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-----◇ライトオタク同人主婦達のぐうたら創作日記 「主婦と創作」◇-----
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--------------------------------------------- 2003年08月09日号 -----
------------------------------------------------------- 通巻49号 -----
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◇ご挨拶
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 初めましてのかたは、初めまして。
 そうでない方は、お暑うございます、お待たせしました。
 PC本体に続きモデムも壊れてしまってトホホな、自称「文芸同人誌」主婦と
創作の主幹、銀凰です。
 このメルマガ、無事に土曜日に発行できたら拍手喝采(とても不安…)
 それでは作品をどうぞ!
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◇本日の目次…
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 ◆連載小説…くまのサマ 小説「星眼の巫女」(8)
 ◆    …神光寺かをり 小説「舞殿の【女帝】」(11)
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◇連載小説 星眼の巫女 第8回 7章            作:くまの
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*7*
 ほの暗く薄汚い廊下を右へ左へ、あてもなく勘だけを頼りに実留(みとめ)
は走っていた。一足(いっそく)ごとに全身の関節がきしんだ音を立てる。長
い間、運動しなかったせいか、思うように動いてくれない手足がもどかしい。
 手にしたナイフだけでは心もとなかったが、武器があったとして自分に扱え
るだろうか? 他人に怪我を負わせ、殺せるだろうか?
 大丈夫よ、そんなのたいしたことじゃないわ。
 今の実留には、精神的にも体力的にも余裕がない。人の命より自分の命の方
が、大切に決まっている。
 シーシャやカイのような剣技も体術も持ち合わせていない実留は、己が身を
守るので精一杯の少女なのだ。あの牢屋番の女を刺さなかったのは、単に機を
逸しただけのこと。
 今度は誰だろうと容赦しないで、ナイフを遣うことができるはずだと実留は
信じていた。
 見張りの交替時間か休息時間なのか、黒の男達の数は思っていたよりも少な
い。
 たぶん出口に近づいている。早く、この場所から出て家に帰りたい! その
思いが実留の注意力を鈍らせた。
 数人の男を引き連れた例の優男に遭遇したのは、角を曲がったときだった。
「この小娘がッ!」
「殺せっ!」
 瞬時に、殺気だった空気がその場を支配する。
 次々と独特の幅広の剣を構える男達の目には、実留の同級生達と同じ色が浮
かんでいた。それは蔑(さげす)みであり、ねたみであり、嫌悪であり……最
終的には、殺意に行き着く感情であった。
『そういう態度がムカつくんだよっ!』
 違うわ、私はただみんなと仲良くしたいだけなのよ。
『男にこびるのだけは、うまいのね!』
 どうして、どうして、どうして?
 ドクン。全身の血が逆流する感覚があった。なぜ、自分だけがこんな辛い思
いをしなければならないのか? めまいがするほどの強い感情が嗚咽(おえつ)
となってこみ上げてくる。
 どうして、私だけがこんな思いをしなくてはいけないの?
 この髪が、この瞳が、他の生徒と違う色だから? なら、なぜこの異国の男
達は私を殺そうとするの?
 目頭が熱い。実留の瞳の奥底で火花が散った。
 みんな、死んでしまえばいいのに……。
 ──汝、愛しい子よ。ならば、それを望めばよいのじゃ。
 女の声がした。どこから聞こえたのか、声の主は誰なのか、それを問う時間
的余裕はない。ただ、実留の心にすんなり入り込んだ声はさらに続けて言った。
 ――無礼者には、死の洗礼を与えればよいのじゃ。
 でも、そんなこと……私にはできない。
 ――何故じゃ? いつものように、願えばよい……。
「待て、剣を下ろせ」
 男が制止の手を上げ、興味ぶかげに実留の様子を観察する。太刀を腰に佩い
た男は、まるで中世の騎士のように見えた。サングラスをはずした鳶(とび)
色の双眸に優しさがにじんでいるのは、実留の気のせいだろうか。
「アドビス様ッ! その娘からお離れください!」
 実留の最も近くで、剣を構えていた男が叫ぶ。
 何事かに、激しく動揺しているようだ。実留に向けた剣の切っ先が細かく震
えている。
 アドビスと呼ばれた青年も異常に気がつき、すっと眉をひそめる。暗い影が
徐々に瞳を占領していく。
「安心しろ、殺しはしない。殺しはしないが、お前のその右手をもらい受けた
い」
 男はすらりと剣を抜く。無骨な鞘からは想像もできない豪奢な細工の刀身が
目にしみて、実留はまぶたを閉じた。
 アドビスはそれを覚悟の印と受け取るだろうが、実留の思惑は違った。身の
内を狂ったように駆け回る感情を解放するために、瞳を閉じて精神集中をした
のだ。
 みんな……そう、世界中の人間が一人残らず死んでしまえばいい!
