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-------◇テキスト系創作メールマガジン 文芸同人「主婦と創作」◇-------
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---------------------------------------------- 2003年09月13日号 ----
------------------------------------------------------- 通巻54号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お暑うございます、お待たせしました。
 自称「文芸同人誌」主婦と創作の主幹、銀凰@病み上がりです。
 越光”幽霊会員”恵美姐さんがまた変なこと(褒め言葉)を始めました。
「一言で良いから感想をください同盟」
           http://ohimesama_club.at.infoseek.co.jp/kansou/
 読んで字のごとく「Webサイト上で自作の創作物を公開していて、のどから
手が出るほど感想が欲しいサイトマスターが感想が欲しいことをアピールする
ための同盟(訪問者が感想を送る手段を備えていることが必須)」だそうです。
…通力があるようならバナーを貼るんだけど…
 それでは早速今週の作品をどうぞ!
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ 小説「星眼の巫女」(13)
 ◆    …神光寺かをり 小説「舞殿の【女帝】」(17)
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<ライターの手帖とは?>
ライター5人がそれぞれのジャンルで表現を試みたテキスト・コラージュマガ
ジンです。この一風変わったメルマガで、きっとお好みの連載、ライターが見
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◇連載小説 星眼の巫女                   作:くまの
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*12*
 ここに、王国の命運を握るラート聖像が?
 そう首をかしげたとしても不思議ではないほど、山の中腹を切り開いて建て
られた研究所は質素な外観の四階建てだ。地下室があるのは確実で、下手をす
ると、そちらの方が広く入り組んでいるかもしれない。
 今にして思えば、実留(みとめ)が監禁されていたのは、実験用の大型哺乳
類のための檻だったのだろう。
 もちろん、今では廃墟同然だ。何らかの研究所だとわかったのは、かろうじ
て残っていた正門の社名プレートの残骸があったからだ。
 その正面門にあたる鉄扉は南京錠で閉じられている。門自体は幾重にも鉄鎖
が巻いてあり、とぐろを巻いた赤茶色の大蛇のように見えた。
「ダメね。錠内のバネ仕掛けがサビて、一ライカも動かないわ」
 掌ほどもある錠前と格闘していたマヤカが、肩をすくめた。
 一夜明けて体調が元に戻ると、褐色の少女はすぐに身体をほぐし始めた。腰
に巻き付けていた布から柄のないナイフを取り出すと、スカートの裾を引き裂
いた。
 その布地を利用してナイフを数本、自分の両腕に巻き付ける。兄であるカイ
も、その従者も止めなかった。
 彼女は二度の失態を自らの手で挽回するつもりなのだ。強い子だと、実留は
感心する。
「なんだ、出迎えもなしか?」
 カイは瑠璃色の瞳を細め、鉄扉を軽く蹴る。
 もちろん、カイはそのつもりなのだろうが、この音を聞きつけて黒い男達が
やって来たらと思うと、実留は気が気ではない。柔らかい小さな愛猫をしっか
りと抱きなおす
 アンナは未だ昏睡状態だ。自分の胸にうずもれたまま、身動き一つしない仔
猫だけは、何があろうとも守りきるつもりだった。
「彼らがこちらに窓を破って侵入したのなら、我々がどう突入しようと不作法
にはならないでしょう」
 大真面目に答えると、シーシャは鉄鎖を剣の柄でいとも簡単に叩き壊す。雨
水に浸食されていた錠前はもろいとはいえ、かなりの力がいるはずなのだが…
…。
「まさか、正面から突っ込むつもりなの?」
 半ば呆れながら、実留は豪胆な三人の異邦人を見つめる。この緊張感のなさ
は、どうだろう。
 これから突入する場所には、手薬煉(てぐすね)を引いた男達が待っている
というのに……。
「ちょっと待って。何か、変な匂いがするわ」
 第一の難関を突破し、窓を蹴破るカイの背中に実留は声をかけた。
「当然だ。ここは、動物の死臭と怨念で満ち溢れている」
 そっけなく言われ言葉を引っ込めたが、建物に侵入すると、匂いは鼻の粘膜
を刺激するほど強くなった。
 列の背後を固めるシーシャと、彼を補佐するマヤカは実留の数メートル後を
歩いている。
「あの……シーシャさ」
 シーシャに問いかけようと足を止めた、その鼻先で防火用のシャッターが耳
障りな音を立てて降りてきた。ギロチン刃のように、人間を真っ二つにできる
勢いだ。背後から二の腕をつかまれ、実留は仔猫ごとカイの胸に抱き寄せられ
た。
 こんなことが偶然あるわけがない。カイと実留、シーシャとマヤカとが、作
為的に二手に隔てられた。
「ありがとう……カイ」
 本来なら、初めて助けられたときのように、床に投げ出されても文句は言え
ないのだ。カイは突き飛ばすように実留を放し、
「礼を言われることじゃない」
 上着についた猫の毛をいとわしげに払う。
「でも、シーシャさん達と離れてしまったのは……」
 ――私のせいでしょう?
