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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2003年10月18日号 ----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お寒うございます、お待たせしました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰@お間抜けサンです。
 今回神光寺かをりの連載が最終回となりました。…次は何を書きましょう…
 また、くまのサマの作品も佳境です。
 それでは早速、今回の作品をどうぞ。
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ 小説「星眼の巫女」(16)
 ◆    …神光寺かをり 小説「舞殿の【女帝】」(21 最終回)
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◇連載小説 星眼の巫女                   作:くまの
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 おお、このときのためにローダットは邪眼を己が身にはめ込み、妾の神力を
そいでおいてくれたのじゃな。そうでなければ、このような愚策は思い浮かば
ぬわ。
 実留は死んでも転生が可能だが、女神は……。
 ――愛しい子よ、迷うでない。それほどの刻は我らに残されてはいないのだ
から……。
 実留の左手が空を袈裟懸けにした。手刀が生んだ突風はよどんだ黒い霧を払
うと、これまで自分と共にあった人々の姿を表出させた。
 カイ、シーシャ、マヤカはよくできた人形のように、爆風に倒れたままの姿
勢で静止している。衣類は見事に焼け焦げているが、皆、大きな外傷はなさそ
うで安心した。
 ――バクターシアの民を一人、選ぶがよい。
 実留はこの場にあるのが不思議なくらい優雅な男を指さした。「シーシャさ
んを」
 ――では、その者を神話を語る者とする。
 緊縛を解かれたとたん、ばね仕掛けのように背後に飛び退り、身構えた青年
に女神は拍手を贈る。誇り高い最高の戦士への褒美だった。
「…………実留さん?」
 構えをとき、青年がこちらに一歩踏み出しかけたとき、その声が屋上であっ
た廃墟に響き渡った。
『妾は破壊と殺戮の女神アシュウム。そなたはこれから行う儀式を見届け、寸
部の狂いなく後世に伝えよ』
 シーシャは実留の高圧的な口調を聞くと、すぐに姿勢を正し、膝をついた。
「シーシャ・クレイバーン、身にあまる光栄に存じます」
『妾はラート像が復元し封じられる前に、破邪の剣で自ら滅する。さすれば、
この邪眼の巫女は死すれど、再び聖眼の巫女とまみえることにはならぬ。ロー
ダットはラート像で静かな眠りを得ることができるのじゃ』
「それでは、アシュウム女神様は……」
『妾はよい、もう戦いは飽いた。もはや、何が戦いの火種であったか思い出せ
ぬほど昔から、ローダットと殺しあってきたのじゃ……………………シーシャ
さん』
「実留さん、ですね」
 はい、とうなずいた拍子にシーシャの碧の瞳と実留の瞳がぶつかる。先に視
線をそらせたのは、青年の方だった。
「私を選んでいただいたのは賢明ですね。カイ様やマヤカ殿ならば、あなたを
お止めするでしょうから」
 実留の計画を耳にしても、初めて逢ったときと同じ微笑みを浮かべて青年は
言葉をつむぐ。
 実留もそう考えた。彼ならば、いかなるときも冷静に最善の途を選び取るだ
ろうから。そして、それが国師としての任務だから。
「本当にごめんなさい。カイやマヤカちゃんにお礼を頼めますか?」
 涙をこぼさず言葉を発するのに、実留は予想以上に労力を要した。
「承知いたしました。私も覚悟を決めて、禁固刑でも降格処分でも受けましょ
う」
「一度、バクターシアに行きたかったです。今度はもっと美人で素直な女の子
に生まれ変わって……」
 あなたのそばにいられたら……。
 最後の方は言葉にせず、心の奥底に大切にしまっておくことにした。生まれ
て初めて、実留の胸に芽生えた淡い想いは、額を飾る宝石と同じ価値を持って
いたから。
「実留さんは私が存じている王宮の姫君のどなたよりも、素敵な女性です」
「ありがとうございます」
 実留は笑顔で礼をいい、中空に復元しつつあるラート像を見上げた。
 ――もう、妾はその檻には入らぬ。
「私は私とアンナの王国を守るわ。あなたにもう邪魔はさせない」
 怒ったようにつぶくやくと、二人はシーシャに背中を向けた。アンナが横た
わる場所に戻るためだ。
 傷跡も生々しい右手一本で、実留は地面に生えた破邪の剣を引き抜く。合図