 唱えてはいけない魔法の呪文を唱えさせたのは、お前達よ。私のせいじゃな
いわ。
 次にまぶたを開けたとき、状況は一変していた。勝者は敗者に、敗者は勝者
に。
 実留の右手には小さなナイフが、左手には肉片のこびりついた細身の剣があっ
た。寸刻前までアドビスの手にあった得物だ。
 男達は皆、血溜まりの床に倒れていた。ある者は涙を流し悲鳴を上げ、ある
者は口から血泡を吹き手足を痙攣させながら、それでも、この場から去ろうと
もがいている。
 ……誰が……こんな酷いことを?
 ――そなたじゃ、そなたが望んだことじゃ。
 血色の芋虫のようじゃなと、実留は、いや実留のなかにある人物は吐き捨て
るようにつぶやいた。
「これほどの力があったとは……」
 青年もまた額を押さえ、瞠目したまま身動き一つしない。
 実留は悠然と青年に微笑みかえす。
 自分の身体が自分のものでないような不思議な感覚だ。それでも、気分は悪
くないと実留は思った。
 人形の髪をすき、服を着せ、からまった操り糸をたんねんにほぐす指先の存
在が、確かにすぐそばに感じられた。最後に心臓へ熱い息を吹き込んだそれは、
実留を愛しいとささやいた。
「……お前は、いや貴女は……」
「アドビスとやら、汝に呪い傷を与える。死する瞬間まで、もがき苦しみ抜く
がよい。それが、我が巫女の願いじゃ」
 人形師は我が子の扱いに、慣れたようだ。逃げるのではなく、我が身を解放
するために歩き出した実留の足取りは、早足に変わる。次第に、はずむような
駆け足に。
 実留は歓喜の笑みを浮かべながら、出口に向かって走っていた。彼女の手の
甲には、朝日を受けて煌めく青玉があった。

◆近況◆
 こんなところで、すみません。長年の夢だったHPをカフェスタ内に持ちま
した。会員じゃないとカキコはできませんが、携帯用メルマガ(2本)も連載
しているので、ぜひ遊びにきてください。
http://myhp.cafesta.com/@kumama113
                                …続く
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 主婦と創作ではオリジナルなテキスト作品の投稿を募っております。
 自作(必須)で、テキスト形式メルマガで発表できる作品でしたら、小説か
ら俳句まで、ジャンルは問いません。 震ってご投稿下さい。
…でもとりあえず、規約には目を通して下さいな。
★投稿規約のページ
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◇連載小説「クレール光の伝説 番外編 舞殿の【女帝】」第11回
                           作:神光寺かをり
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作者注※
この物語はお姫様倶楽部発行のビジュアルノベルゲーム「お姫様舞踏会オフラ
インスペシャル」の隠しシナリオをベースにした書き下ろし小説です。
ゲームはプレイヤーキャラの一人称視点で展開しますが、この小説は視点が三
人称に変更されております。
なお、神光寺かをりのウェブ小説「クレール光の伝説」とは微妙に設定が違う
部分があります。(それ故「番外編」なのですが)
また、ゲームのシナリオとも微妙に違いが生じるかも知れません。
著作権はお姫様倶楽部と神光寺かをりが所有しております。
著作者の許可無く転載・複製なさらないでください。
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 ホールは相変わらず「粛々とした騒がしさ」に満ちている。それでも幾分か
動いている人間が減ったような気もした。
 心細さを感じたピエトロが、辺りを見回そうと後ろを振り向くと、
「ピエトロ殿下、何事かございましたか?」
執事長の強情そうな眉毛が、片側だけぴくりと上がった。
「うわぁ!」
 思わず半歩後ずさりしたピエトロに、ラムチョップは先ほどは動かさなかっ
た方の眉毛も持ち上げ、細い目を見開く格好で疑念のまなざしを注いだ。
 そうして再度、
「どうかなさいましたか?」
と訊ねる。
 確かに言葉は丁寧で、口調も遜ったものだ。しかし一言一言に、優れた主の
忠実な部下であるという誇りから生まれる、ある種の威厳が感じられる。
 それには、立場が上であるはずのピエトロが『おまえの顔に驚いたのだ』と
いう正直な言葉を発することを拒ませるほどの威力があった。
「いや、何でもない。何でもないよ」