 身軽なカイ一人ならば、床とシャッターの間に身体をすべらせ合流すること
も可能だったろう。実留はまたも、自分のいたらなさを思い知らされる。
「……オレ独りでもお前とその猫ぐらい守れる。シーシャなら別の通路を見つ
けるだろう。そこで、また合流すればいい」
 起きたことに悔いている暇があったら、少しでも先に進むことを考える。カ
イはそれができる数少ない人間なのだ。
 ──私も、強くなりたい……。
 言葉も少なに、二人は細い廊下を延々と歩く。薄汚れたベージュ色の壁には
ひび割れが走り、見た目以上の老朽化を教えてくれる。
 ――ぽ…………とん。
 この雨音に、実留は殺風景な灰色の頭上を見上げ、続いて窓の外に視線を移
した。空には雲一つない。暮れかけた太陽が山々に優しいまなざしを向けてい
る。屋上の給水タンクから、水が漏れ出しているのだろうか?
 どうして、《頭のない蛇》はこちらに攻撃を仕掛けてこないのか?
 ぽとん、ぴちょん……とん。
 天井から滴り落ちた水音に、厚く埃をかぶった窓ガラスが共鳴する。一種、
洞窟のような雰囲気を醸し出していた。音源をようやく見つけ、なぜだか、実
留はそっと安堵の息を吐いた。こんな場所に独りっきりは恐い。
 ――ちょん。
 途切れることなく落ち続ける水滴は、床の端に糸のごとく流れていく。
 また、ひと雫。ゆっくりと、それは領域を広げていく。アメーバーのように
不定型の身体から、触手を伸ばしているようだと感じるのは、自分だけなのだ
ろうか。
 この建物は静かすぎて……だから、こんなにも水音に不安を感じてしまうの?
「実留」
 ふいに肩に手をおかれ、実留は反射的にしゃがみ込んでしまった。その波動
でアンナの小さな頭がかくんと揺れ、第三の紅い瞳が鈍い光を宿した。
 これは、危険のシグナルに違いない。
 自分の背後で剣を上げる男の姿を想像し、全身が岩になったような心持ちに
なる。腰に佩いた宝剣のことはすっかり忘れていた。
 予想に反して、次の攻撃はなかなかやってこなかった。意を決し、実留は身
体をひねって面を上げる。
「嘘よ、………………どうして?」
 そこには、一人の老婦人が両手を広げて微笑んでいたのだ。実留の自慢の祖
母だった。
 お気に入りの上品な若草色のスーツの胸元に、彼女が別れの日にプレゼント
したコサージュを飾っている。祖母は身体にフィットした服を老年となっても
上手に着こなしていた。
「おいで、迎えに来たんだよ」
 にこやかな顔には老人特有の染みが浮き出ていたが、それさえも懐かしい。
「お祖母ちゃんがなぜ、ここにいるの?」
 まさか、あの男達は英国にいる祖母にまで、手を出したというのか? あり
えない話ではない。どうやって、祖母の居場所を突き止めたのだろう?
 生暖かい汗が、背中をすべり落ちていく。
 ──お父さんお母さんお兄ちゃん!!
「大丈夫だよ、何の心配もいらない。お前の家族の代表として、私が実留を迎
えに来たんだよ。お前を説得してくれるよう、彼らに力を貸してくれるように
ね」
 孫の心中を敏感に感じ取って、ことさらにのんびりとした調子になる。心配
ないのだから、安心して身をゆだねなさいと、司祭のように柔和な微笑みを作
る。
「さあ、一緒に国に帰ってくれるね」
 なんて、魅惑的な申し出なのだろう。実留はずっとずっと本当に長いこと、
祖母にこう言ってもらいたかったのだ。
 他の皆は、私のことなんて嫌いで、いなくなればいいと思ってる……そう思
っていたんだもの。
「ごめんなさい、私はおばあちゃんとは行けない。こんな私でも、必要だとい
ってくれる異国の人達がいるの」
「私が殺されても、構わないというのかい」
 この人は祖母では決してないと、実留は確信した。誇り高い祖母は、死んで
もこんな言葉は吐かないのだ。
 祖母は日本で生まれた最愛の孫を、自分と故郷をつなぐ橋だと考えていたの
だから。橋が壊れては、戻ってこられないではないか。
 でも、なんて酷い夢を見せるの……?