も何も必要なかった。二人は破邪の剣を逆手に持ち返ると、額の紅玉を突い
た。

 確かに邪眼は砕けた。
 しかし、滅したはずのアシュウム女神と死出の旅に向かったはずの実留は、
まだそこにあった。大いなる何者かによって、二人は護られていた。
 ――神界への途が開かれたのです、女神アシュウム。貴女の邪眼も罪も滅し
たのです。
 空洞であるはずのラート像から乳白色の陽炎が立ち昇り、この場を温かい空
気で満たしていた。
『その御声は女神ラート』
 アシュウム女神は、実留の身体を離れ具現化していた。金糸銀糸に彩られた
妖しくも美しい装束に身を包んだ彼女は、波打つ髪も濡れた瞳も最高級の紅玉
色だった。
 ――女神ローダットと聖眼の巫女の魂も主神の御手により、そこに。
 聞きなれた仔猫の声に、実留は振り返った。たどたどしい足取りのアンナが、
こちらに向かってくる。実留は待ちきれず、駆け寄って抱き上げた。ローダッ
ト女神の神力を宿していない証拠に、アンナの瞳は実留の想い人と同じ深緑に
変色していた。
『ローダット……妾を許しておくれ』
『姉様……私達の愚かな争いのために、かけがえのない命がいくつ失われたこ
とでしょう』
 姉神に謝罪をしたローダット女神は、全身が七色に輝く本来の美貌を取り戻
していた。長い睫毛をしばたかせ、己の罪を心から悔いている様子が実留の胸
に迫ってくる。
 ――神力を使い果たした貴女方は主神の御手により、一つ神となりましょう。
迎えはそこに。
 その言葉を最後に、役目を終えたラート像は消滅した。
『妾を恨んではおらぬか?』
 陽炎の赤い女神は、殊勝な言葉を口の端に乗せた。全身で否定する実留へい
とおしげに目をやると、次いでシーシャに視線を移した。
『そなたの願いは承知しておる。バクターシア王国に妾とローダットの加護は
なくなろうが、他の神々は健在じゃ』
『実留、アンナ、二人に心からの感謝を』
 二人の女神の周囲を幾筋もの光が渦巻いていく。光の本流に飲み込まれ、彼
女達の姿もまた輝く紅と青の粒子に変わっていった。光の竜巻はそのまま、天
空に昇っていく。
 地上に残された二人と一匹は、熱で浮かされたように、いつまでもいつまで
も空を仰いでいた。眠りから覚めた凛々しい王子とその義妹が、すべてを知っ
て怒り狂い、従者に拳を振り上げるまで……。
                                 続く
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◇連載小説「クレール光の伝説 番外編 舞殿の【女帝】」第21回
                           作:神光寺かをり
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作者注※
この物語はお姫様倶楽部発行のビジュアルノベルゲーム「お姫様舞踏会オフラ
インスペシャル」の隠しシナリオをベースにした書き下ろし小説です。
ゲームはプレイヤーキャラの一人称視点で展開しますが、この小説は視点が三
人称に変更されております。
なお、神光寺かをりのウェブ小説「クレール光の伝説」とは微妙に設定が違う
部分があります。(それ故「番外編」なのですが)
また、ゲームのシナリオとも微妙に違いが生じるかも知れません。
著作権はお姫様倶楽部と神光寺かをりが所有しております。
著作者の許可無く転載・複製なさらないでください。
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 明けの明星が静かに輝き始めている。
 グランドパレスのダンスホールからは、後かたづけのスタッフ達すらも姿を
消し、わずかな光と静寂だけが充満している。
 その寒々しい広間に、人影がただ一つだけあった。
 ピエトロである。
 パトリシアとひとときを過ごし、彼女を彼女の控え室にエスコートした後、
彼はギネビアの命令通りに謁見室へ向かった。
 ところが、そこにギネビアの姿はなかった。
 数本のろうそくが申し訳程度に揺れている薄暗い謁見室にいたのは、執事長
ラムチョップだけだったのだ。
 彼は険しい顔で帳面をめくり、彼に告げた。
「ピエトロ殿下には直ちにダンスホールに戻られますようにと、ギネビア様か
ら承っております」
 相変わらず、拒否であるとか質問であるとかを受け入れてはくれそうにない
厳格な口調だった。
 そこで彼は大急ぎでダンスホールに駆け戻った、といった次第である。
 広々としたこのホールが、ほんの数時間前まで床も見えないほどの人で満ち
ていたとは、その場にいたはずのピエトロにももはや信じられなかった。彼は
無性に寂しくなった。
『それにしたって、何でギネビア様は僕をここに呼び出したりしたのだろう?