 ピエトロはもう半歩後ずさって、ラムチョップとの間にわずかな空間を作っ
た。
 彼自身は他人と密接するのが苦手であることを自覚していない。…それが人
口密度の低い田舎で暮らしているからだということも、またしかり。
「左様でございますか」
 執事長は両の眉毛を定位置に戻してから、おもむろに分厚い帳面を取り出し
た。
「本日最後のご到着予定のお客様が、そろそろお見えになる頃合いでございま
す。ピエトロ殿下には、一度ギネビア様のご指示を仰がれてはいかがでござい
ましょうか?」
 提案の口調に命令が潜んでいる。ピエトロは二つ返事で、
「わかった、すぐに謁見室へ行くことにするよ」
その場から逃げ出すかのごとく、謁見室へ向かった。

          ◇◆◇◆◇

 謁見室のドアをノックしようとしたピエトロは、ふと以前より気にかかって
いたことを思いだし、一度手を引いた。
『そういえば、何年か前にギネビア様に縁談が来たって話を聞いたことがあっ
たな。相手はどこかの王様の弟王子だったっけか…』
 その縁談は、破談になった。
 断ったのはユミル王家の側、厳密に言うとギネビア自身であった。
 ギネビアは国家運営に恋をしていると言われるほどに、恋愛に興味を持って
いない…らしい…女性である。
 わざわざ訪ねてきたその「どこかの王様の弟王子」に、面と向かって断りを
入れたという。
 それが外交問題に発展しなかったのは、どうやら件の王弟も「政略結婚」に
興味がなかったためであったらしい。
 彼は兄王の命令で逢いはしたものの、ギネビアに
「我が夫は我が国より他になし」
と宣言されても、何の反論もなくそのまま引き下がっているのだから。
『きっとその王弟は今頃、自分の国でずいぶんと肩身の狭い思いをしているの
だろうな』
 ピエトロは会ったことのないその王弟に親近感を覚えていた。…自分も似た
ような立場だ、と。
『まあ国の規模は、たぶん数十倍は上だろうから、あちら様は僕と違って自分
の食い扶持の心配まではしないで済むのだろうけど』
 ピエトロは自嘲のため息をはき出すと、襟を正し、改めてドアを叩いた。
『その王弟殿下がどんな人物なのかは知らないけれど…きっと自分の身分を恨
んでいるに違いない。政略結婚じゃなかったら、もしかしたらギネビア様も結
婚を承知したかも知れない…なんて考えているかも知れない。となれば、ギネ
ビア様も罪作りな方だよな』
 自身がギネビアにほのかなあこがれを抱いているピエトロの勝手な妄想では
ある。それでも、全くそうではないとは言い切れない。
「お入りなさい」
 中から聞こえたギネビアの声が、どこか冷たく感じられた。
 促されてドアを開けたピエトロは、玉座のギネビアの微笑に、わずかな疲労
を感じた。
「十分にパレスの中を見聞できましたか?」
 その問いかけに、彼は
「あまり時間がありませんでしたが、見られる範囲は見て回ったつもりです」
と、答えるより他になかった。
「そうですか。ですが、貴方の言うとおり、時間の猶予はありません。オラン
公国よりお客様が到着する時間が近づいています」
「存じ上げております。ですが、少々お伺いしてもよろしいですか?」
 おそるおそる声を出したピエトロに、彼女は、
「一言で答えられる問いならば、許可します」
厳格な口調で応じた。
「宮殿の侍女たちからも、オランの姫君と他に二人ほどのご来客の話を聞きま
したが、それ以外のお客様のことはまるでわかりませんでした。それで…」
 まだ質問の終わらぬうちに、ギネビアは
「担当するお客様の以外のことを知らせていないだけです。これは貴方に対し
ても当てはまることですよ」
 ギネビアは諭すように言う。
 詰まるところ、ピエトロがおもてなしをせねばならないのは、オラン公国か
らの来賓なのだ、と言うことだ。
 ギネビアの穏やかな言葉は、有無を言わせぬ迫力がある。
 ピエトロの背筋は凍った。
「かしこまりました」
 彼は深々と頭を下げた。
 厳しい口調で下される命令のほうが、むしろ心臓に良い気がする。
 奔馬の勢いで謁見室を出たピエトロは、一刻でも早くエントランスホールへ
向かわなければならないという使命感から、
「近道を!」
通ったことのない曲がり角に入っていった。
                                …続く
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     ◆ライトオタク同人主婦のぐうたら日記 「主婦と創作」◆
発行人:銀凰恵
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