てるときに、人柱ってやったんですか?」
 生徒たちがざわめいた。失笑している者もいたし、言葉の意味が判らなくて
回りに訊ねている者もいたし、怖がって震えている者もいた。
 校長先生は最初は相当驚いたようだが、すぐににこにこと笑って、
「君はずいぶん難しい言葉を知っているね。意味は知っているかい?」
「人を生き埋めにしちゃうことです」
 さっきの「怖い話」を運良く聞いていなかった一部の生徒達が、
「そんなことしたら死んじゃうよ」
とか
「何で埋めちゃうの?」
などと、周囲の生徒達に聞いて回ったりするものだから、教室の中がいっそう
騒がしくなった。
 そこで校長先生は大きく咳払いをして、生徒達の注目を教壇に戻した。
「みんなは、普通に何かを頼まれるのと、何かプレゼントをもらって頼まれる
のと、どっちがいいかい? 例えば、うちの人にお使いを頼まれるとして、な
にもあげないけど行ってきてと言われるのと、臨時のお小遣いをあげるからと
言われるのと…?」
 生徒達は校長先生が、何か突然違う話を始めたように思ったりもしたけれど、
それでも
「お小遣い、もらえた方がいいよなぁ」
「なにももらえないなら行かないよ」
口々に言った。
 校長先生は大きくうなずいて、話を続けた。
「そうだね。何かもらうと、頼まれごとを聞きたくなる。校長先生だってそう
だよ。
 それで、昔の人は『神様だってプレゼントをもらえば喜んで願い事を聞いて
くれる』と考えたんだ」
「神様に、プレゼント?」
「神様からプレゼントなら判るけど…サンタさんからとか」
「サンタさんって、神様だっけ? 違わないかなぁ」
 生徒達は目玉と神経は校長先生の方に向けたまま、小声で言い合った。
「サンタさんは神様じゃないけど、それを説明すると長くなるから、それはま
た今度だ。
 とにかく、昔の人は神様にプレゼントを贈らないと、願い事は叶わないかも
知れないと信じていた。
 特に、大きな願い事や、失敗してはいけない仕事をするときには、『自分に
とって大切な物』を送った方が良いと思っていたんだ。
 普通の食べ物や飲み物だけじゃ駄目で、お侍さんなら刀とか、農家やお店を
やっている人なら牛や馬とか、無くなってしまうと困る物をプレゼントにして
いた」
「先生、質問!」
 龍の三つ隣の席の男子生徒が、手を挙げた。
 校長先生が指さすと、彼は勢いよく立ち上がって、こう聞いた。
「神様って、見えないし、障ったりできないですよね。どうやってプレゼント
を渡すんですか?」
「うん、そうだね。昔の人も、どうやって渡したらいいかを、色々考えたんだ。
 川の神様だったら、川に流せば受け取ってくれるかな、とか、山の神様なら
土に埋めればもらってくれるかな、とか。そして、空にすんでいる神様なら、
空に届けるために煙に乗せようと考えついた人がいて、火にくべて燃やしたり
もするようになった」
と言うと、黒板に何か書き始めた。
 白いチョークでぐねぐねとした線を引き、緑や黄色のチョークで色を塗り分
け、水色の太い線やゆがんだ丸の形を描き上げる。
「この町の地図だ」
 そう気付いた龍が、気付いたままを口にすると、校長先生は大きくうなずいた。
                                 続く
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◇お願い
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・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
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