 …一応、へまをした分は全部取り替えしたつもりなのだけれど…。もしかし
て、エル君達が途中で帰ってしまったことを怒られるのかな? でもそれが筋
違いだってことくらいは、ギネビア様だって承知していらっしゃるはずだ』
 理由がわからない呼び出しほど、恐ろしい者はない。ピエトロは戦々恐々し
つつ、その場に立ちつくしていた。
 やがて、一つのドアが開いた。
 現れたのは、ギネビアあった。供の者もなく、ただ一人で、である。
 平伏するピエトロに、ギネビアは静かに言った。
「本日は大儀でありました。ですが、あなたを褒めてあげるわけにはゆきませ
ん。むしろ罰を与えねばならないのですよ」
「あの…昼間充分お叱りを受けましたが」
「叱りはしましたが、まだ罰は与えていませんよ」
 叱られるだけで充分なのではないかと思ったピエトロだが、ここで抗議など
できようもない。
「あ、あの、なにとぞご寛大に…」
平身低頭そのものに深く頭を下げた。
「あなたのために、私は今日一日心が安まりませんでした。誰と歓談すること
もできず、誰と踊ることもできませんでした」
「申し訳ありません」
 再び頭を下げたピエトロだったが、どうも納得できない。
 ギネビアは今日一日積極的に来賓と語り合っていたはずだ。どうやら重要な
外交相手であるらしい遠国からの来賓数名とダンスもしている。
 確かにそれは総て彼女の行うべき「仕事」であったから、楽しく語り、楽し
く踊ったわけではない。しかし、心から楽しめなかったのがピエトロのせいで
あったかのような言い様は、どこか筋が通らない。
 ギネビアはしばらく何も言わなかった。
 その沈黙があまりに長いので、ピエトロは恐ろしくなって彼女を仰ぎ見た。
 彼女は彼を見ていなかった。視線をホールの隅の大窓に注いでいる。
『あの辺りは確か…そう、エル君とソードマン氏が姿を消した辺りだ』
 あの二人はギネビアにとってそんなにも大切な人物であるのだろうか。いや
がっている者を無理矢理にでも留めようとするほど執着している理由も、ピエ
トロにはわからない。
 そんな彼の心の内など、察するつもりもないらしいギネビアは、押し殺した
声で言う。
「では、ピエトロ。あなたに罰を与えます」
「はい」
「私と一曲、ここで踊りなさい。下手なリードは許しませんよ」 
「え? あ…はい!」
 罰などではない、むしろご褒美だ。なんて光栄なのだろう…その瞬間、ピエ
トロはそう思った。
 だが。
 差し出されたギネビアの手を握ったとき、彼は気付いた。
 ギネビアが自分を見ていないことに。その視線は、相変わらず窓のそのまた
向こうを見ているこに。
「あの方に邪険にされるのには、なれているつもりだったのですけれど…」
 ギネビアの唇が小さく動いた。あまりに小さすぎて、その声はピエトロの耳
に入らなかった。
「あの、なんと申されましたか?」
「いいえ、何も」
 暗く沈んだ瞳で、彼女は答えた。
 その寂しげなまなざしのまま、彼女は口元に笑みを浮かべた。
                               …終わり
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 チェックはしているつもりなのですけれど…
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