「私を捨てるんだね。みんな、私が嫌いなのだよ。お前だけは、お前だけは私
の味方だと思っていたのに…………」
 これが、私の心の闇なのね。
 実留はこれ以上、醜く崩れる祖母の残骸を見たくなかった。我が身を守る以
外、決して、使わないだろうと考えていた宝剣の鞘を払った。
 剣を振るうまでもなく、陽光を受けた刃の光に祖母の顔がぐにゃりと歪曲し
た。みるみる顔色を失っていくと、固体から元の液体へと戻っていく。後には、
汚泥の臭いが残った。

「──……オレが凶王子だから…………様は、死んだというのか?」
 うめき声に振り返ると、カイが床に両手をついて激しく金の髪を振っている。
「カイッ、しっかりして!」
 彼の視線は空をさまよい、一向にこちらの呼びかけには答えない。
 この不思議な現象は、建物に充満しつつある水の匂いによって、自己の封印
が解けるのだと察しがついた。実留は無意識のうちに、空気を肺に吸い込まな
いようにしていたらしい。
 だから、効果が薄かったのかもしれない。
 だが、カイは外部攻撃に神経を尖らせていたため、かえってこの匂いに気づ
くのが遅れたのだ。
「……すべて、オレのせいだと? 無知の罪悪だと?」
 この身が引き裂かれるような、切ない声がもれる。
 実留だけに祖母の姿が見え、話ができたように、カイもまた別の幻と対峙し
ているのだろう。
 不遜に見えるこの少年の心の裏側に、ひっそりと美しい女性の姿が住んでい
る。実留にはそれがわかる。
「市井で暮らしていたオレを引きずりこんだのは、結局は母上ではないか! 
…の血で………王位など要らぬッ!」
「カイッ!」
 床に頭を打ちつけようとしたカイを、渾身の力でもって背後から羽交い絞め
にする。放り出された形のアンナが白い鞠のように跳ねた。
 みゃ。
 アロージナ王妃への罪滅ぼしとは本人は考えていないだろう。だが、フェル
セル王を父王として認めようとしているのは、確かにカイの中にある悔恨の念
に違いないのだ。
 私がおばあちゃんの誘惑を振り切るようにはいかない……。
「アンナ、どうかお願い。カイのことを守っていてちょうだい」
 長い眠りから覚め、大あくびをする仔猫を少年の脇に下ろした。前脚を飾る
聖眼が一回り大きくなっているのは、昨晩、聖眼の巫女の力を発現させたせい
だ。
 一体、私はどちらの巫女だというのかしら?
「私のなかの女神様。あなたがローダット女神でもアシュウム女神でも、どち
らでも構いません。あなたの国の民を守るために力をお貸し下さい」
 ──……元を絶たねば無意味じゃな。

                                 続く
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 主婦と創作ではオリジナルなテキスト作品の投稿を募っております。
 自作(必須)で、テキスト形式メルマガで発表できる作品でしたら、小説か
ら俳句まで、ジャンルは問いません。 震ってご投稿下さい。
…でもとりあえず、規約には目を通して下さいな。
★投稿規約のページ
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★投稿用メールフォーム
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◇連載小説「クレール光の伝説 番外編 舞殿の【女帝】」第15回
                           作:神光寺かをり
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作者注※
この物語はお姫様倶楽部発行のビジュアルノベルゲーム「お姫様舞踏会オフラ
インスペシャル」の隠しシナリオをベースにした書き下ろし小説です。
ゲームはプレイヤーキャラの一人称視点で展開しますが、この小説は視点が三
人称に変更されております。
なお、神光寺かをりのウェブ小説「クレール光の伝説」とは微妙に設定が違う
部分があります。(それ故「番外編」なのですが)
また、ゲームのシナリオとも微妙に違いが生じるかも知れません。
著作権はお姫様倶楽部と神光寺かをりが所有しております。
著作者の許可無く転載・複製なさらないでください。
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 白髪のようなプラチナブロンドで、スレンダーなラインの体。衣服の下の胸
の大きさは判らないが、ズボンの上からでもお尻が小さいことが解る人物が、
顔を真っ赤にしている。
『君、女の子なのか!?』
 叫びかけて、ピエトロはあわてて己の口をふさいだ。なるほどよく見れば、
礼服の胸のあたりはほんのりと丸くふくらんでいる。いやそれよりも、先ほど
触れた指先のたおやかさは、紛れもなく女性だった。
 彼女はピエトロの驚きようと、視線に気付かない様子で、
「だから、私はあなたの所有物では無いと何度も言っているのに。人前でまで
そうやって大きな声で…」
恥ずかしさの中に少々うれしさのようなものが混じった小さな声でつぶやいた。
『主従にも師弟にも友人にも家族にも見えないのは、エル君が女の子だからか
も知れない』
 茫然自失のまま、ピエトロはエル・クレールとブライトとを見比べた。
 二人とも、顔を真っ赤にしている。エル・クレールは恥ずかしさのために、
そしてブライトは怒りのために。
 ブライトの節くれ立った指先が、腰の双剣にのびた。嵐の勢いで引き抜かれ
たのは、遠目にも木刀だと判る代物だった。
 しかし、そんなことは彼自身にも、そして彼に睨まれている盗賊どもにも関
係のないことのようだ。
 振りかざした木刀が鋭い風斬り音を立てる。それは気の弱い者の肝をつぶす
に十分すぎる轟音だった。
 加えて、ブライトの雄叫びである。鼓膜どころか頭蓋骨まで粉砕しそうな大
声で、彼は叫んだ。
「この俺様が、まだそこまでは見せてもらってねぇンだぞぉっっ!」
 怒りの方向性が微妙に間違っていることもまた、当事者達には無関係のこと
だった。
 震え上がった盗賊どもは、互いに手を取り合い、体を寄せ合って、
「うわぁ、ごめんなさいぃぃぃ」
地面にひれ伏した。
「許してください、出来心なんです」
「風呂は覗いたけど、肝心なところは湯気で全然見えませんでした」
 双剣は、盗賊達の頭から絹一枚手前でぴたりと止まった。
「見えなかった割にはずいぶん細けぇこと言ってやしなかったか?」
 ブライトが唸る。盗賊達はひれ伏したままで弁明した。
「湯気に影が映ってたんでさぁ。だから体の線は見えても、素肌は見てません。
本当です、信じてください」
「船着き場からかっさらってきた荷物も全部お返ししますから、どうか命ばか
りはお助けを」
 盗賊達の必死の弁明が通じたのか、ブライトはあっさりと剣を納めた。
「人様の荷物のことなんざ、俺の知ったこっちゃねぇ。お前ぇらが俺のかわい
いクレール姫の裸を見てねぇなら、それでイイ」
『絶対に争点が違う』と感じたピエトロだったが、それを口に出す気にはなれ
なかった。
 振り向いたブライトが、まだ少しばかり不機嫌そうだったからだ。
「全く、困ったオヒメサマだぜ。馬鹿どもの邪な視線にはさっぱり気付かない
くせに、心配して湯殿に駆けつけた俺のことは覗き扱いしてぶん殴りやる」
「心配して女湯に駆けつけるのに、衣服を全部脱いでくる必要性はないでしょ
うに」
 エル・クレールのあきれ声に、ピエトロは失笑を禁じ得なかった。
 返す言葉のないブライトは、唇をとがらせたかと思うと、唐突に手近な木の
枝へ手を伸ばした。
 その枝には、通草の蔓が巻き付いていた。彼は蔓を引きちぎると、こともな
げに手鎖の形に編み上げて、ピエトロの鼻先に突き出す。
「おい接待役。笑ってねぇで、その馬鹿どもをふん縛るのを手伝え。あんたの
手柄だぜ」
「え? 手柄って」
 いきなり言われて理解できずにいる彼に、エル・クレールが説明を施す。
「本来するべき仕事をせずに、こんなところで油を売っていたら、ギネビア殿
にしかられるでしょう? 謝意を示すためには手土産を持っていった方がよい
と思うのですけれど」
「本来の、仕事…。あっ!」
 天を仰いだピエトロの目に、オレンジ色の木漏れ日が飛び込んできた。
                                …続く
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◇お願い
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・もし、文字化けしている様な箇所を発見したら、お教え下さい。
 チェックはしているつもりなのですけれど…
・投稿作品を募集します。詳しいお問い合わせは、以下のメールフォームから
 お願いしますです。
    →http://www.geocities.co.jp/Playtown-Dice/5751/mmagazine.html
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     ◆ライトオタク同人主婦のぐうたら日記 「主婦と創作」◆
発行人:銀凰恵
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 Mail: gin_oh@yahoo.co.jp
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